概要
かつて暴虐の限りを尽くし「この世とあの世の理すら破壊しようとした」ために地獄の奥底に封じられていた4体の東洋の大妖怪の総称。
6期鬼太郎の第二章の前章に当たると思われる、『地獄の四将編』の中心となった。
その強大な力を以て人間(人間界)を滅ぼそうとしていたが、妖怪退治を請け負うエリート集団『鬼道衆』達の活躍により退治され、その魂は地獄の深淵にある大逆の罪人を封印しておく牢獄に厳重に封印されていた。
そして時は流れて現代の人間界。元号が変わり、その影響で国を守護していた霊的な力が弱まってしまった。
元号とは「災厄を避け、国の安寧を願う“鎮護国家の呪術”」でもあったのである。
その隙を突いた何者かが彼らの封印を解き、脱獄した四将たちは再び人間界でその猛威を振るい始めた。
時を同じくして、鬼道衆の末裔達が暮らしていた隠れ里が妖怪に焼き討ちされる事件が発生。
唯一生き残った青年石動零は自分の故郷を滅ぼしたのは彼らの内の1体だと睨み、血眼になって探していた。
そしてその仇こそが、四将最強を誇る“玉藻前”こと九尾の狐であった。
ちなみに「四将」とは言われているが徒党は組んでおらず、それぞれが自身の思うが儘に暴れ回っている。
一方で鬼太郎の事については封印を解いた者から既に聞き及んでおり、自分達の障害となると判断して全力で排除しようとしている節がある。
なお彼らの脱獄を手助けをした人物に関しても情報自体が皆無であり、現在分かっている事といえば気づかれる事無く彼らの脱獄を手引きした事と、地獄に出入りできる立場という事だけ。
少なくとも鵺の発言から鬼太郎に対して敵意を持っているのは確かなようだ。
一覧
※それぞれの妖怪達の詳しい解説についてはリンク先を参照。
鵺
CV:辻親八
原作には未登場だが、アニメでは第5期に続いての登場を果たした。
第50話では名前と影だけ登場したが、第51話で正式に登場する。
過去作の様な黒い靄のような姿をした善良の妖怪ではなく、猿の様な顔、虎の様な手足、狸の様な体、蛇の尾を持つ獣(しかし本作では合成獣というよりも獅子に似た姿であった)の姿をした極悪妖怪。
平安末期に京の都に現れて猛威を振るい、都を手中に納めた後で日本全土を恐怖に陥れようと目論んでいたが、当時の鬼道衆と源頼政が先祖から受け継いだ弓『雷上動』により退治された。そして地獄の牢獄に封印されたが、1000年後に何者かによって封印を解かれて脱走する。
普通の倍ほどもあるトラツグミを眷族として従えており、聴いた者を謎の病に侵す音響兵器の様に強烈で不気味な鳴き声を放つ能力を持つ。鬼太郎と最初に戦った大逆の四将の一角であり、決め技となる事が多い『指鉄砲』の直撃すらもあまり効果が無い程の防御力を誇る。弱点は電撃とかつて自身を葬った頼政由来の弓の弦の音で、鬼太郎の『体内電気』を受けた際は苦しんでいた。
意外に頭も回る様で、力ずくで従えた妖怪むじなを自身の影武者に仕立て上げて東北の農村部で騒動を引き起こす陽動作戦を決行。
そうして鬼太郎達の注意をそちらに引き付け、自身は“眠らない街”となった東京で人間達から生気を奪い、力を取り戻すという計画だった。
上記の戦闘力とトラツグミ達を駆使しての戦法により、既に東北から東京に帰ってきた鬼太郎を苦戦させるも、妖力を回復させ元の姿に戻ったねこ娘の参戦によりトラツグミ達は全滅。更には乱入した零の鬼神の腕により尻尾の蛇を破壊され、冒頭の雷上動の写しから放たれた矢によって建物に磔にされて敗北。
なお鬼道衆に封印された時の恨みはあったもの鬼道衆の里の存在を知らなかった為、彼が復活した時は鬼道衆は既に壊滅したと思いこんでいたらしいので、零にとってはハズレだった。
そして零に騙されて人間から奪った生気を返すも、力が弱まったところでトドメを刺され、魂は彼の腕に取り込まれる事に。
その後は彼の武器となっていたものの、第75話では鬼太郎との戦いに敗れた零が彼に引き渡し、撃破した玉藻の前の魂と共にそのまま閻魔大王の元に送り返された。
黒坊主
CV:千葉繁
第62話に登場。
過去作と違ってねずみの様な顔つきになっており、常に美人画を携帯しているのが特徴。大抵はその中に潜んでいる。
江戸時代に水を汚染するという恐ろしい能力で人々を苦しめ多大な被害を出したため、ある集団に捕まって封印されていた。他にも背中から黒い触手を2本出す事も可能。
黒坊主はその集団が鬼道衆である事は知らず、水を汚染する力を持つ反面、実は水が苦手である事を抑えられてしまっていた。
現代になり地獄に封印されていたところを何者かによって解放され、鬼太郎と大喧嘩してしまったねずみ男の社会能力を利用、金儲けと人間社会を裏から支配する事を企んでいた。
零はねずみ男が黒坊主と繋がりを持っている事を察して捕え、鵺の能力で黒坊主の居場所を問い詰めるが、ねずみ男が予想以上に粘ったためにしびれを切らして鬼の腕で始末しようとする。
しかしすんでの所で駆けつけた鬼太郎とねこ娘に妨害され、彼等と戦う事に。この時鬼太郎と零は互いの意見をぶつけ合うも、対極で相容れない価値観を持つ2人の仲は更に険悪なものとなってしまう。
その最中に黒坊主が登場したが、元々鬼道衆の事に関しては興味もない様な言動から零は鬼道衆の里を焼いた犯人が彼でないと判断し、上記の弱点である水をかけて倒そうとしたが何故か効果がなく、鬼太郎共々捕らえられてしまう。
実は彼の持っている美人画こそが本体で、その事に気付いたねずみ男の小便で絵を濡らされ事で力を失い、鬼太郎の指鉄砲で絵を破壊され退治された。
そして魂は鬼太郎のちゃんちゃんこ包みで捕獲され、地獄に送り返された。
なおねこ娘は零と戦った際に鬼太郎に加勢しようとするが、彼に返り討ちをくらって重傷を負っていたため、黒坊主との戦いに参戦できなかった。
またこの戦いで、零は自身以外の者が倒した妖怪の魂までは横取りしない主義である事が判明した。
ちなみに他の大逆の四将の元ネタが歴史に名を残している大妖怪なのに対し、黒坊主の原典は明治時代になってから新聞記事に掲載された都市伝説的な存在である。
鬼童・伊吹丸
CV:古谷徹
暴虐の限りを尽くし、日本中を恐怖に陥れた日本三大妖怪の一角酒呑童子の息子。
他の面々と違って伝承の存在しない本作オリジナルキャラであるため、詳細は該当記事を参照。
なお伝承における酒呑童子の息子は、“鬼童丸”という名だとされる。
鬼童丸は茨木童子と共に「酒呑童子の片腕」としてよく知られる鬼。
その正体は比叡山の稚児とも酒呑童子の息子とも言われている。
玉藻前
CV:田中敦子
『ゲゲゲの鬼太郎』では中国妖怪の首魁であるチーの姉としても知られる大妖狐。
原作ではきわどい描写のオンパレードであり、後に富士の樹海に巣食って全裸の痴女と化すというはっちゃけぶりも見せた。
「白面金毛九尾の狐」という別名で呼ばれる場合もある。
ちなみに、空狐のリーダーも九尾である。
伝承では天竺、殷王朝を滅ぼした後に日本へと渡り、玉藻前に化けて日本の朝廷をも破滅させようと目論むも、正体を暴かれ討伐される。
しかし今際の際に自身を石と化して毒を放ち、なおも人々を恐怖に陥れた。
ちなみに弟の正体も姉と同じ九尾の狐だったが、6期では登場していない。
余談
モデルは恐らく中国に伝わる『四凶』(または『四罪』)だと思われる。
また、上記の「脱獄を手助けした人物」については、
- “誰にも気付かれることなく”脱獄を手引きし、地獄を出入りできた事
- 鬼太郎に敵意を持っている事
という2つの要素から彼ではないかという声も上がっており、次章『最終章・ぬらりひょん編』(第77話)にて実際、視聴者の予想通りであった事が判明した。