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紫微大帝の編集履歴

2023-11-16 17:23:19 バージョン

紫微大帝

ずーうぇいだーでぃ

紫微大帝(Ziwei Dadi、日本語読み:しびたいてい)とは、道教における高位の神。

概要

道教における最高神三清道祖」を補佐する四柱の高位神「四御」の一人。

全称は「中天紫微北極太皇大帝」。このほか「北極中天星主」「紫微帝君」「北極大帝」「北帝」とも呼ばれる。


三官大帝のひとり天官大帝の全称は「上元一品九気賜福天官曜靈元陽大帝紫微帝君」だが、紫微大帝とは別人である。「北帝」も鄷都大帝や部下の「玄天上帝」の異称にもなっている。


伝統的な中国天文学において、天球は紫微垣(しびえん)、太微垣(たいびえん)、天市垣(てんしえん)の三つのエリアに分けられ「三垣」と総称される。

そのうち、北極星北斗七星(貪狼星、巨門星、禄存星、文曲星、廉貞星、武曲星、破軍星)などを含むエリア(天区)が紫微垣である。

紫微垣は天空に築かれた長大な藩垣(城壁)としてイメージされ、古代の人々はその「城壁」内の星座に「天界の宮殿」のすがたを見出した。

紫微大帝は北極星を中心とする紫微宮に鎮座する神であり、北斗七星など紫微垣内の天体、星官(星座)の神を臣下とする。その代表格が「北極四聖」である。


地球から見た、北極星を中心とする夜空の星々の移り変わりは四季と時期的に連動する事から、季節の移り変わりやそれが起こる地上の様々な事柄をも統括する神と認識されるようになった。


漢伝仏教(中国仏教)では護法神とされ、仏典注釈書『金光明経疏』に記された二十柱の護法神に四柱の追加メンバーを加えた「二十四諸天」に名を連ねている。他の三名は緊那羅王、東嶽大帝(泰山符君)、雷神雷公)。


紫微星

地上からみた「天球の中心」は、地球の歳差運動によって少しずつズレていき、そこに収まる星も変わっていくことになる。


2023年現在の北極星はこぐま座α星(ポラリス)であるが、古代中国で天体観測が行われ体系的な記録が行われるようになった時代においては、こぐま座β星がその位置に見えた。

中国天文学における北極五星における「帝」星がこの星に同定されている。この帝星を「紫微星」と呼ぶ事がある。


道書において

『玉清無上霊宝自然北斗本生真経(北斗本生経)』では道教における神話的な劫(ユガ説的な時代紀)「延康・赤明・龍漢・開皇」のうち「龍漢」の時代に、紫光夫人(斗母元君)が生んだ九人の子の一人とされる。

最初に生まれた長子が天皇大帝次男が彼だったとされる。続いて生まれた七人は北斗七星となった。

天皇大帝と紫微大帝の「二長帝君」は紫微垣」に居て「太虚宫」の中で「勾陳」の位にあり、符图(護符・守り札と予言・予兆)を掌握し元化(自然・森羅万象のはたらき)を統制する「衆星の主領」である。


北陰酆都太玄制魔黒律霊書』によると、龍漢元年に北陰酆都に六洞の鬼兵が現れ、神霊の魔王は人の世に渡り殺害の限りを尽くした。玉皇は北帝に神将達と軍団を託し、北帝は道術を駆使して魔群を降伏させ、妖気を祓った。人々は救われ、任務を完遂した北帝は「北極中天自然総極紫微大帝」の位にあげられた。

この書で引用される『老子猶龍經』によると、紫微北極玉虛大帝は、上では諸星を統べ、中では萬法を御し、下では酆都(冥界)を治める、諸天と星宿の主という。

『洞淵集』巻一「三界咏序」では紫微北極五霊帝君者は中天の紫微垣に住まう「万象宗師」とし、上述のエピソードを記している。六洞の鬼兵が現れた場所が「北陰酆都羅山」となっており、紫微大帝と同じく「北帝」と呼ばれ、北羅陰酆都山を統括する酆都大帝との習合を感じさせる筆致となっている。


『上清霊宝大法』巻四「玄穹主宰品」には「北極大帝すなわち紫徽垣中の帝座これなり」とある。


九天応元雷声普化天尊玉枢宝経集注』には北極紫微大帝が五雷を掌握しているという記述がある。


北極駆邪院

北帝と北極四聖を中心とした天界の政庁。不正をなす鬼神、悪鬼、妖物を処罰する。

道教には「北極駆邪院」所属の神々の力を借りて、有害な超常的存在を束縛したり、駆逐する方術の体系が存在する。

急急如律令」が元々公文書で用いられる語であったように、これらの方術でも処罰を言い渡す役人のような口上が用いられる。


例:「諸々の鬼で、その配置の場所に送られねばならないのに、違反して動こうとしない者は、三千里の遠方に流し、重ねて罪を犯した者は死罪に処す」(『上清骨髄霊文鬼律』巻上・法道門第九条、訳文は土田健次郎編『近世儒学研究の方法と課題』より引用)


戯曲『二郎神斉天大聖』では玄天上帝が北極駆邪院主とされている。


北極四聖

紫微大帝の部下である四人の大将軍。名はそれぞれ天蓬元帥天猷元帥、翊聖(黑煞将軍)、佑聖(真武、玄天上帝)という。

破邪・退魔の神でもある「北極大帝(北帝)」と紫微大帝が同一視され、同様の性格を持つ直属の神将として言及された。


フィクションにおいて

封神演义封神演義)』の最終盤で伯邑考が「斗部星神」「五斗群星吉悪煞正神」を構成する神々の一人「中天北極紫微大帝」に封神されている。

姫伯邑考などの登場人物達が任命された神々「封神榜三百六十五位正神」のリストに北極四聖の名はなく、本編にも登場しない。

なお、斗母元君は本作では(人間以外の動植物、森羅万象出身者からなる)「截教」所属の仙人金霊聖母が封神された「坎宮斗母正神」とされており、『玉清無上霊宝自然北斗本生真経』と異なり親子関係ではなくなっている。


西遊記』では天蓬、天佑(天猷)、玄天上帝が登場するが、紫微大帝は登場せず、玉皇が直接の上司になっている。


関連タグ

四御 玉皇大帝 天皇大帝 后土


北斗星君(北斗七星を一人の神として擬人化した神)

九皇星君(北斗七星に左輔と右弼の二星を加えてそれぞれ擬人化した九人の神)


紫禁城:「紫」の部分は「紫微垣」「紫微星」に由来。敷地内にある「欽安殿」には玄天上帝が祀られている。

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