※本作における重大なネタバレが含まれるので、本誌を未読の方は閲覧注意。
「誰だ……? ですって?」
「あなたのお姉さんよ!! 伏黒恵!!」
概要
伏黒津美紀に受肉した1000年前の術師。会津出身。
当初は器である津美紀を装っており、100点を譲渡されたタイミングで「結界の出入りを自由にする」という予定外のルールを追加し、その正体を現した。宿儺や烏鷺亨子と同じ平安時代の術師であり、宿儺には一方的に恋慕していた模様。
なお、過去の術師が受肉した場合、当人の配慮等が理由の『共生体』(天使が該当する)か、主導権の奪い合いこそ発生するがお互いを完全に排除することができない『檻』(虎杖悠仁が該当する)でもなければ器の自我は殺し沈められるため、津美紀が受肉したタイプの泳者である時点で津美紀は死んだも同然である。この事実に気づいた伏黒は愕然としていた。
そして彼女の存在に大きな動揺と虚を突かれた伏黒ら呪術高専生らはそのままさらなる絶望に叩きつけられる。
人物
『イケメンも 干せばカピカピ いとおかし』
[万]
宿儺 「季語は?」
記事冒頭のセリフを言った際に醜悪な笑みを浮かべていたり、結婚願望があるもののいざ本人の前で口にするとキョドったり、乙女な言動の直後に『言質とった』と顔芸で叫んだり、若い男の生首を並べて宿儺と仲良く猿の脳ポタージュを食べて挙式をあげるという猟奇的な結婚式を妄想するなど、感情の起伏が激しく現代人とかけ離れた感性をもつ。
一方で、呪力の総量・出力共に平安の猛者と遜色なく、手に余る己の術式と向き合い苦悩しながらも鍛錬と研鑽を重ね、やがて烏鷺が率いていた「日月星進隊」と並ぶ藤氏直属征伐部隊「五虚将」を返り討ちにし、藤原家へと取り立てられるに至る。力を出し惜しみしている宿儺相手に『御厨子なしで勝てるとでも?』と啖呵を切り、肉弾戦では優勢を取る程の戦闘力を誇る。
宿儺との関係
妄想内とはいえ上述のツッコミをさせたり、「一方的に喋るんだから一々聞いてくるな」と呆れ顔で言われるなど宿儺が思わずツッコミをしてしまうというシリアスなキャラである彼とギャグシーンができる貴重な存在(?)
初見で虎杖の中に宿儺が潜んでいるのを見抜けなかった天使と比べて一発で見抜いて行動したり、宿儺と裏梅との関係を尋ねる等、彼に向ける愛は非常に深く重い。
当の宿儺自身は彼女を邪険にしながらもキチンと正面から誠実に向き合って対応する等、宿儺にしては珍しく彼女の実力を認めて対等に接している。
生前全裸で屋敷を徘徊していたところ、たまたま屋敷を訪れていた宿儺に一目ぼれし、彼に愛を伝えようと全裸のまま宿儺を抱きしめて彼の斬撃で一蹴されたという過去が明らかになっている(当然この時傍にいた裏梅からも下郎呼ばわりされたが一向に気にしていない)。
裏梅の料理人としての役割を知ることから、即死は免れ、その後もある程度、宿儺との交流はあった模様(羂索も「一方的な片思い」と二人の関係性を知っている)。
万との戦いの際に宿儺が愛を知っていることを察した彼女はそれを認めずに彼を倒して愛を教えるのは自分であると全力で戦って敗れる。
彼女の死後、五条悟と再び邂逅して熾烈な激闘をする中で宿儺は彼女の「愛と孤独」についての言葉を回想しており、愛については彼なりにどこか思う所があった模様。
術式
構築術式
禪院真依と同じく己の呪力を用いて無から物体を作る事ができる術式。
特殊な呪具を除き、鍛錬次第で万本人が認識できる物質はほぼ全て再現可能。しかし、真依が1日に銃弾1発しか作れないように、構築術式は他の術式に比べて燃費が悪い。真依より呪力の総量・出力に優れる万も例外ではなく、それにより平安時代の猛者と差異が無い呪力を持ち合わせていながら幾度も窮地に立たされていた。
そんな時に海を越えて旅をする蝶(漫画内イラストやその生態からアサギマダラ)の噂を聞き考え抜いた末、昆虫のエネルギー効率に着目し活路を見出す。更に昆虫の小さな身体から計り知れない身体能力から数多の生体機能を流用・特化させた肉の鎧こそ構築術式の極みと万は確信し、さらに一度構築してしまえば、呪力を通し続ける限り自在に操ることができる液体金属で、中距離戦闘をカバーするに至った。
液体金属は、半自律制御かつ呪力により物性を安定させたまま体積を変化させることが可能。万に追従し、自在に形状を変化させて攻撃することが可能。
肉の鎧は万の攻撃力、機動力、防御力を強化し、御厨子なしとはいえ宿儺と肉弾戦で渡り合うことを可能にする。また、宿儺の呪力で強化された貫牛の突進と万象の質量攻撃にも、破壊されはしたが万本人への致命傷は防いだ。
ただし、上述したように呪力効率が悪いため、運用方法が画一的であること、すなわちどんな形状のものを構築しても構成する物質は使い慣れた液体金属か肉の鎧を流用することを欠点として指摘されている。
ちなみに昆虫を使うきっかけになったアサギマダラの旅について、1960年代前半にその説が登場し1980年代に本格的に調査がされるなど生物の研究の歴史的にまだ日の浅い方である。
旅の蝶の噂の入手や昆虫の身体能力の解明など、平安時代というまだ昆虫の生態研究が乏しい時代である事を考慮すると、平安時代の昆虫博士と言っても相応しい知識と研究量及び構築術式に対する彼女の探求熱心さが窺える。
領域展開
三重疾苦(しっくしっくしっく)
掌印は地蔵菩薩。
液体金属で構成された完全なる真球に必中効果を付与する。完全な真球は平面に対する接地面積が限りなくゼロに近いため無限の圧力を生み、真球に触れると跡形もなく消し飛ぶ。この必殺の真球が必中になるため、五条の無量空処や真人の自閉円頓裹と同様に、まさに必殺必中の領域となっている。
領域内の物体のモチーフは昆虫の脳と神経。
「疾苦」は病気で思い悩むという意味であり、「Sick Sick Sick(しっくしっくしっく)」とかけていると思われるが、宿儺に対するあまりの愛憎からおそらく実際の病魔ではなく恋の病を意味している可能性が高い。
余談
- 生前の姿は黒髪ワンレンロングで磨呂眉の美人であり、何故か裸。同時代に生きた烏鷺も常に裸だったが、平安の女性術師は服を着たがらないのであろうか。