概要
10歳(もうすぐ11歳らしい)。
第三世代コーディネイターとしては現状で唯一の名有りキャラクターでもある。
父親を早くに亡くして母子家庭で育ったが、母親が軍人で任務に忙殺される日々から、自分に構って貰えない為に寂しい日々を過ごしている。
本編では回想シーンのみであり、後日談のドラマCDで本格的に登場した。
メサイア攻防戦でミネルバが敗北した後、最終的にタリアが息子のために「母」として生きる道ではなく、かつてギルバート・デュランダルの心の絶望に気付かず側に居てやれなかった故に彼を追い詰め、デュランダルの暴走によりザフト軍を含む大勢の命が失われた原因は自分にもあるとして責任を取るべく「女」として彼との愛に殉じる道を選んだために、ウィリアムは天涯孤独の身となってしまう。
タリアがギルバート・デュランダル、そしてレイ・ザ・バレルと「かりそめの家族」として心中してしまい、ただ1人残されたウィリアムは……。
ドラマCD『選んじゃった未来』
タリア・グラディス艦長の唯一の遺族であるウィリアムの元に遺品を届けに来たミネルバ副長のアーサー・トライン。艦長であるタリアを守れなかった事実をウィリアムに詫びる。
自分が艦長が何をしようとしているかを分かっていれば……とウィリアムにタリアを引き留めなかった選択を悔いるアーサー(実際、テレビアニメ本編でタリアが「決意」を持ってミネルバを降りた時に、アーサーは「軍人」としてタリアに敬礼して見送っている)。
しかし、ウィリアムは10歳の子供とは思えないほど冷静に淡々と「母は不時着したミネルバから勝手に一人で降り、メサイアに向かった」客観的事実を告げた。
「母は……その時全てを捨てたんです。艦も、艦長としての責任も、キャリアも……そして僕もね」
遺品……タリアの軍服、私服、化粧品、本、カップ、勲章……ずいぶん前に撮ったであろう古い自分との写真さえも……自分が持っていても仕方がないので全て処分すると淡々と告げるウィリアム。
「いや、ちょっと待ってよ!!」
余りに頑ななウィリアムの態度にアーサーは困惑し、慌てて遺品を持ち帰ってしまう。
アーサーは溜め息を吐きながらカフェらしきところで食事を取っていた。
その時、運命のいたずらか偶然アスラン・ザラとばったり遭遇する(ちなみにアスラン・ザラはミネルバ隊を裏切り、ミネルバのエンジンを撃ち落とした張本人である。その負い目を自覚してか、アスランは物凄く気まずそうにしていた)。
もしここにいたのがアーサー以外のミネルバ隊員だったら、一触即発状態になったのかも知れないが、アーサーはコズミック・イラ世界一のお人好しなので、アスランを見ても「奇遇だなぁこんなところで会うなんて」「ともかく座って、座ってよ~」等々、飄々とした調子でアスランを同席に誘った。
そして、アーサーは色々無駄話の後ウィリアムの話をしたが、自身も両親との死別を経験したアスランは、ウィリアムは難しい年頃であること、悲しすぎて遺品を受け取れないのかも、遺品を処分されるのが嫌なら彼と話し合うようアーサーにアドバイスする。
「何ですか? その箱また持ってきたんですか?」
アーサーは再びウィリアムのもとを訪れ、遺品を自分が預かりたい旨と、その資格のためにウィリアムの第2後見人になりたいと申し出た(第1後見人はウィリアムの学校の校長)。
「そんなに母が好きだったんですか? そんなことまでして、こんなものを守りたいって言うんですか?」
馴れ馴れしいアーサーに苛立ちを覚えるウィリアム。
「タリアが遺したものの中で、一番大事で守りたいものはウィリアムだ」と告げるアーサーだったが……
「母の事が好きで、母が愛したものを守りたいっていうなら、これを守ればいいでしょう! 軍服に! 勲章に! 母が大切にしていたものは全部この中だ! 僕は違う!!」
ウィリアムは怒りを爆発させ、タリアの遺品の入った箱を蹴りつけた。
タリアにとって大切なものは全てこの箱の中で、自分はその中には含まれていないと。
止めようとするアーサーに、ウィリアムは激昂して軍人の責任も母親の責任も放棄して前の恋人と心中した母親に失望していた本心を打ち明けた。
「ちゃんと知ってるんだ僕は! 母さんは、アイツのところへ行って、アイツと一緒に死んじゃったんだ!!」
自分の事なんて全然……と嘆くウィリアム。
ウィリアムの悲痛な叫びに、彼の心情を見かねたアーサーは……
「そんなことないよ……って言ってあげたいけど、それは僕には正直わからない……」
「でも、艦長はいつも君の写真を持ってたし、よーく見てた」
「僕は、それは知ってる」
アーサーが「自分の気持ちを正直に話していい」と励ましたのを契機に、ウィリアムは自身の身の振り方を考え直し、自分を気にかけてくれるアーサーに対して歩み寄る姿勢を見せる。
この経緯が功を奏したようで、互いに「ウィル」「アーサー」と呼び会える関係となった模様。
余談
謎
ドラマCD内で「アイツ」と呼ばれていたデュランダルは、タリアの息子ウィリアムと面識があったのだろうか?
いずれにせよ、タリアの夫が亡くなっているのにデュランダルが内縁状態でも彼女と夫婦になれなかったのは、デュランダルがウィリアムに相当嫌われていたのが原因だったのかも知れない。
担当声優
ウィリアム・グラディスの担当声優には本編でメイリンを演じていた折笠富美子女史がキャスティングされている。
これは「非常に複雑な状況にあるウィリアムの役を演じてもらうには、事情を理解している本編に出演していた人にお願いする方がスムーズに演じてもらえるだろう」との理由から。
スパロボでは
スパロボではタリアが戦死しないルートも多いため、ウィリアムが退役したタリアと幸せに暮らしている時空もあると思われる。
特に『スーパーロボット大戦L』では、ミネルバ艦長タリア・グラディスは我が子ウィリアムの自由な未来を守るためにデスティニープランに断固反対し、「母」として「元恋人」のデュランダルと決別の道を選ぶと、テレビアニメ本編とは正反対の決断をしている。
関連タグ
機動戦士ガンダムSEEDDESTINY タリア・グラディス アーサー・トライン
「コズミック・イラ」シリーズ関連
- 風花・アジャー:コズミック・イラシリーズにおける名有りの子供キャラクター仲間。こちらは母が傭兵であるナチュラルの少女でデスティニー時は8~9歳(劇場版の時間軸だと10歳前後と思われる)。父親が不明であるため自分にコーディネイターの血が流れているのを期待している時期もあったが、カイト・マディガンから彼の過去や捨てられたコーディネイター達の悲惨な実態を知ってからは、前述の考えを持たなくなった。
他作品関連
- アンドレイ・スミルノフ、ジョナサン・グレーン:「アーサーに出会わないまま青年に成長したウィリアムのIF」とも呼べるサンライズ作品のキャラ。特に後者はウィリアム同様、母親に蔑ろにされていた幼少期を持つ点が酷似しているが、こちらは最終的に死別せずに和解している。
- 志村弧太朗:サンライズ作品ではないが、上記の2人と似た道を辿ってしまった人物。