概要
バンプレストより、2002年11月28日に発売されたアニメ『ルパン三世』を題材としたプレイステーション2専用ゲームで、ルパン三世シリーズのゲームとしてはPS2で最初に発売された作品。
架空のヨーロッパの都市「ゴルデンガッセ市」と、そこにそびえ立つ古城「ハンネヴァルト城」を舞台に、いにしえの魔術王「ランドルフ二世」が遺したと言われる財宝とそれの鍵となる「栄誉の水差し」「勝利の水差し」を巡りルパン一味と裏で暗躍する謎の組織とのお宝の争奪戦を描く。
大まかなゲーム内容は、変装やアイテムを駆使し旅客鉄道や古城に潜入する前半と、ワルサーP38をメインにして悪党やクリーチャーを相手にする後半に分かれている。
音楽担当の大野雄二、キャラクターデザインの平山智と小林利充（エンディングでは『小林充利』と誤記されている）、シナリオ監修の柏原寛司と飯岡順一、音響監督の加藤敏、ゲストキャラの声優も過去にアニメ版に出演経験のある人物が多数など、本作発売当時のルパン三世のTVスペシャルに関わっていたスタッフやキャストが多く、アニメと同じ効果音やシナリオ等も相まってさながら一本のTVスペシャルをプレイヤー自身で追体験するような気分を味わえる。
このようにアニメ版ルパン三世に対するリスペクトと愛に溢れた作品ではあるが、難易度に関してはPS2で発売された同作のシリーズで一番高く、中には攻略本等を見てやっと分かったと嘆くプレイヤーも当時は多数いたとか。
あらすじ
世界中の財宝をあらゆる手を駆使して手に入れる世紀の大泥棒、ルパン三世。
今度のターゲットはヨーロッパのとある街「ゴルデンガッセ市」に佇む古城「ハンネヴァルト城」の現当主「テオドール・ハンネヴァルト」主催のチャリティーパーティーに展示されるという「栄誉の水差し」。
水差しだけでも一見高価そうに見えるがこれはルパンが狙っている真のお宝の鍵に過ぎなかった。
ルパンの真の狙いは、ハンネヴァルト城の何処かに隠されているという大量の金貨。
その金貨はいにしえの時代に『魔術王』と呼ばれた「ランドルフ二世」の遺産だという。
金貨の在り処の鍵となるのが栄誉の水差しとテオドールの所持する「勝利の水差し」。
更に、栄誉の水差しの現所有者にして今回のチャリティーパーティーの協力者である少女「テレーゼ・ファウスト」も何かを探ろうとしていた。
果たして、ルパン一味は『魔術王の遺産』に辿り着くことが出来るのか…？
登場人物
レギュラーキャラクター
CV：栗田貫一
お馴染み、世紀の大泥棒で本作でも勿論主人公。
本作では基本的に彼を操作し、アニメさながらに様々な変装を駆使してマップを探索する事になる。
ただし、ゲームシステムの都合上か、はたまたプレイヤーに分かり易くする為かゲーム中では顔までは変装していない（オープニングムービー中の銭形の変装時とエンディング手前のとあるシーンは除く）。
また、本作ではアニメ版と同様に『大悪人以外には無闇にワルサーを発砲しない』というルールがあり、警察官や銭形に発砲した時点でゲームオーバーになってしまう。
CV：増山江威子
お馴染みのヒロイン。
本作でもやはりルパン達とは別行動で財宝を狙っており、途中までは単独行動をしていた。
作中後半ではなんと敵の拷問により死亡してしまう。
後述の老人により蘇生治療が行われるも、その後どうなったかは明確には描かれていない。
しかし、物語ラスト手前でそれらしき人物が列車のホームで新聞を読んでいたので恐らく治療は成功したものと思われる。
CV：小林清志
お馴染みのガンマン。
本作では途中で操作キャラの一人となる。
アニメ版と同様にルパンと手分けしてマップに潜入したり、本作ではコックに変装する姿も披露している（この際、目元は完全に見えている）。
ルパンと同様に遠距離からの攻撃が得意で、後述の五エ門との選択で操作キャラを選ぶ際は次元の方がプレイ難易度は下がる。
ただし、彼の愛銃コンバットマグナムはルパンのワルサーよりも弾丸の装填数が少ないので注意。
「面白くなってきやがった!」と『過去の次元と因縁のある敵キャラ』は本作でも健在。
CV：井上真樹夫
お馴染みの居合いの達人。
次元と同様に、ゲーム途中で彼を操作するパートがある。
しかし、他の二人と違い飛び道具を持たず、攻撃は専ら斬鉄剣での接近戦になるので立ち回りが難しく、二人と比べると難易度は高い。
その代わりに一発の攻撃力が高く設定され通常の斬撃でも戦闘員程度なら一撃で倒せるほか、敵の銃弾を弾き返す技があり威力は通常攻撃よりも劣るが敵に対して当たり判定もあり高速斬撃としても使える。
その風貌から一般人から怪しまれる事があり、途中で寄る骨董品屋でも次元の時と店員の態度が大きく異なる。
お約束の「またつまらぬ物を斬ってしまった」も健在。
CV：納谷悟朗
お馴染みの警部。
本作でも同時期のアニメ版と同様にコメディリリーフ的な側面が目立ちテオドールやラングとも折り合いが悪いが、最後の最後で大手柄を挙げる。
輸送列車とハンネヴァルト城の中庭で遭遇するが、他の警察官達と違い、麻酔銃に対する免疫があるのか比較的短時間で眠りから覚める。
ゲストキャラクター
- テレーゼ・ファウスト
CV：倉田雅世
本作のゲストヒロイン。16歳。
魔術王の遺産の鍵となる「栄誉の水差し」の現在の所有者で、元々は父親である考古学者トマーシュ・ファウストが発掘したもの。
水差しを狙うルパンと知り合った事で彼に興味が湧き、行方不明となった父の捜査を頼もうとする。
彼女の身につけているペンダントは、水差しと並び物語の大きな鍵となっている。
- テオドール・ハンネヴァルト
CV：坂東尚樹
ハンネヴァルト城の現当主。
表向きは由緒正しい紳士を演じているが、裏では秘密結社「ラーベンクロイツ」を率いており、魔術王の遺産の一つの巨神像『タロス』を狙って最終的には世界征服をしようと企む。
テレーゼのペンダントは、このタロスを起動させる為のキーであり、同時に彼女の父親を殺害した張本人である。
彼自身も魔術師ランドルフ2世の血を引いており、タスラムという杖によって火を操る魔法を使う。
本作のラスボスだが、錬金術の秘術を使ったその姿にトラウマを植え付けられたプレイヤーも少なくない。
しかし、ラスボス戦のBGMが『ルパン三世’79』で、盛り上がりで帳消しされるという声も。
- レオポルト・ラング
CV:島香裕
ゴルデンガッセ市の警察署長だが、銭形との折り合いも悪い。
実は裏でテオドールと繋がっており、ハスダルとの密会をルパンに目撃されている。
ハンネヴァルト城の崩落後、消息不明になっており唯一の生存者とも言える。
- フランツ・ハスダル
CV：大塚明夫
アニメ版では定番の『次元と過去に因縁があった敵キャラ』枠の一人。
テオドールに用心棒として雇われた傭兵部隊のリーダーで、左目は失明しているのか普段は閉じているが感情が高まったりした際は開けており、その際は白目で描かれている。
手段の為なら仲間を平然と切り捨てる冷酷な性格。
余談になるが、ハスダル役の大塚明夫は約20年後に小林の後任として二代目の次元役に就任した。
- カール・シクスト
- マティアス・クルツ
CV：天田益男(シクスト)
矢尾一樹(クルツ)
二人共にハスダルの部下であり、彼同様に次元と因縁がある。(ゴラン高原での戦いで遭遇したらしい)
シクストはAKMとスタンスティックを使う大男、クルツはナイフ使いの痩せ型の男。
作中ではハスダルのオマケ程度の扱いで影が薄く、次元と五ェ門の連携攻撃によりハスダルより先に纏めて倒されている。
- 謎の老人
CV：松岡文雄
ハンネヴァルト城の地下でルパンが出会った、不思議な力を使う老人。
その正体は大昔に弟に幽閉されたランドルフ二世その人で、錬金術を研究していく内に不死の体になったという。
ゲームのサブタイトル『魔術王の遺産』とは金貨の他に彼の創り出した巨神像やゴーレムやガーゴイルといった魔物も含まれ、ルパン一味は金貨を、テオドールは巨神像を狙っていた。
彼から渡された黄金の弾丸は、テオドールに勝利する鍵となった。
全てが終わったあと、ハンネヴァルト城跡の洞窟にゴーレムと共にいた。
音楽
オープニングテーマ
TV版第2シリーズの3代目OPとして使用されていた楽曲。本作ではOPムービーの他、ゲーム中でも劇中BGMとして度々挿入され、ラスボス戦でもメインBGMとして使用された。
エンディングテーマ
- 約束/歌：浅沼小佳夏
本作の為に新規で製作されたEDテーマ。こちらも作曲・編曲共に大野が担当しているのでアニメ版の雰囲気をそのまま残す楽曲となっている。
劇中BGM
本作のBGMは基本的には大野雄二が担当した過去のTVスペシャルからの流用だが、中には本作の為に新規製作されたものもある。前述の新規エンディング曲と共にオリジナルサウンドトラックが発売・収録されている。(ただし、TVスペシャルからの流用曲は未収録が多い)
備考
本作は元々OVA『生きていた魔術師』のエピローグとして企画されたものが同作の製作遅延により全く別のシナリオになった、という経緯がある。
