ゴラン高原
ごらんこうげん
ゴラン高原(ゴランこうげん、アラビア語:هضبة الجولان、ヘブライ語:רמת הגולן、英語:Golan Heights)は、中東北部に位置する高原。シリアとイスラエルが領有権を争っている。以前はシリア高原と呼称されていたが、シリアと国際連合はこの地をシリアに帰属するアル・クナイティラの施政区域(クネイトラ県)の一部であると考えている。
1967年6月にイスラエルは第3次中東戦争に勝利し、この地を奪って占領した。1981年12月に併合を宣言したが、国際社会はそれを承認してこなかった。1967年6月にイスラエル国防軍が占領して軍政下に置き、1981年12月に制定されたゴラン高原法に基づいて民政下に置かれた。イスラエルを除く当事国・国際連合・ほとんどの国際連合加盟国はイスラエル領である事を承認しておらず、イスラエルの併合は国際法に対して無効である旨の安保理決議497を採択し、この地がイスラエルによって不当に併合されたシリア領であるという見解が固定化した。
1974年5月に国際連合のPKO・国連兵力引き離し監視隊が設立され、停戦合意の実施を監視して地域の現状を維持している。日本は1996年2月から自衛隊を派遣していたが、シリア内戦による情勢の悪化に伴って2013年1月に撤退している。
2019年3月にアメリカのドナルド・トランプ大統領は、ゴラン高原におけるイスラエルの主権を承認する宣言に署名した。これに対してシリアのバシャール・ジャファリ国際連合大使は「これはアメリカ政府とその同盟国が非倫理的・非合法的な方法を使って進めている犯罪計画だ。」と猛反発し、国際連合・日本などは引き続きイスラエルの主権を承認していない。同年6月にイスラエルがゴラン高原の新たな入植地をトランプ高原と命名するなど、イスラエルによる実効支配は一段と強まっている。