概要
前作「ロシアより愛をこめて」の視聴率がイマイチだったことから、本作をもってルパン三世TVスペシャルは完結となるはずだったが、本作の視聴率が22.0%と好調だったことでシリーズの続行が決まり、以降の20年近くは年に一本のペースで続くことになった。
監督は出崎統が降板し、1stシリーズの前期監督を務めていた大隅正秋(おおすみ正秋)が起用された。(ただし、出崎氏も演出で携わっている。)
しかし、この作品を境にルパン三世役の山田康雄が体調を崩したことで、従来よりルパンの声に勢いが無いとファンの間で話題になった。(冒頭で次元に向かってルパンが「ハードボイルドってのは高級浪花節よん」と言った直後にその言葉に感涙した銭形に抱きつかれ「く、苦しぃい!」と言ったシーンが「台本上の台詞とはいえ生々しい」とネタにされるなど)
完結編ということもあってか、「カリオストロの城」でルパンと次元が乗っていたフィアット500(本作は車体が黄色ではなく薄い水色だが、車上に大量の荷物を積載するのも共通)やTVスペシャルに登場が無かったベンツSSKにルパンたちが乗るなど、様々な原点回帰の様子が見られる上、ルパンの雰囲気も1stシリーズをイメージした渋いものになっている。
ちなみに絵コンテでは、次元には基本的に目を見せないでくれと指定が入っており、帽子が取れるシーンや目を見せるシーンが一切ない。
また、銭形警部とルパン一味が最初から手を組むというTVスペシャル上珍しいストーリーになった。
あらすじ
ある日、ヘマをやらかし警察隊に追われたルパンと次元は、アジトまで逃げ込んだものの周りを完全に包囲される。銭形も登場し万事休すかと思われたが、銭形の指示で警官は全員引き上げ、銭形も単身無防備でアジトに訪ねてくる。
なんと銭形はルパン捜査から外されてしまい後任には傭兵あがりのキース・ヘイドンが着任してしまったというのだ。ルパンと共にやけ酒を飲む銭形だったが、その辞令には「武器密売組織”ショットシェル”の壊滅捜査を命ずる」という続きがあった。現金取引が基本の武器密売という点に目をつけたルパンは銭形に協力を申し出、裏で組織の金を全て盗み出す計画を進める。
ルパンは不二子、五ェ門も呼び寄せ、原子力潜水艦開発に協力した核物理学研究所のカレン・クオリスキー教授も拉致した後に原潜「イワノフ」を強奪。世界中の原潜を欲しがる国々からのコンタクトを蹴り、ショットシェルからのコンタクトを待つ。
しかし、カレンにはかつて次元によって父を殺されたという過去があったという。二人の間に不穏な空気が漂うが、とうとうショットシェルの経営者ジョン・クローズからのコンタクトを得る事に成功し、ルパンは取引のためルパン・次元・不二子の組とカレン・五ェ門・銭形の組に別れ、ルパン組はショットシェルの本拠地へ向かい、銭形組はカレンを匿うために身を潜めた。
ジョンが計画していたのは裏の武器取引でも存在しなかった「核兵器」の売買であり、そのために原潜泥棒にも成功したルパンとの協力を求めるが、同時に核兵器開発のノウハウを持つカレンの行方も探そうとする。ルパンは組織の金を探る為、ジョンの要請を快諾するが、あくまでカレンのことは知らんぷりを決め込む。
しかし、その頃、ルパン一味を追うキースの手にかかり、五ェ門が刺殺されてしまっていたのだ。そして、その魔手は残されたルパン一味にも迫っていた……。
ゲストキャラ
リンクが張ってあるキャラはリンク先を参照。
CV:田中敦子
ロシアの核物理学の研究者。
CV:石塚運昇
ICPOで銭形の後任として任官された捜査官。
CV:野沢那智
武器密売組織『ショットシェル』の首領。
- ブラット
- マローン
ショットシェルの社員で大柄な男がブラット、小柄な男がマローン。
ブラットの方は、カレンを拉致しようとして五ェ門と不二子に阻止されているが、守衛を音を立てずに殺すなど相当な腕を持っている。
マローンの方は、アジトでの勤務が多い。
最期は、クローズ諸ともイワノフの爆発で死亡した。
余談
- 銭形がルパン捜査から解任された7月23日は本作の放送日であり、あわせて設定されたもの。
- 完結する予定だった名残なのか「引退」やら「老後」やら終末を思わせる台詞が今作には多い。次回作ではそういった台詞は存在しない。もっとも従前にそう言う話がでなかったわけでもない。
- またそのため、TVシリーズの集大成的な面がある。「ICPOが銭形を解任してルパン射殺を企図する」のは第2シリーズ第66話『射殺命令!!』、ロシア原潜イワノフ強奪はPartIII第50話『原潜イワノフ抹殺命令』(当時はソ連)といった形である。