主力戦艦
しゅりょくせんかん
- 現実の戦艦を指す用語としてはウィキペディアを参照のこと→主力戦艦
- 宇宙戦艦ヤマトに登場するメカのこと。本項で説明する
- YAMATO2520の戦艦はドレッドノート型戦艦の記事にて
- 2202版の戦艦はドレッドノート級前衛航宙艦の記事にて
概要
地球防衛軍が、ガミラス帝国との戦争後に建造した主力戦闘艦。
艦型は、量産性に適したと思われる直線的な紡錘型をしており、のちに建造された艦隊旗艦であるアンドロメダと共通したものである。
艦橋もヤマトを意識した様な塔型であるが、より前後に長い大型のもので、煙突は装備していない。
具体的に何かは不明だが、増槽を思わせるタンク状のパーツを艦底部に2つ備えており、当然ながら機関は波動機関を搭載。防御面に関しては不明である。
「主力戦艦」という名の通り、前述の「さらば」と「ヤマト2」では量産型の戦艦として多数登場している。地球防衛軍艦隊の主力として、艦隊旗艦アンドロメダと共に白色彗星帝国の艦隊と戦い、その印象を大勢の視聴者やファンに残した。
初登場は映画「さらば宇宙戦艦ヤマト」、テレビシリーズ「宇宙戦艦ヤマト2」にも登場したが、それ以降のシリーズや映画には登場することはなかった。
評価の高いデザイン
当初、主力戦艦は、言うなれば「名前のないモブキャラ」のような存在であった。
宮武氏はアンドロメダのあとに主力戦艦をデザインしており、言わば「アンドロメダの縮小版」いう印象が強い。
ただし、劇中設定では主力戦艦を基にアンドロメダが開発されたとされる。
地球防衛軍艦隊の艦船の中で、ヤマトとアンドロメダ、ゆきかぜ以降で、まともに名前を与えられた艦が登場するのは宇宙戦艦ヤマトⅢ以降。しかも、前述のように、主力戦艦は「さらば」と「ヤマト2」以外では全く登場しないため、各艦の名前は定まっていなかった。
しかし、そのデザインは「モブ」という域を越えており、多くの視聴者やファンに強い印象を残した。
現代で言う「量産メカ好き」に注目された、黎明期のモブメカであろう。
宇宙戦艦ヤマト2 & さらば宇宙戦艦ヤマト
主力戦艦
スペック
- 全長、242m
- 全幅、45.8m
- 基準排水量、55,000t
- 兵装
・艦首拡散波動砲×1門(ゲーム版では収束型波動砲仕様も存在)
・三連装46cm衝撃砲(ショックカノン)×3基(宇宙空母型は2基)
・六連装大型艦橋砲×1基
・固定式四連装舷側砲塔×2基
・対空パルスレーザー砲×10門(宇宙空母型は12門)
・ミサイルランチャー×10門
- 主機、波動エンジン×1基
- 補機、補助エンジン×2基
攻撃性能において、本級が搭載している兵装は、全てヤマトと同類のショックカノンであり、それを3連装3基計9門装備して主兵装としている。
さらに決戦兵器拡散波動砲も装備し、一隻でも旧世代の艦艇で構成された艦隊とは比較にならないほどの戦闘力を有している。
拡散波動砲においては、メディアによって2門とする所もあるが、1門の設定が通説になっている。
なお、対空火器は10門とあるが、パルスレーザーが連装2基と三連装2基というもので、ヤマトに比して非常に少ない。
しかし、「さらば」では密集隊形を組み主砲による遠距離迎撃とパルスレーザーによる近接防空によってバルゼー艦隊の空襲を退けている。
装甲および耐久力に関しては、被弾場面が省略され爆沈する場面のみが映るケースが多い関係で劇中描写が少なく、どの程度の装甲と耐久性を有しているかも不明。
「さらば」では潜空艦の雷撃で少なくとも一隻が大破しているがやはり何発被弾したかの描写もない。「2」では火炎直撃砲により多くの艦が消滅させられている、これも超兵器ゆえに参考にならない。
航行性能においては、波動エンジンを搭載しているため、ヤマトと同等の性能である事と推測できる。
なお、ゲーム版においては外宇宙航行のための設備が省略されているとされるが、暗黒星団帝国戦役において外宇宙航海可能な描写がある。白色彗星帝国戦役後に追加装備されたのだろうか?
ヤマトと同様、艦尾下部に艦載機発進のハッチがあり、コスモタイガーIIを搭載しているとされていたが、劇中で発進シーンはなかった。
なおゲーム版では、このハッチは無かったことにされている。
経歴(劇場版)
劇場版「さらば宇宙戦艦ヤマト」の劇中では、既に数十を数える拡散波動砲装備艦(バルゼー艦隊来襲時点でアンドロメダを含め戦艦は36隻(=主力戦艦は35隻))が戦列に参加しており、すべてこの戦力に地球政府高官達はみな慢心しきっていた。
事実バルゼー率いる機動艦隊との戦闘では終始戦闘の主導権こそ許すものの波状攻撃の多くを凌ぎ切り、アンドロメダの拡散波動砲によって返り討ちに遭わせている。
この際主力戦艦がはっきり戦闘している場面が最初の空襲時にしかなく、あとはアンドロメダの戦闘場面しか描かれていない。
その後、残存艦艇と共に、白色彗星帝国(彗星状態)本体へ拡散波動砲を一斉射するも通用せず、そのまま全ての艦がアンドロメダと共に白色彗星の高圧ガスの渦に引きずりこまれ破壊され、あっけなく全滅してしまった。
経歴(TV版)
TV版の「ヤマト2」においてはアンドロメダ率いる連合艦隊だけでなくヒペリオン艦隊などの衛星所属艦隊に旗艦として配備されているが、ヒペリオン艦隊旗艦はロクに砲撃が当たらないまま大戦艦の衝撃砲によって返り討ちに遭い、活躍できぬままに爆沈してしまっている。
さらにその後も連合艦隊本隊の主力戦艦はバルゼー艦隊旗艦メダルーザによる火炎直撃砲により消滅させられる艦が続出する。しかし土方竜提督の機転で形勢が逆転し、火炎直撃砲の暴発によって発生した乱気流に翻弄されるバルゼー艦隊をショックカノンの一撃のもとに次々と屠り、ただ一隻残った旗艦メダルーザも集中砲火により宇宙の塵と変えた。
しかし、直後に出現した白色彗星への攻撃では高圧ガス帯こそ振り払うことには成功するものの、都市帝国の回転リングからのミサイル攻撃により全滅。
正確に言うならば、ガスを取っ払った直後に都市帝国へ突撃開始したのを最後に画面から消えており、都市帝国がミサイル攻撃を開始した時点でアンドロメダ1隻だけになっている。
最後に残ったアンドロメダもミサイルが多数被弾して制御不能となり、都市帝国の回転リングに激突して爆沈した。
ゲーム版
「さらば」が公開されてから22年後の2000年5月2日。プレイステーション用ゲームとして、「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」が発売された。
その劇中にも主力戦艦は登場し、総参謀長の座乗する「薩摩」という名前を与えられた主力戦艦が、ヤマトと行動を共にすることになる。操作も可能。
また、その4年後からプレイステーション2用ゲームとして、「イスカンダルへの追憶」、「暗黒星団帝国の逆襲」「二重銀河の崩壊」という、俗に言う「三部作」が発売され、劇中では薩摩の他、「加賀」、「メリーランド」、「蝦夷」、「アイル・オブ・スカイ」などの名前を与えられた主力戦艦が登場する。
さらに、PS2でのゲーム三部作では、主力戦艦の前期型と後期型、無人艦や戦闘空母型などの派生型が多数登場している。
メカニックデザインは、宮武一貴が改めてやり直し、艦体前部が旧作アニメ版よりも延長され、よりスマートな印象となっている。
前期型
前期型は、白色彗星帝国との戦いに参加したものの、ダメージを受けて戦列から離脱した艦となっている。艦首に拡散波動砲を、三連装の主砲を3基装備している。
艦体色は原作と同じで、青みがかったグレー(ブルーグレー)となっている。同型艦は「薩摩」「比叡」「榛名」「扶桑」「山城」「加賀」。
後期型(甲型、乙型)
後期型は前期型の拡散波動砲に代わり、ヤマトと同じく収束型の波動砲を装備している。甲型は砲撃命中時の威力にやや補正があり乙型は速力と機動性に優れるとされる。それ以外では特に変更点がなく、外見的には艦体色を除けば前期型とほぼ同じ。
カラーバリエーションは、紺色(甲型)と、クリーム色(乙型)の2種類がある。同型艦は甲型が「蝦夷」「ネヴァダ」「ドレッドノート」、乙型が「メリーランド」「アイル・オブ・スカイ」「金剛」。
亜種型(丙型)
波動砲を撤去した戦艦で、ゲームならではのオリジナル設定戦艦である。「ロイヤルオーク」「イリノイ」「アーカンソー」という名の艦がそれであり、波動砲を撤去されている代わりに、防御性能を高くされている。また戦艦譲りの強力な主砲はそのままなので、決して役に立たない艦ではない。艦首周りの塗装は前期型に比べやや薄いクリーム色でノズル周りはほかの型と違い黒系となっている。
防衛軍実験型戦艦
主力戦艦を基にした無人制御型戦艦。「無人戦艦」とも言われる。
参謀長直属の艦隊として火星~木星間小惑星帯に配備され、地球から無断で発進したヤマトを迎撃する。『ヤマト2』に登場した戦闘衛星の役回りを担っている。
宇宙戦艦ヤマト復活篇
主力戦艦
「宇宙戦艦ヤマト復活篇」において、主力戦艦をモデルとした主力戦艦が多数登場。
設定資料では『ドレッドノ-ト』という記載もあるが、基本的には主力戦艦と呼ばれる。
メカニックデザインは小林誠。
旧主力戦艦に比べさらに直線的になった長方体型の艦体をしており、箱型艦橋の上段にはアンドロメダに通じるレーダー部分や、ヤマトの様に第3艦橋を艦底部に備えているのが特徴である(タンク状パーツは撤去されているが)。
武装は拡散波動砲1門、三連装主砲塔3基、対空パルスレーザー機銃(格納式)を主に備えており、主力戦艦を受け継いでいるのが窺える。また主力戦艦よりも対空迎撃能力が向上しており、格納式ではあるが多数の機銃砲塔が備え付けられている。
艦名については、「はつゆき」「しらゆき」「しまかぜ」「きりしま」など、旧大日本帝国海軍でいう駆逐艦に付けるような名前を与えられている。もっとも、現代の海上自衛隊では、艦種別という概念がなくなり『護衛艦』に統一されたり、各国でも旧駆逐艦に相当する艦種が巡洋艦レベルの排水量にまで拡大している点を鑑みたものかもしれない。
スペック
- 全長:不明
- 全幅:不明
- 主機:波動エンジン×1基
- 兵装
・拡散波動砲×1門
・三連装ショックカノン砲塔×3基
・格納式対空パルスレーザー機銃×多数
攻撃性能において、敵勢力である大ウルップ星間国家連合の戦闘艦艇に対して、十分な性能を有している。大抵は1撃で撃沈破することが可能であり、それは旧来の主力戦艦譲りの戦闘能力であろう。ベルデル軍の航空戦艦を1撃で破壊している実績を有している他、SUSの戦艦も撃沈している。
防御性能において、そこそこの防御装甲の模様。当たり所にもよるようで、冒頭では第2砲塔付近に命中弾を受けてバランスを崩した戦艦などもいたり、一撃で戦闘不能になったような戦艦もいた。
航行性能において、高い機動性を有しているような場面は見受けられはしなかった。
経歴
本級は地球連邦が投入した9個艦隊全てに配備されており、各移民船団護衛の為に同行していた。しかし第1次移民船団に同行した艦隊200数隻は、SUSの待ち伏せ攻撃にあって壊滅。
多数の撃沈艦を出してしまったが、中には単艦にて拡散波動砲でSUS艦隊に風穴を開けた戦艦もいた。第2次移民船団は連合国で構成された艦隊の待ち伏せにあって壊滅。
第3次移民船団では、第7〜9艦隊を構成していた。こちらは古代進が敵奇襲の可能性を考慮していた故に、多数で襲い掛かる連合艦隊を相手に奮闘した。
さらに旗艦ヤマトの存在があってか、その戦意は高く、エトス星艦隊司令長官ゴルイ提督もその士気の高さに気づいていた。アマールに到着した頃には、艦隊は160数隻と数を減らしてはいたが、倍近いと推定される連合艦隊に半包囲されかけながらも、奮戦し見事に戦線を支えきったことは、賞賛されるべきであろう。
最終決戦であるウエスト星系では、SUS要塞に肉薄せんとして突撃戦を仕掛ける。しかしSUS司令官バルスマンとメッツラーの冷酷な判断によって、星間国家連合艦隊を巻き込んで地球・アマール艦隊は要塞主砲ハイパーニュートロンビームによって消滅してしまった。
この際ヤマトのみが回避行動をとったことは、配下の艦隊を見捨て自分だけさっさと逃げたように見えると突っ込まれる事も。
ただし、全ての艦が損失していた訳ではないようで、少なくとも先に帰還させた移民船団を護衛していた2隻(DC版に艦名が登場する残存艦「しまかぜ」「きりしま」との関係は不詳)は生き残った可能性が高い。