E721系
いーななにいちけい
概要
719系や701系では置き換えきれなかった国鉄型車両を置き換え輸送の改善を図るため、JR東日本が2007年より仙台近郊の路線に投入した交流一般形電車。のちに719系をも置き換えるため1000番台が増備された。
構造
営業最高速度 | 110km/h |
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設計最高速度 | 120km/h |
起動加速度 | 2.2km/h/s |
減速度 | 4.2km/h/s(常用最大、非常) |
歯車比 | 1:5.93 |
駆動方式 | 平行カルダン駆動・TD継手方式 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機・1時間定格出力125kW MT76 |
制御方式 | IGBT素子VVVFインバータ制御 CI14形 |
制動方式 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ・直通予備ブレーキ・抑速ブレーキ・耐雪ブレーキ・純電気ブレーキ |
台車 | 軸梁式ボルスタレス台車 DT72形・TR256形 |
製造所 | 川崎重工業、東急車輛製造、総合車両製作所 |
車体
前面に貫通扉を持つ軽量ステンレス車体で、片側両開き3ドアでデッキ無車体なのは701系と同じだが、拡幅車体を採用。前面は貫通扉以外はFRP部材でカバーされる。行先表示器は貫通扉上に3色LEDの物が設けられ、701系の物より大型化し見やすい。前照灯(HID灯、ディスチャージランプとも)と尾灯(LED)は左右の前面窓内にイン。
大きな特徴は、東北地方に多い客車向けの低床ホーム対策として大胆にシャコタン化した車体であり、他に例の無い異型なシルエットを形作っている。低床ホームのある線区向けの車両は電車・気動車問わずそれまで扉部分にステップを設けていたが、バリアフリーの観点から、E721系では床面高さを思いきり下げることでステップを無くした。そのため、701系と併結すると車体裾の高さがかなり異なるデコボコな編成が出来る。このシャコタン車体実現のため、後述の台車や床下機器、配線や配管にかなりの工夫がなされている。
しかし、他形式(主に701系)との併結運転のため貫通扉の高さは従来車両に合わせており、客室と貫通路の間に180mmの高低差がある。
後述する1000番台では4両編成化のため新たに中間車が設定されたが、先頭車の寸法に準じているため車端部の長さと窓の幅が前後で異なり、扉の配置が全体に偏っているのが分かる。
車内
片側3扉・デッキ無の客室にセミクロスシートを有し、扉間にボックスシートが片側2区画ある。後述する磐越西線の快速「あいづ」用の指定席車両は後の改造によりクハのトイレ寄りの区画にリクライニングシートを4列備える。
扉上の案内表示はE233系のようなLCDモニタではなく1行分の3色LEDである。
床面高さは思い切り下げられているが、屋根の高さは一般的な車両に準ずるため、結果として天井が110mm高い。
前述の通り、客室と貫通路の間に高低差があるため、客室と運転室の間にステップが設けられており、ステップに乗客が通る際につまづかないようLEDライトを付けて注意喚起している。
仙台空港アクセス線で運行される500番台とSAT721系では空港利用客のためにクモハに荷物置き場が設けられており、その箇所の窓が無い。
台車
JR東日本の新系列車両に準じた軸梁式ボルスタレス台車だが、床面高さ低下のため側枠中央部を思いきり下げ、振り子式台車から振り子装置を取ったかのような曲がりの大きい凹型の台車枠を持つ。それに直径810mm径の小径車輪を装着する。
番台区分・その他
JR E721系0番台
通常仕様で2両固定編成。44編成88両が製造された。
なお、東日本大震災において0番台のP1編成とP19編成が被災し、廃車除籍・解体となった。一部はJR東日本の社員研修施設に、新潟県中越地震で被災し脱線した200系(とき325号)などと共に保存されている(一般には非公開)。P1編成はトップナンバーであった。
また、磐越西線の快速列車「あいづ」に使われる特別仕様車(指定席設置)やワンマン運転用に新造された車両、ワンマン対応改造車、さらには後述する500番台に改造されたものなど、バリエーションに富む。
JR E721系1000番台
719系の置き換え用として2016年以降に導入されたグループで、19編成76両が製造された。4両固定編成へ変更されており新たに中間車が設定された。
0番台と同じく東北本線、常磐線、仙山線で運用されるが、車体の赤い帯が桜色になっている。