シャコタン
しゃこたん
車高を下げる主な方法は以下の通り。
サスペンションのスプリングを取り外す
所謂ノーサス。最も手っ取り早いやり方で、車体を支えているサスペンションのスプリングを丸ごと外すので、当然車高は限界まで落ちる。
しかし走行性能、乗り心地共に著しく低下する重大な欠点がある。
街道レーサーでよく見られる手法。
純正品以外のダンパーへ交換
スプリングのストローク量が短かったり、全長を調整できるダンパーへと交換するもの。こちらはサスペンションの機能が活きており、低車高のまま走ることができる。更にアーム類やナックルも含めて足回りのパーツを改造し、構造を最適化することで走行性能も上がる。欠点としてはノーサスと同じく実用性が落ちる点か。
エアサスペンションの導入
「エアサス」、「バッグド(bagged)」と呼称されることが多い。スプリングの代わりに空気の入ったエアバッグが装備されており、エアバッグ内の空気圧を調整することで車高を調整する。
特徴的なのは外部からリモコン操作により瞬時に車高を調節できること。そのため走行時や段差を乗り越える際は車高を上げて、停車中はこれ以上ないまでに下げて…といった使い方ができ、利便性は抜群。その一方で以前は乗り心地や走行性能は車高調に劣るとされていたが、現在は改善してきている。
ちなみに純正でエアサスペンションを採用している車種に専用のコントローラー(サスコン)を付けることで、部品を交換しないままシャコタンにすることもできる(典型例は初代セルシオ)。
こちらはVIPカーやトラッキンのほか、スタンス/JDM等で広く採用されている。
日本ではどのようなルートで広まったかは定かではないものの、アメリカでは1930年代から50年代にはこの手の車高を下げるカスタムが行われていたという。
白人層では1930年代に登場した「ホットロッド(Hot rod)」と呼ばれる一連のカスタムの一環で、現在程ではなくとも車高を下げる者も居たという。また1950年代にヒスパニック系などの間で登場した「ローライダー(Low rider)」も、車を優美に見せるためかかなり思い切った”シャコタン”カスタムがなされた(但しローライダーは前述のハイドロを装備している場合が多い)。
いずれも「カーレース」といえばマシンが車体を大きく傾けてタイヤを鳴らしながら走ってた頃の話である。
1970年代に入ると、モータースポーツではシルエットフォーミュラに代表されるような、空力部品が地面の近くまでを覆い、車高を大きく下げたマシンが現れ始めた。これが当時大勢いたスポーツカーに熱狂する若者たちや暴走族の心の琴線に触れ、日本全国的に広まった。ただし同時期アメリカでもローライダー文化は専門誌が作られるなど大きく花開いていた時期であり、これが輸入されたと考える向きもある。
ともあれ、程度によるが車高を下げると見栄えが良くなり、運動性能も上がるとあってカスタムでは定番のメニューである。
反面、下げすぎるとサスペンションのストローク量が確保出来なくなる(=揺れを吸収できない)ため乗り心地が悪くなる。
また、程度が過ぎると車体下部をガリガリやるのはお約束で、よく犠牲になるのはマフラーや触媒などである。FRP製のバンパーだと外れたり割れたりすることも。また段差で腹下がつかえてタイヤが浮き動けなくなる(俗に「カメ」と呼ばれる)事もある。オーナーが集まるイベントならともかく、一般生活圏でやると大顰蹙である。
峠や港湾地区の道路ではこれを逆手に取り、ドリフト族を避けるためにセンターラインにキャッツアイを設置している所も少なくない。
なお勾配のある踏切で立ち往生するのは危険という理由で、最低地上高の高さは9cm以上必要と法律で定められている。ヤンチャな人たちの間では、煙草の箱(だいたいセブンスター)が車体と地面の間に入るかどうかが指標とされることも。
近年はSUVブームの影響で、オーバーフェンダーにして大径のSUV用タイヤを履かせて車高を上げる「シャコアゲ」というカスタムもじわじわ人気を集めている。
またアメリカ東海岸でもピックアップトラックや高級車をベースに車高を思い切り上げ、20~30インチの超巨大なホイールを履かせるスタイルがある(ドンク/ハイライザー/マイアミスタイル等と呼ばれる)。