概要
ドリフト走行を目的とし、それに見合ったモデイファイを行った改造車。言うまでもなくドリフト族の愛車である。
基本の改造はマニュアル式ミッション(AT車の場合MTに換装する場合もある)と機械式LSDの装備、ダンパーの交換。ストリートにおいてはシャコタンで、タイヤは溝が無く滑らせやすい古タイヤが好まれる。
ここにアーム・ナックルの加工によるハンドルの切れ角アップや、エンジンのパワーチューン・ボディーの補強、軽量化といった一般的なチューニングカーのメニューが加算される。
サーキットや最高速のように限界までスピードを突き詰めるわけではないため、外装については空力やダウンフォースを考慮する必要はあまりない。その代わり、ドリフト中にコントロール不能に陥り側壁やガードレールに激突する(俗に「刺さる」という)事が多く外装パーツを頻繁に交換する必要があるため、純正品よりもリーズナブルな社外品のエアロパーツを装備するのがポピュラー。T&E VERTEXやBNスポーツ、URASのように、裾が広がりリップが突き出たエアロが定番である。またVIPカーのようなドレスアップを施す事もある。逆に破損箇所を修理せず、前後バンパーはおろかボンネットやフェンダーまで吹き飛んだ廃車一歩手前の状態で走っている個体も多い(俗に「ミサイル」と呼ばれる)。
近年はドリフトがモータースポーツの一種目として確立してきたため、D1GPやフォーミュラドリフト等で用いられる競技用ドリ車はハイパワー化・高性能化が目覚ましく、1000馬力を超すモンスターも珍しくない。一方で公道を走るストリートドリ車とは改造内容や性能が著しく乖離してしまっている。
ベースとなる車両
80~90年代の国産スポーツカーが主流。当然、後輪駆動でマニュアルの設定があるのが大前提。
当時は底値も底値で中古車屋で10万も出せばお釣りが来るほどだったが、近年は殆どが低年式車となり個体も減少、更に人気が持続していることで中古価格の上昇が著しい。
定番車種
●日産・シルビア(S13/14/15)
●トヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86)…ドリキンや頭文字Dの影響で最も有名かもしれない。
●トヨタ・チェイサー/マークⅡ(JZX90/100)…兄弟車であるクレスタはMT設定グレードが無いためややマイナー。
●日産・180SX(S13)…シルビアの顔面移植を行ったものを「シルエイティ」、その逆を「ワンビア」と呼ぶ。
●マツダ・RX-7(FC/FD)
●日産・ローレル(C33/34/35)
●日産・スカイライン(R32/33/34)…後輪駆動化を施す、もしくは後輪駆動グレードだと尚良し。
それだけではない…
前述の通り、サーキットや最高速などと比べてベースとなる車の運動性能はそこまで重視されない(勿論滑らせやすさやコントロール性は重要だが)。またドレスアップやショーの一面もあるため、上記のような定番車種をあえて外す者も多い。雑誌「ドリフト天国」ではそういったドリ車を「想定外まし~んず」と呼んでいる。
以下はストリート・競技問わず、ドリフト仕様が存在する(した)実績のある主な車種である。
●トヨタ・86(ZN6)/スバル・BRZ(ZC6)
●トヨタ・スープラ
●トヨタ・MR-S
●トヨタ・ソアラ/レクサス・SC
●トヨタ・ヴェロッサ
●トヨタ・アルテッツァ/レクサス・IS
●トヨタ・GRヤリス
●トヨタ・GRカローラ
●トヨタ・クラウン
●トヨタ・セルシオ
●トヨタ・エスティマ(初代)
●トヨタ・ハイエース
●トヨタ・アリスト/レクサス・GS
●トヨタ・スターレット(KP61)
●トヨタ・セリカLB
●レクサス・LFA
●日産・GT-R(R35)
●日産・セドリック
●日産・マーチ
●日産・シーマ
●日産・レパード
●日産・ステージア
●日産・セレナ(初代)
●日産・ラシーン
●日産・フーガ
●日産・フェアレディZ
●R32/33/34以外の日産・スカイライン(例:KPGC10、R31、V35、V36)
●ホンダ・S2000
●ホンダ・NSX
●ホンダ・シビック
●マツダ・RX-8
●マツダ・ロードスター
●光岡・ラ・セード
●スバル・レックス
●スバル・インプレッサWRX
●三菱・ミニカ
●三菱・ランサーエボリューション
●ダイハツ・オプティ
●ダイハツ・ミラジーノ
●スズキ・カプチーノ
●スズキ・キャリイ
●ランボルギーニ・ムルシエラゴ
●ポルシェ・911
●BMW・3シリーズ
●BMW・Z4
●モーリス・マリーナ
●シボレー・コルベット
●シボレー・カマロ
●ダッジ・チャージャー
●ダッジ・チャレンジャー
●フォード・マスタング
●フォード・Fシリーズ
●ポンティアック・ソルスティス
●ポンティアック・GTO(5代目)