概要
ローライダーとは、アメリカ西海岸を発祥とする乗用車カスタマイズの一流派。
アメリカのフルサイズセダンをベースに、「悪っぽさ」「派手さ」を重視した改造を行う。
西海岸におけるチカーノや黒人コミュニティーで発生したスタイルであり、彼等の文化と密接に結びついている。
日本にも1990年代に輸入され、日本車をベースとした独自のスタイルが発生した。
改造手法
ハイドロリクスサスペンション(いわゆるハイドロ)を装備し、車高を可変式とする。当機構は油圧で車高を調整するもので瞬時に車高を調節できるほか、激しい動きにも対応している。これにより地を這うような低車高のみならず飛び跳ねることもできる(上イラスト参照)。またミニトラックをベースとしたものではエアサスの採用例も多い。一方でVIPカーやドリ車等でメジャーな社外ダンパー(いわゆる車高調)の採用例はほぼ無い。
ここに14インチ程度のワイヤーホイールを合わせる。あえて小径なホイールを履かせることで、ボディーの大きさと車高の低さが際立つ。
またボディーのペイントもメジャーで、派手な色に全塗装される。更にエアブラシによるカスタムペイントが施される事も多い。
この他にショーカーを中心に可動部の変更(ポップアップドア/スーサイドドア、ボンネットorトランクのチルト化)が施工される事もあるが、VIPカーやスポコン等に見られるボディーの形状変更(エアロパーツの装着など)は基本的に行われない(同じくアメリカ発祥でアメ車をベースにボディーを作り替えるスタイルはKustom、あるいはリードスレッドであり、別ジャンル)。
また各部のメッキ加工も定番である。
内装のデコレーションは千差万別であり、クラシックなキャビンを維持する場合もあれば、ダッシュボードやシートを作り替えた上で生地を張り替え、完全に魅せるスタイルへと変貌させる場合もある。いずれにせよ綺麗な状態の維持が鉄則。
日本ではアメリカと異なり、エアロパーツ(ただしアメリカ製に限る)の装着もメジャー。またホイールはややハミタイ気味にセットする。
ベース車
1960-80年代のアメリカのフルサイズセダンがメイン。中でも特に人気が高いのがシボレー・インパラとリンカーン・コンチネンタル。当然、キャデラック等の高級モデルをベースとした車両も多い。
「型落ちの高級セダンをシャコタンにして乗り回す」という点だけ見れば日本のVIPカーと共通している。
また近年では高年式車(3代目リンカーン・タウンカー等)をベースとすることも増えている。
日本では一転して日本メーカーによるアメリカで販売されていた車種というのが大原則。4代目ホンダ・シビックやアコード、日産・マキシマ、ダットサントラック等が定番。
ローライダーが登場する作品
●カーズシリーズ
ディズニー・ピクサーによる、車をキャラクターとした映画シリーズ。
ラジエーター・スプリングスの住人の1人であるラモーンが典型的なローライダー。モデルは1959年式シボレー・インパラ。前述のハイドロを装備しており、本人がペイント業を営んでいることもあってカラーリングは作中で何度も変わる。
加瀬あつしによる漫画作品。主人公の兄・九州男の愛車がキャデラックのローライダー仕様。
当作品は90~00年代の日本で見られた様々な改造車が登場するのが特徴で、ドリ車、VIPカー、暴走族(バイク含む)、モブキャラも含めるとバニングやデコトラまで出演している。
また、アメリカ発の音楽のMVやCDジャケットに多数出演している。