もしかして
概要
「同じアイドルが好きなファンとは絡みたくない」という意味のオタク用語・ネットスラングである。
元々はジャニヲタ用語。ジャニヲタの間では、グループの中の自分が好きで応援しているタレントのことを「担当」と呼ぶ習慣があり(例えばTOKIOの城島茂のファンなら「城島担(当)」など)、コンサート・ライブといった現場やファンクラブ、SNS等ファン・オタク同士の交流の場において「同じ担当の人とは交流を拒否します」という意思表示を略したもの。
対義語は「同担歓迎」。
もとがジャニヲタ用語ということもあって、どちらかといえば女性オタクによって使われることが多いが、「担当」の三次元(実在の人物)、二次元(同人)問わず盛んに使用される。
なお、「推し」と「担当」は似た言葉だが、担当は「一人を、熱烈に、長期的にわたって応援する」という意味合いで使われることが多く「このアイドルは推しだが担当ではない」、「特定の担当はおらず、グループ全員が平等に好きな箱推しである」というようなケースも多い。
ただし、特に「推し」という言葉がアイドル以外も指す形で広まった2020年代現在、両者の使い分けは曖昧であり、「担当」にあたる存在を「推し」と呼ぶのが主流というファンコミュニティも少なくないため「同担拒否」のほぼ同義語として「推し被り拒否」が使われる場合もある。
殺人未遂事件
2024年9月22日、アニエラフェスタ2024の会場で、38歳の男Aが32歳の男性Bを刃物で刺す殺人未遂事件が発生した。男Aは同じ声優のファンに怨みを抱いており事件を起こしたという。しかし、男Aと男性Bは面識がなく、男Aの人違いだった可能性があるという。なお、イベントは事件を受けて午前中のみで中止となった。
心理的背景
同担拒否の理由は様々であるが、特に多いのが「たとえ同担だろうと、担当に対する愛の抱き方や言動の解釈が必ずしも一致するとは限らない」、「解釈不一致な同担に、自分なりの解釈による愛をいくら語ったところで逆に溝が深まるだけ」という理由であり、無用なトラブルを避けるため最初から関わりを持たないようにするというのが大きな要因である。
また、担当でありつつ「ガチ恋(リアコ)」の場合、「恋敵である同担とは仲良くなりたくない」という理由もある。
さらに、ライブやイベントの参加回数、(レアで高価な)グッズの所持の有無やその量の多寡などを、ファンとしてのステータス、物量で表せる愛の大きさとしてマウンティングをしてくるようなファンもおり「担当への愛を競い合う不毛なマウンティング合戦に巻き込まれたくない」という理由で最初から拒否するケースも少なくない。
女性ファン同士なら同担もいいが、男性ファンに対しては同担を拒否する人もいる。これは出会い厨に対する自衛策という理由も大きく、そもそも男性ファンとの交流自体を完全に拒否していることもある。
「拒否」の程度も人それぞれで、同担とはそれとなく距離を置く、最初から「同担拒否」を示して積極的に関係を持たないようにする程度の人もいれば、他の同担に敵愾心を剥き出しにして、もはや「同担攻撃」となっている人もいる。
アイドルとの物理的・心理的距離が近いメン地下では、ライブ中のファンサ争いから「縦連・横連」といった「同担が縦横に並ぶ」ことすら嫌う過激派も多く、さらなる過激派だと「斜め連」と言って同担が斜めに並ぶことすら拒絶する。
界隈によってはライブハウス客席の並びに独特のローカルルールが生成されハードルの高い状態ができてしまうこともある。
男性オタクには同担拒否は少ないと言われているが、そもそも(ジャニーズファンでない)男性層にも「担当」という概念が知られるようになったのは2010年代〜と比較的最近であり「今まで同担がどうとかそんなこと気にしたこともなかった」というケースが大半と見られる。
無論女性オタク特有の文化ということはなく、自分の好きなアイドルの他のファンが受け入れられない、ときに敵対視してしまうファンというのは性別関係なくどのようなジャンルにも存在する。
ちなみに、「同担拒否」の逆の存在とも言える親衛隊を結成していたのは、かつては男性が多かった。親衛隊は、いわば同担同士で徒党を組んでアイドルを応援している。