TETRIS
てとりす
概要
1985年にソビエト連邦のコンピュータエンジニア「アレクセイ・パジトノフ」が当時としてもスペックの低いソ連製PCで生み出した「ペントミノ」からヒントを得たパズルゲーム。当初そのPCにはグラフィック機能が無く、記号の組み合わせで表現していた。
落ちてくるブロックを積んで一列に消すというのが基本的なルール。一番上まで積み上がってしまったらゲームオーバー。
その依存性は全世界共通で、登場以降「世界で最も売れたゲーム」として語り継がれて来た。
現在ではMinecraftに抜かれてしまったが、それでも2位に位置しており、テトリスだけでマリオシリーズの総売り上げを超えると言えばその凄まじさが理解出来るだろう。
ちなみに、名称はテトロミノ(ドミノの四個版)+テニスらしい。
(モノ(1)リス→テト(4)リスといいたいところだがスペルが違う)
現在ではあまりないが、テトリスがロシアンチックなデザインやBGMを思い浮かべる人が多数だと思うが、これはテトリスが海外に出た際についたものであり、実はオリジナルのテトリスにはそんなデザインすら無かった。本当にシンプルなものだった。ちなみにカラー化も既にソ連で製作されている。
また、シンプルなルールの面白さを例えた「ソ連が西側諸国をテトリスに夢中にさせて堕落させる目的で作った」というジョークまであった。
派生作品としてブロックに爆弾を仕込んだボンブリスがある。
こちらは列を揃えただけでは消えず、揃えた列にある爆弾を爆発させることでブロックを消せる。
しかし、発売元のBPSが他に版権を譲渡せずに解散してしまいアーカイブ化もされていない。
一応、有志が作成したPCソフトに酷似したシステムのBomblinがあるので現在遊ぶならこれ。
また、スーパーテトリス3ではテトリスの派生としてマジカリスとボンブリスの更なる派生としてスパークリスが存在していた。
ライセンス
1996年にザ・テトリスカンパニーが設立され著作権を一括管理する事で様々な機種にテトリスを出す事ができるようになった。
それ以前は旧ソ連の外国貿易省の傘下にある国営企業エレクトロノルグテクニカ(ロシア語正式名:Электроноргтехника、Elektronorgtechnica)=略称エルログ、エローグ(Элорг、Elorg)という機関が管理していた。が、しかしこの当時ソ連国外ではライセンスに関しては非常に怪しいものとなっていたのである。
その実態はイギリスのミラーソフトという会社がハンガリーの会社を経由してライセンス契約をしており、当時のテトリスはここからライセンス契約(の又貸し)していたのだが、任天堂がゲームボーイのテトリスを出す為になんと直接ソ連に渡航してエルログからライセンス契約を締結したのである。
時はまだ冷戦下であった上に任天堂は西側諸国の日本であった為、交渉人として旧ソ連にオランダ人のヘンク・ブラウアー・ロジャース(かつて存在したBPS創始者)が渡航し、交渉においてははソ連の公安職員が常に付いていた中での緊張下におかれた交渉だったという。
実はミラーソフトが契約したのは「PCゲームのみ(正確にはIBM-PCのみ)」の契約であった為、本来は家庭用ゲーム機・アーケードゲームではできないものだった。
ミラーソフトからのライセンス契約をしていたセガはメガドライブ版を完成・出荷目前にして発売中止を余儀なくされてしまい、同じくテトリスを販売していたテンゲンも任天堂相手に訴訟したがテンゲンのテトリスはミラーソフト経由のライセンスだった為権利がないとの判決が下された。
半ば任天堂の独占の形になってしまったが、考え方によってはミラーソフト経由のままだった場合、旧ソ連と日本で国際問題に発展する可能性もあったとも考えられる。
エルログも任天堂の代理人であるヘンクとの契約の場でライセンスの又貸しが起きている実態を初めて知ったとされ、逆にヘンクもエルログがその実態を知らなかった事に驚いたという。
ヘンクはファミコン版テトリスをエルログ側に見せたとの事だが、当然エルログの意図していたライセンスでは無かった為に憤慨、これが又貸しライセンスの証拠になり、後にエルログ側が機転を利かせこれを用いてミラーソフトにカマをかけて問い詰めたらしく、その時のミラーソフト側の担当者は実は内情を知らなかったらしく、ミラーソフトが行っていた事をうっかり認めてしまった結果になった。事情が複雑な為簡略化するが、元々はこの「PCのみにライセンス」だったのを見切り発車的にPC以外でも発売して事後承諾を狙う算段だったとされている。
なお、任天堂側とELOGが交渉成立した正確な経緯は不明(もしくは非公表)であるとされている。ヘンクはこれまでのライセンス関係を考慮したのか、BPSテトリスの売り上げを小切手としてエルログに渡した事が他の企業と違い、唯一誠意を見せたと判断したのが要因ではないかという説が有力視されている。
その後、ヘンクはライセンス取得に成功した事で、当時の任天堂社長・山内溥とも対面している。
また、テトリスの生みの親であるパジトノフには1995年まで一切パテントの権利はなく、著作権はエルログ側にあったという。これはパジトノフがテトリスを作ったのは職場だった事で職務上で作られたと見なされたのが社会主義国家故の「パテントは国のもの」としていた事が原因だとされている。
交渉からパジトノフと交流を持ったヘンクはELOGに「パジトノフに権利を与えるべき」といった「リンゴの木」に例えたニュアンスの内容の手紙を送ったが、それについてはついに返事がなかった。また、パジトノフはソ連外にテトリスが出回っているというのはなんとなく勘づいていたらしい。
ゲームボーイ版では作者としてライセンス表記にパジトノフの名前が記されている。
メガドライブ版は結局幻となり生産した物は全て破棄されたとされるが、何らかの形でその一部が流出したり何故か海賊版カートリッジとして一時期出回っていたが、実は海外でリリースされていたアーケードゲーム「SEGA MEGA-TECH SYSTEM」というメガドライブのアーキテクチャを利用したアーケードシステムの専用カートリッジとして出ていた。
カートリッジ自体はメガドライブのものと同じであったが、メガドライブでは起動できないようになっていた。
詳細は不明だが、バーチャルコンソールのテトリスは現在配信終了しており、バーチャルコンソールにもライセンスが有効な期間があったと推測される。
後に「ゲームボーイ Nintendo Switch Online」で再びラインナップされた。
その後、2006年に発売されたPS2用ソフト『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.28 テトリスコレクション』に幻に終わったメガドライブ版テトリスが17年ぶりに復活。
さらに2019年にはメガドライブミニ最後の一本としてテトリスを収録。
しかも当時のメガドライブ版をそのまま収録するのではなく、改めて1から作り直してアーケード版を完全再現した新作ソフトを収録するという気合いの入れ方である。
なお、ザ・テトリスカンパニーによるライセンスは現行のテトリスのルールに則ったガイドラインを基本的に厳守したものでないといけないらしいが、メガドライブミニ収録版には特別に許可を出したという。
90年代後半に起きた携帯ゲーム・ミニ電子ゲームブームの立役者とされるものとしてゲームテックから発売されていたキーチェーンタイプの電子ゲーム「ミニ・テトリン」「テトリン55」があった。しかし、これはザ・テトリスカンパニーのライセンスを受けていない商品だったのである。
しかし、2020年にザ・テトリスカンパニーのライセンスを受けて「テトリスミニ」として復活。現代のスタイルに合わせてUSB充電ができる仕様となっている。なお、このテトリスミニは携行サイズに合わせて横8列の縦12ラインと縮小されており、左回転が存在しない。
音楽
テトリスの音楽といえば、皆が口を揃えて答えるのがロシア民謡の「コロブチカ」であろう。
テトリスといえばコロブチカ、コロブチカといえばテトリス(もしくはフォークダンス)と言われるくらいであり、ファミコン版のオープニングやゲームボーイ版(後述)とそのアレンジなど1番聞く機会が多い。
ただし、テトリスによってはコロブチカのアレンジが異なるものもある。
ちなみにゲームボーイのテトリスのBGMのTYPE-Aはコロブチカであるが、通信ケーブル同梱版のものは何故かTYPE-Aがメヌエットになっている。このバージョンは現在でも稀に中古市場で混じっているが、カートリッジの外観は通常販売と変わらない為BGMが異なる事で判別可能。また、NESのテトリスでは金平糖の精の踊りがメインBGMの1つになっている。
4種の初期アーケード版
最初期のアーケード版は1988年にセガからSYSTEM16基板にて販売されている。
これが世にテトリスブームを巻き起こした最大の火付け役であるが、あまりのブームに部材や基板不足が発生し生産が出来ない状況に陥った。セガはやむなく、性能の劣るSYSTEM8基板でのリリースを行っている。
しかし、それでも十分ではなく、業を煮やしたタイトーがセガから許諾を得て、タイトー直営店でのみの販売という条件でライセンス生産に及んでいる。
ただその際、プログラムソースの提供はセガからは一切なされなかったため(背景画像のみは提供されたとか)、タイトーは耳コピならぬ目コピで作り上げたとのこと。
また、基板はBシステム基板(バイオレンスファイトやラスタンサーガⅡなどに使用)とHシステム基板(サイバリオンなどに使用)が使用され(デモ中に"INSERT COIN"の文字が点滅しないのがB版、するのがH版とのこと)、Bシステム版に関してはたった1週間で疲労困憊のなか作り上げたという(営業サイドが無理言ったのだろうことは想像に難くない)。
故に、セガ版を熟知している人がタイトー版の操作性に違和感を感じるというのは無理らしからぬところである。また、セガ版と比べると音に違和感があるというのもタイトー基板の音源を利用しているためである。
現在のルール
2002年ごろ発売された「テトリスワールド」によってガイドラインが定められた。ユーザーからはワールドルールと言われることが多く、後の作品にも正式に導入されているためこちらの方が馴染みが深い人も多いだろう。その特徴は様々である。
- タイトルがTミノのシルエットを背景にデザインの共通したロゴになった。長らく「TETRiS」とIだけ小文字だったが、2019年から変更され、現在は「TETRIS」とすべて大文字になっている(ぷよテトとぷよテト2、テトリスエフェクトとスイッチ版のコネクテッドでテトリスのロゴが異なっている)
- 上記のテトリミノの出現が偏らなくなり、常に7種類で1組として出現するよう変更。7種類のテトリミノがどれから出現するかはランダムで、7の階乗(7!)通りになっている。この仕様でネクストに同じテトリミノが3回以上連続で降らないようになった(2回連続で降ることは稀にだが発生する)ため、Iミノ無双が出来なくなった一方でOミノやSZミノだらけで頭を抱えるようなことも発生しにくくなった。
- テトリミノの色と出現する向き、回転の法則が統一化。Iミノは水色、Oミノは黄色、Jミノは青、Lミノはオレンジ、Sミノは緑、Zミノは赤、Tミノは紫になり、向きはピースの広い面が地に付くように変更され、それが常に上向きとなっている。因みにこのテトリミノの色はぷよぷよテトリスで登場した、テトリス側が版権を持っているテト号のキャラクターたちにもそれぞれ色が反映されている。
- テトリミノが接地しても0.5秒以内に回転や左右移動などの操作を行うことですぐには固定されなくなるインフィニティの導入。ただ、当時はこれのせいで永久出来る問題が発生していたため、現在は永久の防止に一定の操作で強制的に固定化(ロックダウンと言われている)させることがほとんど。現在はテトリミノの操作を計15回分行うと強制的に固定化されるのが一般的。
- テトリミノを回転しやすくするスーパーローテーション、Oミノを除いた各種テトリミノの回転入れの導入。形によっては多少の壁を乗り越えてテトリミノを回転出来ることもあり、回転入れはテトリミノが上向きの状態でないと成立しない形があるものの、強引な空間の穴埋めが出来るテクニックのひとつになった。
- このうちTミノの回転入れはT-SPIN(以下Tスピン)という特殊ボーナスが採用されている。これはテトリスミニでも行える。
- 最低2つ以上のネクスト、テトリミノの落下位置が判るゴーストやテトリミノを保持および入れ替えが出来るホールド、テトリミノを即時固定させるハードドロップといった補助機能の搭載。これらの補助機能は設定でオンオフの切り替えが可能な作品もある。実用性はあまりないがホールドを利用すれば超強引に3回連続でテトリス消しを行うことも可能。
- テトリミノを連続で消すコンボ(日本ではRENと言われている)、テトリス消しやTスピン消しを途切れず(コンボ消しする必要はない)に成立させると発生するBack to Backの導入(BtBやB2Bと略されることもある)。これを発生させると通常よりもスコアや後述する対戦に於いての攻撃力が上昇する。
- 作品によっては全消しが採用されていることもあり、成功するとより高得点および強力な攻撃が行える。全消しは5nごとに降るテトリミノで行えるが、ガイドラインのルールで最速の全消しが出来るのは10手目(1巡半)になっている。※1
- テトリミノの出現位置の調整。基本的に中央4列を中心にしてIミノとOミノはその中央に、それ以外のテトリミノは左寄りに出現する。昔のテトリスは出現位置が右に寄っていることがあったせいだろうか。
- ゲームオーバーの条件の追加や名称の分化および変更。従来の出現位置にテトリミノが重なるとゲームオーバーになる判定はブロックアウトと称された。基本的にテトリミノは見える位置から出現するが、そこに重なってゲームオーバーになる場合は上にズレて降ってくることもある。
- 追加されたゲームオーバーのひとつはテトリミノを完全に21ライン以上上に置くと、ロックアウトという判定でゲームオーバーになってしまうというもの。これはテトリミノのピースの一部分が20ライン以内にあれば回避可能。
- もうひとつのゲームオーバーは対戦に於いてのブロックせり上がりによるもので、置いてあるテトリミノも含めて計40ライン以上せり上がるとブロックアウトの判定が発生しなくてもトップアウトでゲームオーバーになってしまう。こちらは見えるフィールドが20段までなのとブロックアウトの判定による兼ね合いで想定したものと思われる。※2
細部のルールは作品によって異なっていたり公式のルールが改定されたりして少しずつ変更されてはいるが、現在では当たり前のように配慮されたものばかりとなっている。これらの機能がなかった昔のテトリスは比較してクラシックルールと言われることもある。
※1 理論上の全消し最速だと合わせても4×2以内に収まれる何かしらのテトリミノが2つ以上必要になる(例としてOミノ2つとIミノJミノLミノ1つずつ、Oミノ1つとJミノLミノ2つなどが挙げられる)が、ガイドラインのルールではテトリミノが7種1巡で降る関係上5つ目で同じテトリミノが絶対に降らないため5手目の全消しは不可能。なお、ガイドラインのなかった頃でも全消しが採用されているテトリスはあるため、それらの作品では理論上最速にあたる5手目の全消しは可能である。
※2 ぷよテトでは想定していなかった現象だったらしく、ブロックが増殖するバグが確認されている。
対戦でのルール
対戦に於いては他のパズルゲーム同様、相手をゲームオーバーにさせれば勝ちというルールがほとんど。ただし、作品によっては特定の条件を満たすことで勝利出来たりスコアで勝負を競えたり他に特殊なルールが採用されていることもある。初めて対戦のシステムが設けられたGB版のテトリスでも先に30ライン消した方が勝つという特殊ルールがある。
一般的なルールではGB版から存在している「2ライン以上消すと攻撃可能で相手側に1マス空いたテトリミノが下からせり上がる」というルールが設定されている。基本的に1ラインでは攻撃を送れないがコンボやTスピンを利用すれば1ラインでも攻撃は可能になる。
現在は基本的にダブルで1ライン、トリプルで2ライン、テトリス消しで4ライン、コンボ消しは2コンボから攻撃力が上昇、Tスピンのライン消しはTスピンミニを除いてライン数の2倍分攻撃を送れるというのが一般的になっている(Tスピントリプルだと6ライン送れるため、テトリス消しを上回れる)。
例外的なものはガイドラインのない作品だとキャラクターごとに個性のある技が行えるテトリス武闘外伝、ネクストにおじゃまミノとしてペントミノを、それを相殺するとOミノのサイズが最大5×5まで大きくなり、おじゃまミノの送る数が増えるととても大きい菱形や階段状のテトリミノが降ってくることもあるマジカルテトリスチャレンジ featuringミッキーが、
ガイドラインのある作品だとフィールドの押し合い勝負やお題の早解き勝負も出来るテトリスDS、3人協力プレイのマルチやNESテトリスを再現したクラシックスコアバトルが行えるテトリスエフェクトなどがある。因みにこのクラシックスコアバトルでは金平糖の精の踊りがアレンジ収録されている。
NESテトリス
Nintendo Entertainment Systemでニンテンドーオブアメリカから発売されたテトリスのこと。NESにはテンゲン版、ファミコンにはBPS版があるがそれらとは別物である。
このテトリスはレベルが一定値まで上がると人の手では操作不能に近い挙動になりすぐゲームオーバーになってしまうものの、それを利用したライン数やスコアを競うスコアアタックがeスポーツとして行われている。
スピリッツとして登場(恐らく『テトリス99』絡み)。7種類全てのテトリミノが追加された。内容は以下の通り。ただ、スピリッツとはキャラクターの思念体みたいなものである。テトリミノのスピリットとは一体…。
だが、ゲームの歴史における画期的な作品としては納得のラインナップである。
ちなみに「テトリス Type-A」(コロブチカのアレンジ)は『大乱闘スマッシュブラザーズX』以降その他の作品のBGM扱いで収録されていたが、初めてテトリスに纏わるイベントで使われる珍事にもなった。
ちなみに同じ四角の風雲児である『Minecraft』も参戦した為、すごい事になっている。
テトリミノ | ランク | 属性 |
---|---|---|
Iテトリミノ | ★★★ | アタッカー:攻 |
Tテトリミノ | ★★ | サポーター |
Sテトリミノ&Zテトリミノ | ★★ | アタッカー:投 |
Lテトリミノ&Jテトリミノ | ★★ | サポーター |
Oテトリミノ | ★ | アタッカー:防 |