のぞみぞ

『響け!ユーフォニアム』の登場人物、傘木希美と鎧塚みぞれのコンビ。

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目次 [非表示]

1 概要

1.1 経緯

2 関連イラスト

3 関連動画

3.1 京アニチャンネル

4 関連タグ

概要

のぞみぞ（「のぞみぞれ」とも）とは、武田綾乃による青春部活小説『響け!ユーフォニアム』シリーズの登場人物、傘木希美と鎧塚みぞれのコンビ（カップリング）タグ。なお、カップリングの表記については、作中ではみぞれが希美に対して抱いている執着心の大きさがクローズアップされているものの、「のぞみ」の3文字がぴったり入る語感のよさから「のぞみぞ」がメインに用いられている。

希美はみぞれのことを「みぞれ」と呼んでおり、対するみぞれは「希美」と呼んでいる。

中学時代から同じ吹奏楽部で活動していた二人は、互いを親友として認識しているものの、互いに向ける熱量の差や音楽に対する意識、そして彼女たちを取り巻く周囲の人間たちの思惑によって、当人たちの思いとは裏腹に幾度となくすれ違いや噛み合わなさを起こしている。しかしながら、そのなかで一瞬だけ訪れる彼女たちの「噛み合い」には、そこに至るまでの切なさや儚（はかな）さをすべて吹き飛ばすかのような強く輝く喜びが込められている。

経緯

二人がまだ中学生だった当時、クラスのなかで孤立していたみぞれを見つけた希美が彼女に声をかけ、吹奏楽の世界に引き込んだことから交流が始まり、それ以降、日常生活の楽しさを実感するようになったみぞれはそのような変化をもたらしてくれた希美のことを「大切な親友」と意識するとともに、自身の世界は彼女を中心に回るようになる。しかしながら、希美にとってのみぞれは「たくさんいる友人のなかのひとり」に過ぎず、二人が互いに向ける想いの熱量の差は明らかに異なっていた。

北宇治高校に進学後、二人はそろって同校の吹奏楽部に所属するものの、その当時の部内の練習環境をめぐって希美をはじめとする「やる気のある1年生グループ」は当時の3年生と対立し、結果として希美は吹奏楽部から退部してしまう。しかし、希美はその際にみぞれに声をかけなかったことからみぞれは心に深い傷を負ってしまい、音楽を奏でる理由を失ってしまったために彼女のオーボエの音色からは精彩さが欠落するとともに、両者のあいだにわだかまりが生じてしまうことになる。

その翌年に滝昇が新たな部の顧問となると、部の気風も大きく変わり、その結果として北宇治高校吹奏楽部は吹奏楽コンクールの関西大会（支部大会）への進出を果たしている。生まれ変わった吹奏楽部に復帰しようと思い立った希美は一騒動を起こしてしまうものの、関西大会の本番を控えたとある日に起こった偶発的な出来事によって二人は和解し、みぞれのオーボエにも表現力が蘇った。しかしながら、両者の互いの感情の熱量の差については埋まっておらず、そのことは希美とみぞれの双方と親しくなった後輩の黄前久美子に見透かされている。

もっとも、TVアニメ版の第2期や原作3巻までの内容では、みぞれの希美に対する気持ちの描写はあるものの、逆に希美のみぞれに対する気持ちや考えについては、断片的な示唆（しさ）を除いてあまり明らかにされていない。希美のみぞれに対する想いは、原作小説の2年生編『波乱の第二楽章』とそれをもとにしたスピンオフ（外伝）映画『リズと青い鳥』において、初めて明らかにされている。

希美にとってのみぞれは自身を遥かにしのぐ才能の持ち主であり、彼女にとっての羨望（せんぼう）と嫉妬の対象であった。吹奏楽部の外部指導員（コーチ）である新山聡美がみぞれの持つ才能を認める形で音楽大学への進学を勧めたことを知った希美は、「彼女に負けたくなかった」という意地と見栄によって一緒の音楽大学を受けると表明しており、希美が自身と同じ進路を選んでくれたことに嬉しさを覚えるみぞれとともに、二人は同じ進路に進むものであると周囲から認知されることになる。

しかしながら、部活がコンクールシーズンを迎えて厳しさを増すなかで、みぞれは希美のかつての身勝手さを拭（ぬぐ）いきれていないために彼女がふたたび自身のもとから離れてしまうのではないかと恐れを抱くようになり、コンクールの自由曲にある希美とのソロのかけ合いも本気を出せずにいた。一方の希美もまた、音楽大学への進学は自身の実力や経済的な観点から無謀であるとわかっていつつも、みぞれに対して見栄を張ってしまったために引き下がれない状態にあった。

そのようななか、外部指導員の新山の提案によってソロの吹き方に対する発想を変えたみぞれは、自身の本来の実力である「学生の域を飛び越えた」演奏を披露することに成功する。彼女の放った才能の高みをまざまざと見せつけられた希美は絶望感に打ちひしがれ、その末に彼女と自身の進むべき世界は別物であることを悟る。そのような気づきのもとに、希美はこれまでの自身の身勝手な行いをみぞれから断罪されることを願うものの、当のみぞれは希美に離れてほしくないという一心から、彼女のすべてが好きであると告白している。それらの想いを希美から「ありがとう」と押し返されたことによって、みぞれもまた彼女のもとから自立しなければならないことを悟り、二人は対等な友人同士となって別々の道を歩むことになる。

後日譚として、劇場版『誓いのフィナーレ』では、吹っ切れたようにコンクールの自由曲『リズと青い鳥』のオーボエソロを奏でるみぞれと、それに応えるようにフルートを吹く希美が物語のクライマックスを飾っているほか、短編集2巻の『アンサンブルコンテスト』やスピンオフ小説『飛び立つ君の背を見上げる』においても、関係性の変化を経た二人のその後の想いが断片的に登場している。

総じて、仲は良くとも性格の違う彼女たちは、これまで幾度となくすれ違いや噛み合わなさ、音楽の才能を介在したなかでの横恋慕（よこれんぼ）に立ち会っているものの、そのなかで一瞬だけ訪れる「噛み合い」に互いに幸せを実感している。そして、そこに至るまでの姿に切なさやもどかしさ、そして噛み合った一瞬に尊さを見いだすことができるのが、彼女たちの関係性の真骨頂であるといえる。