概要
『館』シリーズ第8作品目に当たる。
元々は講談社より発行されたティーンズ向けレーベル『講談社ミステリーランド』の一巻として2006年3月に刊行された。その後は2008年11月にノベルス、2010年8月に文庫として同じく講談社から刊行されている。
鹿谷門実がとある場面を除いてまったく登場しないことに加え、物語が終始子供の目線で語られていることから、シリーズの中では特に異彩を放つ作品。
あらすじ
主人公の永沢三知也には、決して忘れられない思い出がある───・・・
小学六年生まで暮らしていた兵庫県のとあるお屋敷町──六花町にある曰く付きの館、通称「びっくり館」に祖父──古屋敷龍平と不思議な人形──リリカと暮らす少年──古屋敷俊生と友達になったこと。
そして俊生の家庭教師──新名勉と、その従姉妹で三知也の同級生──湖山あおいと共にクリスマスの夜、密室殺人に巻き込まれたこと。
これは一人の少年が遭遇した、7色のびっくり箱と腹話術人形に隠された、悪夢と秘密の物語───
登場人物紹介
永沢 三知也(ながさわ みちや)
本作の主人公。ヤメ検弁護士の父親と二人暮し。
書店で「迷路館の殺人」を見つけたことをきっかけに、小学校六年生の夏に友達になった少年と、その冬に遭遇した不思議な事件の思い出を回想していく。
古屋敷 俊生(ふるやしき としお)
『お屋敷町』と呼ばれる六花町にある一際大きなお屋敷「びっくり館」に暮らす少年。
姉を亡くしてからは生まれつき病弱な事と厳しい祖父の言いつけで学校にもあまり行けず、滅多に外へ出たことが無い。
度々窓から見かけていた三知也に声をかけ、彼と友達になる。
古屋敷 龍平(ふるやしき りゅうへい)
「びっくり館」の主人で俊生と梨里香の祖父。
気難しく厳格な性格なのか、病弱な俊生を心配する傍ら束縛しているような言動が見られる。
古屋敷 梨里香(ふるやしき りりか)
俊生の姉。数年前に亡くなっている。
「びっくり館」には生前の彼女を模した腹話術人形『リリカ』が置かれている。
新谷 勉(にいな つとむ)
俊生の家庭教師をしている大学生。独りぼっちの彼をいつも気にかけており、俊生を可愛がりつつ束縛する龍平の言動に違和感を抱いている。
湖山 あおい(こやま あおい)
勉の従姉妹で三知也のクラスメート。俊生と関わるまでは話したことも無かった。
ミステリー好きですぐ話を誇大化する所がある。