「ああ、ドイル……」
「その名前はよしてくれって云ってるだろう」
概要
綾辻行人の推理小説・館シリーズの登場人物。
同作の探偵役である鹿谷門実(島田潔)のバディ、即ちワトスン役を務める。
『十角館の殺人』にも名探偵のホームズ役よりもワトスン役の方が向いていると自覚している節のあるモノローグが存在する。
鹿谷からは名字を音読みし、コナン・ドイルと絡めて「こなん君」と呼ばれている。
原作
『十角館の殺人』で初登場。
K**大学工学部の推理小説研究会の元会員。在籍当時の会の伝統に則ったニックネームは「ドイル」。
好奇心に足が生えたような性格で、同じ推理小説研究会メンバーだった中村千織の事故死を「お前たちが殺した千織は、私の娘だった。」と、半年前に死亡したはずの中村青司名義で告発する手紙を受け取り、その真相を掴むために青司の弟・紅次郎を訪ねた先で島田潔と知り合う。
会在籍時からの名コンビだった守須恭一を交えた3人でその謎を解き明かそうと奔走する。
しかしその頃、海を隔てた孤島・角島に建つ十角館に泊まるかつての仲間達は……。
『時計館の殺人』にて再登場。綺譚社という出版社にてオカルト雑誌「CHAOS」の新米編集者となり、同社でミステリ作家としてデヴューしていた鹿谷とも再会する。
謎を解くために奔走しながらも、何もできずに十角館にてかつての仲間を喪ったことは彼の心に大きなキズを残しており、取材の地である時計館は中村青司によって設計されたものであった事は気がかりであったが、その不安は不幸にも的中し、十角館では海を隔てて発生した悲劇が、今度は自身が当事者として振りかかることとなってしまったのである。
幸いにも彼は助かったものの、多くの命が目の前で失われる事となってしまい、その心情を察したのか、編集部からは旧知の仲である鹿谷の担当編集を任され、『黒猫館の殺人』では鹿谷と共に「黒猫館」の所在を探すこととなる。
しかし『暗黒館の殺人』では、鹿谷に先行する形で赴いたためか、同館の塔より転落する憂き目に会い、住人の手当を受けることとなってしまった。
江南あきら
漫画版『十角館の殺人』では女性になり、名前も「あきら」となった。
見た目は美少女なのだが汚部屋系。
あだ名は恥ずかしがるが、221Bと記された衣服を身につけるシャーロキアン。
単行本巻末の四コマでは性別変更に伴い、「守須と恋仲なのでは?」と、疑われるネタもあるのだが、
あきらからは「想像しただけで吐きそう」
守須からは「酒クズ」「何度ゲロの処理をさせられたか」
と、仲はよいのだろうが、双方そのような感情は全く抱いていない。
女の子が4人(アガサ、オルツィ、千織)集まってやることと言えば思いつくのは麻雀。
ちなみに、彼女の部屋には『Trick』のポスターの他に
同作者の『緋色の囁き』(旧講談社文庫版)、
『文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS京極夏彦』があるのが確認できる。
実写版「十角館の殺人」
演者は奥智哉。演者に合わせて左利き。
下宿のアパートの大家曰く、仕送りを麻雀に使い込んでる上に家賃も滞納しているようだ。
守須との仲が強調され、声を揃えて推理内容を述べるシーンも。
自由奔放すぎる島田潔に振り回され困惑する場面もあり、守須や島田のような名探偵ホームズに対して、自分は引き立て役のワトスンに過ぎないと思い悩んでいるようだが、生前の千織は江南が会誌で発表した『安楽な探偵K』を読んで「先輩はホームズというよりワトスン」「(引き立て役ではなく)良き理解者、心の友であるワトスンがいるからホームズは名探偵のホームズになることができる」という言葉をかけていた。
しかしそんな千織の死後、会の気風が合わず結局退会してしまった。
ちなみに、アパートにある黒板に描かれたピクトグラムのようなものはホームズシリーズの『踊る人形』に登場するもの。(一部はオリジナル)
上述のように漫画版では女性だったが、漫画版と実写版のコラボビジュアルでは原作通りの男性の姿で描かれた。