もう一つのキャンディ
もうひとつのきゃんでぃ
「もう一つのキャンディ」とは、東方MMDドラマ『少女達のお泊り実況』の60〜62話のサブタイトルにして、フリーホラーゲームIbの本来なら存在しない幻のEDである。
大まかな内容としては、東方Projectのキャラである、霊夢・魔理沙・妖夢の3人が、ある事情からibの世界に入り込み、物語に介入するというもの。
前々回(青鬼回)と前回(呪村回)の騒動で、妖夢の半霊がゲームの世界(魔理沙所有のノートPC)の中に取り残されてしまった。
半霊はibの世界に入ったらしく、救出の為に魔理沙の用意した時空転送薬で三度ゲームの世界に入った霊夢達。
ゲームの内容を魔理沙が知っている為、攻略は簡単だと思われていたが、ゲルテナの絵の中に入ると同時に結界の力が働き、魔理沙はゲームの内容を忘れてしまう。
攻略情報を失ったまま、霊夢達はibの主人公であるイヴと協力し、絵の中の世界からの脱出と半霊救出に向かう。
ご存知、楽園の素敵な巫女。
前々回の青鬼回で横着して無理矢理な攻略をしてしまい、ゲームの世界に取り残されてしまった為、呪村(うp主制作のホラーゲーム)の世界に半霊が取り残される原因の一端となった。
物臭だが義理堅く友達想いな性格で、本人の強さも相俟って頼りになる存在。
ご存知、普通の魔法使い。
ゲームの世界に入り込む魔法薬、時空転送薬の開発者。
ある意味今回の騒動の最大の発起人。
ホラーゲーム好きなので、絵の中の世界での体験も割と楽しんでいる。
ご存知、白玉楼の庭師。
超が付く程の怖がりでお化けや幽霊、怪奇現象などが大の苦手。
前回の呪村回で殺人鬼から逃げる為に半霊を囮にして置き忘れてしまい、またしてもホラーゲームの世界に入る羽目になってしまった。
事あるごとに喚き散らしてビビりまくるが、終盤では思わぬ勇気を見せる一面も見せる。
妖夢の分身とも言うべき存在。
前回の話で妖夢に囮にされてゲーム(ノートパソコン)の中に置き忘れられてしまい、ibの世界に迷い込んだ。
妖夢とは感覚を共有しており、半霊を通じて「寂しい」という感情が伝わってくるらしいが・・・。
物語の舞台となるホラーゲーム『ib』の主人公。9歳。
成り行きから霊夢達と行動を共にする事となる。
『ib』の登場人物。オネエ言葉で喋る青年。
イヴと同じく絵の世界に迷い込み、行き倒れていた所を助けられ、行動を共にする。
誠実な性格だが、ロリコン呼ばわりされる事が多い。
彼が作中でイヴにプレゼントし、メアリーにも渡すと約束したキャンディが、本作のキーパーソンの一つとなる。
イヴ、ギャリーと同じく「Ib」の登場人物。無邪気で明るい性格だが、どこか陰が感じられる。
迷い込んだ半霊を発見して保護しており、彼女の手により半霊は妖夢に返された。
その正体は人間ではなく、ゲルテナが生涯最後に残した絵画作品。憧れの外の世界へ行くためにイヴとギャリーのどちらかを身代わりにしようと企む一方、外の世界への想いは本物であり、長い間絵画の世界で寂しく過ごしていたメアリーにとっては何としてでも叶えたい願いでもあった。
システム上、本来なら誰かを犠牲にしなければ外に出られない筈なのだが・・・
以下、本編の根本的なネタバレとなるので閲覧要注意!
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ギャリーと妖夢の活躍で、メアリーの正体が人間ではなくゲルテナの作品である事を知った一行。
「告げ口」の絵画からそれを伝えられ、暴走して襲いかかるメアリーだが、それを退けて一行はゲルテナの世界の奥へと入っていく。
そしてメアリーの本体とも言うべき絵画の前へとたどり着くが、そこへ現れるメアリー。
一触即発となる中、霊夢がメアリーの前に立ち塞がり、彼女を御札で拘束。
その隙を突いてイヴ達は元の世界への出口となる『???の世界』へと辿り着く。
しかし、その絵を通る事は絵の中の世界での記憶を失ってしまう事でもあった。
そこで、霊夢の提案で幻想郷を経由して元の世界に戻る事になり、結界をこじ開けて博麗神社へと帰還する事に成功。
無事に絵の世界から脱出し、メアリーは何故自分達を狙ったのかを疑問に思うイヴとギャリー。
そんな二人の疑問に脱出した事で記憶を取り戻した魔理沙が答える。
メアリーは他の美術品と違い、外の世界にずっと憧れていた。
しかし、誰かと入れ替わりでなければ外に出る事は出来ないのだと・・・。
メアリーの真意を知り、やるせなさを感じるイヴ達。
仕方の無いと割り切るしかないと言う霊夢と魔理沙だったが、不意に妖夢が姿が見えなくなる。
傍らには時空転送薬の空瓶が転がっており、まさかと思いPCを確認する魔理沙。
その中には妖夢の姿があった。
かつて妖夢はある理由から孤独を抱え、深い心の傷を負った過去があった。
そんな妖夢にとって、メアリーの抱える孤独を妖夢は無視する事が出来なかったのだ。
すぐに後を追おうとする霊夢と魔理沙。
イヴとギャリーもまた、メアリーを放っておく事が出来ず、共に美術館の中へと戻る事になる。
ゲルテナの世界に戻り、メアリーと再会する一行。
全てを諦めていたメアリーに、一行はある選択肢を与える。
それは、幻想郷へ一緒に行くというものだった。
しかし、メアリーは元々存在しないもの。
幻想郷へ入った瞬間消滅する危険もあった。
彼女が幻想郷へ受け入れられるかは一種の賭けだった。
その可能性を聞いてもなお、メアリーは答えた。
「万が一でも外に行けるなら・・・私は行く!」と・・・。
メアリーの拘束は解かれ、今度は全員で幻想郷へと向かう6人。
出口を前に不安を感じる彼女の手をイヴとギャリーはしっかりと握り、覚悟を決めたメアリーは幻想郷へと足を踏み入れた。
やがてメアリーが目を開くと、そこは博麗神社の母屋だった。
彼女は無事に幻想郷へ受け入れられたのだ。
外の世界の住人になれた事に喜ぶメアリーだったが、直後にイヴとギャリーに対する罪悪感から表情を曇らせる。
謝罪の言葉を口にするメアリーに、ギャリーはあるものを手渡す。
それは、絵の中を旅していた際、メアリーに渡すと約束したキャンディだった。
「私がずっと・・・食べたいと願っていたキャンディ・・・」
「初めて食べたその味は・・・」
「とてもとても・・・しょっぱかった」
かくして、メアリーは幻想郷の住人として迎え入れられ、イヴとギャリーとも和解する事が出来たのであった。
以降メアリーはシリーズ準レギュラーとなり、幻想郷の人々と交流を深め、ある吸血鬼の少女と親友になるのだが、それはまた別の話。
誰の犠牲も出さずにメアリー救済を望むユーザー達にとって、まさに理想的なエンディングを迎えた本話であるが、よく考えてもみて欲しい。
『ib』をプレイ済の方はご存知の通り、ゲルテナの世界におけるルール上、メアリーはイヴかギャリーのどちらかを犠牲にした上で、その存在に成り変わる形でしか外の世界に出る事は出来ないのである。
それ故に公式たる『ib』本編において、3人全員生還エンドは存在しない。
逆に言えば他作品の力を借りるという反則技を使わなければ全員生存を成し遂げる事は出来ないという運命の悲しさを否応無しに思い知らされるという側面も持ち合わせているとも言える。
これに関しては、後の総集編でも「どうしても全員救われる結末にしたかったから、本来なら誰かが必ず犠牲にならなければならない物語を無理矢理変えてハッピーエンドにした」と魔理沙が(うぷ主を代弁して)語っている。