概要
アメリカの荒野を貫く長大なハイウェイをどこまでも走り抜けるために作られた、長距離直線巡航に特化したバイク。『クルーザー』とも呼ばれる。
シート高がかなり低めになっており、またフロントフォークが長い「ロー&ロング」のスタイルが特徴である。
ほとんど前傾しない乗車姿勢故に背中や腕への負荷が少なく、またフロントフォークの角度により直進安定性が高いため、曲線の少ない道をのんびり流すのに適している。
しかしながらステップの位置が低くて車体を倒しにくく、車体を倒すとハンドルが急激に切れ込んでいく特性があり、カーブの多い道だと苦労する部分も多かったりする。
また前述の乗車姿勢なのだが、上半身が垂直で背中に負荷がかからないぶん、全体重が腰にかかってしまう。更に乗車位置が後方に寄ってることにより車体の振動が顕著に感じられやすく、サスペンションの性能が足りないと強烈な衝撃に脊椎を揺さぶられることになる。
特に本邦で発売された低排気量アメリカンではこのような憂き目に会いがちである。
本家本元米国のバイクメーカーでは潔く高排気量に特化したラインナップが展開されており、必然的に高級路線となる米国製アメリカンバイクに憧れるライダーは多い。
派生ジャンル
ボバー
アメリカンバイクから装飾を取っ払い、軽量化して走行性能を突き詰めたバイク、ないしは後年にそのスタイルをオマージュした車両。名前の由来は猟犬や家畜の尻尾を切り落とす「Bob」から。
かなり小さめの(ないしは存在しない)フロントフェンダーと簡素なリアパーツが特徴であり、肉抜きの結果シートが宙に浮くような形になってる車両もある。
チョッパー
第二次世界大戦後の帰還兵らが流行の発端となった、ボバーのコンセプトを更に突き詰めてフレームにまで手を入れたもの。名前の由来はぶった切るという意味の「Chopp」。
ボバーから更に無駄が削がれてもはや骸骨のような造形と、延長されたフロントフォークを特徴としていたが、後にこちらも見た目が先行するようになり、フロントフォークがどんどん延びて操作性に障るほどになっていった。
有名ブランド
ハーレーダビッドソン
アメリカンと言えば、真っ先に名前の上がる有名メーカー。
かつては様々なスタイルのバイクを製造していたが、80年代に入ってからアメリカンに特化した高級路線に転向しており、現代のイメージにつながっている。
しかしながら近年では高級路線のイメージが足かせにもなっているらしく、再びラインナップの幅を広げようと模索中。
インディアン
実は米国最古のバイクブランド。
20世紀初頭にバイクに参入して以降、ハイパワーの高級バイクを売り出していたが、当時は手広くやっていたハーレーとのシェア争いに敗北し一度解散する。
その後商標権は様々な投資家、企業の手を渡り、現在はポラリス・インダストリーズの子会社となっている。