概要
南米原産の小さなアリ。
ヒアリと違って毒はないが、攻撃的な上に繁殖力が強いのでウジャウジャ増え生態系に害を与える。そのため侵略的外来種ワースト100に選ばれた。
体長は2.2~2.6mm。鈍い褐色で遠目には黒に見えなくもない。
地中のみならずコンクリート壁のヒビ、木材の合間、果ては民家にある人の所有物にすら営巣する。自力で巣を掘る能力は乏しいので野生では落ち葉の合間や石の下、捨てられた他の蟻の巣等に住み着く。雨に敏感で、溺れないように女王を引き連れて引っ越したりする。
多女王性。1つの巣に女王が何匹かいることも珍しくなく、上記引越しの際に数匹の女王を連れて新たなコロニーを作ったりもする。その上超巨大コロニー性。どう言うことかと言うと、同じアルゼンチンアリであれば他所のコロニーのアリすら自分たちのコロニーのアリと同列に扱い協力する。通常であれば別コロニーのアリはたとえ同種であっても殺す普通のアリの巣と異なるこの性質が駆除を非常に困難たらしめる。ただしこれは侵略先となる海外では元が1つのコロニーから派生した遺伝子的に近しいコロニー同士になるからとのことで、出身たる南米では遺伝子が異なるコロニー同士で争うのでそのようなことは起こらないらしい。とはいえ、ヨーロッパではこの超巨大コロニーが100km以上の範囲に広がっているという信じがたい話も上がっている。小ささと獰猛さと人海戦術で現地産のアリを根絶できてしまい、土着アリの死滅に伴いそれと関係する他の動植物も多大な被害を受けるという恐ろしい事態を引き起こす。
ちなみにアルゼンチンアリは結婚飛行(新しい女王とオスが飛んで新たな生息地を求める行為)を行わない。一方で、同じくワースト侵略生物に名をあげるヒアリはこれを行う上に多女王性かつ超巨大コロニー性も持ち、洪水に際して仲間で筏を作り移動、更に毒針も有するなど恐ろしい特徴がてんこ盛りである。