概要
5000万年ほど前のイタリアに生息していた原始的なカレイ目の魚。名前の意味は「両側にある帆」。
状態のよい化石が見つかっており、骨格の特徴からマトウダイの仲間に近縁だったと考えられているが、既に背びれと尻びれが長く伸びて「エンガワ」が形成されつつあり、また片目が頭の中央に位置しているなどの特殊化が起きている。これは現代のカレイ目でも変態途中の幼魚で見られるため、アジ類やマトウダイと分岐し、ヒラメ・カレイへと移行する"過渡期"とされている。
同時期のフランスには近縁種の「ヘテロネクテス」がおり、やはり片目が額あたりについているという特殊化が見られるが、普通の魚と同じつき方だったであろう「最古の仲間」はまだ見つかっていないので、現時点では彼らが最古のカレイ目となっている。
ヘテロネクテスは「異なった泳ぎ手」という意味。
左右対称を基本とする生物の体にあってなんともアンバランスな体型だが、現代のカレイ目に比べると幾分アクティブで、海底に寝そべるというよりも尾びれを使って半直立の姿勢をキープし、左右それぞれで索敵・砂泥底の小動物を探すという分業をしていた模様。
なお化石の状態から目の寄った側は個体によってまちまちだったようで、彼らにはまだ「左ヒラメに右カレイ」の概念がなかったらしい。
ボウズガレイ
ボウズガレイ科。
カレイという名前だが、鋭い歯と大きな口を持つ見た目はヒラメに近い。
目がある側は個体によってまちまちという特徴はカレイ・ヒラメに分かれる前の段階なので、現生のカレイ目ではもっとも下等な仲間とされている。
関連
コケビラメ(科):現生種ではボウズガレイに次いで下等なグループで、目のある側は種類ごとに分かれている。