エダ(狼は眠らない)
えだ
「あんたは、ほんとの男だ。あんたこそ、ほんとの冒険者だ。だから、あんたと一緒にいれば、あたいも変われるんじゃないかって、そう思って」
「殺されればレカンのところに行ける」
「あなたが幸運に恵まれることが、あたいの幸せだから」
本作のヒロイン。年齢は14→16歳。
銀級冒険者の父と母を相次いで亡くした後、村を出奔する。金銭を稼ぐべく冒険者を騙り、護衛の勧誘を受けてレカンと出会った。
レカンに希望を見出し、ヴォーカの町で彼の行方を捜しつつ年齢を偽り冒険者登録をする。
レカンに魔力持ちである事を教えられ、紆余曲折を経て弟子入りする。
シーラと縁を結ぶ機会にも恵まれ、瞬く間に才能が開花し〈千本撃ちのエダ〉の称号を得る。
更に回復魔法の才能に目覚め、〈薬聖の癒し手〉から〈北方の聖女〉と名を広めていく。
レカンの守護の象徴にして最愛の存在。
人物
純真で優柔不断な性格。一人称は「あたい」。
当初は空回りして後先考えず、良かれと思った行動により度々騒動を起こす。
しかしレカンに正式な弟子として受け入れられてからは心にゆとりが生まれ、冒険者として逞しく成長していく。
序盤は乱暴な口調で「〜っす」を語尾につけていたが、それは冒険者らしく強がっていたに過ぎず、本来の話し方は一般的な少女そのもの。
家庭的で料理上手。ラインザッツ家に通うようになると淑女の作法を身に着けるようになる。
レカンとはあらゆる面で対照的であり、魔法は感情で会得するタイプ。
出自は下層の平民。訳アリで村で暮らしていた銀級冒険者の父と魔法使いの母がいた。
村ではみそっかすと馬鹿にされていたが、それは機会に恵まれなかっただけで地の頭は決して悪くはなく、むしろ冒険者として非常に有能。
赤髪赤眼と明記されているが、コミック版や原作挿絵では赤毛碧眼となっている。
小柄かつ細身。レカンとの身長差は頭二つ分以上離れている。
可愛らしい容貌の持ち主で短髪なので少年のような容姿であったが成長後は仕草も含めて女性らしくなっている。
服装は父の形見防具をアレンジしたもの身に着け、迷宮に応じて装備等変えている。
レカン
両親が相次いで亡くなり、14歳で天涯孤独となったエダは村長の息子に乱暴されかけ、村から出奔する。
何も知らなかったエダはレカンという強大な力を持つ冒険者に出会い、縋る道を選んだ。己の直感を信じて、結果的に魔法を教わり発動させる。
エダは厳しくも優しいレカンに惹かれていき、彼が瀕死の状態に陥ると〈浄化〉を覚醒。冒険者として力を得たものの幾度も失態を繰り返してしまうが、レカンは怒らなかった。
むしろ彼女の境遇と思いやりを理解した上で、守り、導く事を約束してくれた。エダはレカンという師ができ、ようやく元の自分らしく生きられるようになる。
エダは次第に一人の男性として意識し、恋心を抱くようになる。そして彼の身を案じ、両親の形見である〈幸せの虹の石〉を渡した。
シーラの勧めで二人で借家を借りたときは生活力のないレカンに代わって家事を率先とこなし、二人暮らしを楽しんだ。
レカンもまたエダの思慕を心地よく思い、弟子として大切に接した。
レカンとの弟子期間を終えると、エダは彼の旅に同行したかったが自立心から断る。そしてレカンが連れて行きたい女になると宣言し、告白して別れた。
半年後にレカンと再会したとき、ノーマの婚約問題が生じてしまい彼に頼んで承諾させる。(レカンが貴族になれば妻を複数持てる為)
そして今度はノーマの勧めを受けたレカンが守護を目的にエダに婚約を申し込む。
レカンからの婚約に喜んだエダは花嫁修業としてラインザッツ家に通い、貴族の礼儀作法や料理を学んで着々と女子力を挙げるようになった。同じくレカンの妻となるノーマとの関係も特に問題はなく過ごしている………が。
――――――「もしもオレがその〈黒穴〉に飛び込むとしたら…お前も一緒だ」
ぶっちゃけ、レカンの愛はエダにだけ向いている。
・エダにだけ白金貨(一億円)のジュエリーを贈ろうとする。
・全力で拒んでいた王都行をエダがいるなら行く。
・レカンが瀕死のとき、思い浮かんだのはエダだけ。
・故郷に帰るならエダと一緒。
エダの母親の名前はオジエ・タルザ・ヴーラ・マキシム。
ナルーム王国の国王の末妹。つまりエダとレカンは血の繋がりの無いイトコである。
父親のエディ・タルザは二度も<黒穴>を通った異世界の冒険者。
妻オジエと<黒穴>に飛び込み、異世界へ渡った。しかしシャントラー神殿の一派から悪魔として目をつけられてしまい、エディダルと名を変え妻子を守るべく村で世間から身を隠すように暮らしていた。
なぜ神殿から命を狙われていたのか不明。エダは両親の秘密を察していたが、二人は娘に何も話さず亡くなってしまう。
故に、エダはレカンに教えられるまで魔力持ちである事を知らずに生きていた。
結婚前、二人が墓参りに訪れ墓石の名で真実が発覚する。
エダの恐ろしく高い潜在能力も〈落ち人〉の血が起因しているのかもしれない。
大魔導師エルシーラに優遇されている。
彼女は様々な事情で弟子を取らず、現に複数ある名前の内の一つであるシーラで正式に認められた弟子はレカンのみ。
彼は調薬技術と試験に合格した上で正式な弟子として迎えられたが、エダはレカンとは異なり初対面で好意的な感情を向けられ魔法を教わる事ができた。
そしてエダはレカンの弟子となる。しかし元々彼に魔法を教示するよう勧めたのはシーラ本人。
そもそもシーラが命じなければ頑ななレカンはエダを受け入れる事はなかった。
つまりは二人を意図的に密接させたのである。
他にも同居させて茶化したり、回復の才能が発覚したエダを案じてレカンに強く警告するなど、まるで二人を離れさせないようにしていた。
作者によるとシーラの想いが隠されているらしい。