クロムモリブデン鋼
低合金鋼の一種で、若干のクロム、モリブデンを添加した鋼鉄である。クロモリ、SCM、CrMoと略される。
一般的に、硬度や引張り強さが高く、耐摩耗性と加工性(切削性や溶接性)にも優れ、焼き入れでさらに高い強度と靱性(粘り強さ)を得ることができる。クロムを添加しているので酸化皮膜を形成する性質を有するものの、クロム添加量はステンレスに比べると少ないのでその耐食性(さびにくさ)は十分ではない。
用途は幅広く、ボイラーやボンベ、パイプ、バルブなどの高圧力や高熱の過酷な環境に晒される材料をはじめ、ボルトやナット、歯車やギヤなどさまざまな機械部品や構造材に利用される。
中でも知名度が高いのはロードバイクなどの自転車フレーム用途で、現在主流のアルミニウムやカーボンフレームに比べ重量こそかさむものの、細く優雅な外見としなやかな乗りくちから根強いファンを持つ。
なお、安物のシティサイクル(ママチャリ)のフレームは低炭素鋼だが、ある程度の価格帯のモデルはハイテン鋼を使っている。上級モデルは主にアルミフレームとなり、クロモリ鋼のシティサイクルはかなりレアである。
クロモリにさらにニッケルを添加するとニッケルクロムモリブデン鋼となり、特に高強度を必要とする用途に用いられるが、溶接や切削加工が難しくなるのでクロモリほど使われない。