曖昧さ回避
スラングとしての一般解説
グレイビアド(graybeard)の意味は、英語圏で「年輩の賢者」を意味するスラング。
高齢者や老年者の鬚を灰色と位置付け、その鬚と色を成語に表現したものであり、物知りな高齢者・老先輩を指している。
ブライアン・W・オールディスのSF小説
イギリスの小説家、ブライアン・W・オールディスが1964年に発表した小説。日本では「グレイベアド」と翻訳されている。
あらすじ
(※東京創元社ホームページより引用)
人類の終末は思わぬ形で訪れた。50年前の〈変事〉以来、赤ん坊が生れなくなったのだ。
地球にはもう子供も青年もいない。世界の平均年齢は70歳に達し、滅びゆく人類の苦闘を記録するための機関が設立される。
その一員である〈Gray Beard/灰色ひげ〉は、妻と友人とともに川を下る旅をつづけるが……?
グレイビアド(オリジナル作品)
作品概要
太った人の多く住む町・扶留市にあるショットバー「グレイビアド」を経営する髭面の名物マスターが、来店する客が遭遇したり抱えている悩みや事件などを、彼と彼の友人2人が相談相手になったり捜査したりして、陰ながら手助けしながら問題を解決する様子を、世の中の多種多様なしがらみに絡めて綴った人間ドラマを描く。ある日、服飾専門スタイリスト・田崎華恵が、噂で聞いた「太った人の多く住む町・扶留市」に向かい太った人のサイズパターンを調査しに来た。
ストーリーその1
服飾専門スタイリスト・田崎華恵は、ふとっちょさんのサイズパターンをリサーチすべく扶留市を訪れる。町に降り立った彼女は、駅前を行き交う多種多様のふとっちょさんに呆然とした。その異様な暑苦しさに圧倒されそうになりながらも、そのリアルなサイズを目の当たりにした彼女は、直感的に手応えを感じた。そして果敢にもサイズを計らせて貰おうと交渉に出た。しかし、シャイで内気な人が多いふとっちょさんたちのガードは堅く、奇抜な感じで目立つ上に美人の女性にからかわれているとしか思わなかった為に、誰一人として相手にして貰えなかった。それでも彼女は、その事情を判って貰おうと懸命に交渉するのだった。
そこへ、「駅周辺で、変わった質問でアプローチして来る美人がいる」と言う噂を聞いたとなり町の札付き達が、興味本位でやって来た。派手な出で立ちの彼女は容易く発見できた。彼らは早速ちょっかいを出そうと近付いてきた。丁度華恵にアプローチをされていたふとっちょ兄さんがその事に気付き、その有名な札付き連中を見るや否や、彼女を振り切って急いで逃げて行った。その場に取り残された華恵は怪訝に思っていると、その目線の先に、こちらへ向かってくるガタイの良い彼らを見付けたので、同じようにアプローチをかけてしまった。
周りを囲まれた彼女は、その尋常では無い雰囲気から漸く事態が急変した事に気付くのだったが、もう後の祭りだった。か弱い腕を鷲掴みにされ、別の男が回してきた車に連れて行かれそうになったので、急いで大声を出そうとしたその瞬間、別の男の当て身がみぞおちに入る。ガックリと項垂れる華恵。すると、別の方向から、先程逃げたと思われたふとっちょ兄さんが、別の太った中年男性を3人連れてやって来たのが見えた。霞みそうな意識を踏ん張って堪える華恵だったが、「また増えてしまった・・・」と思うと、絶望的な気分になり、その先自分がどうなるのか考えるのが恐くなって涙が溢れてしまうのだった。
しかし、何だか鈍い音と共にガタイの良い連中の悲鳴のようなうめき声がしたかと思うと、華恵は、その3人中で一番髭面の太った大男の手によって優しく抱き抱えられていた。
- 犬飼徳重:「さ、もう大丈夫だよ♪」
- 田崎華恵:「えっ・・・?」
- 千葉武史:「アンタ、こんな所で何していたんだ?」
- 里見富士男:「ここは扶留市じゃから、悪さはワシ等が放ってはオカンけん安心せい」
- 田崎:「え、え・・・っ?」
- 犬飼:「そう。扶留市には、暑苦しくて油っぽいでぶっちょは多いが、悪い人間は一人もおりゃせんよ」
- 千葉:「それ、アンタが言うか?」
- 里見:「でかい腹して、そん娘が暑苦しいじゃろて」
- 犬飼:「ははは、そう妬くなって」
- 田崎:「あ・・・」
そのふとっちょなおじさんたちの会話から、「自分はこの人達に助けられたんだ」と理解した華恵は、慌てて地面に降ろして貰うと、そこにはもう一人、さっき逃げたと思っていたふとっちょ兄さんが微笑んでいたので、彼がこの人達を呼んできて自分を助けてくれたんだ・・・と理解したのだった。
華恵はその4人のふとっちょさんを、自分を助けて貰った御礼に‥とカフェに招待し、折角なので、そこで自分の行動を釈明すべく話を聞いて貰う事にした。最初はリサーチするだけのつもりで扶留市に来ていた華恵だったが、彼らに判って貰えた事と、この町が、今の世の中が忘れて仕舞った人との付き合い方を大切に守っている姿に惚れ込み、店を出す決意を固めていたのだった。
店の開店日、周りには沢山の扶留市民がやって来て歓迎してくれた。しかし店内はふくよかな客達の熱気で、窓は曇るわ汗臭いわ場所がないわで大変な事に。それでも華恵は、これからこの太った老若男女たち、特に、自分の父親のような恰幅の良いおじさんたちの役に立てることが嬉しくてたまらなかった。
主要登場人物
犬飼徳重(Norishige Inukai)
バー「グレイビアド」のマスター。通称トクさん。
拳法家で、店で耳にする事件などを、持ち前の知識と経験で分析し、3人組仲間と協力して解決する世話好きなおやじ。英語圏で用いられる言葉の「グレイビアド」の意味を自ら実行しているような人。
千葉武史(Takeshi Chiba)
犬飼の友人でバーの常連客。通称タケさん。中古車屋のおやじで拳法家。事件解決に一役買う3人組の一人。
犬飼が難解事件などを紐解き解決しようとして係わると、いつも巻き込まれてしまう。拳法好きで、広東の葉問の熱狂的なファン。自らも咏春拳の使い手。
里見富士男(Fujio Satomi)
犬飼の友人でバーの常連客。通称トミさん。花屋のおやじ。事件解決に一役買う3人組の一人。
犬飼が難解事件などを紐解き解決しようとして関わると、いつも巻き込まれてしまう。元々柔道家で、今も念入りに鍛えているらしいが、3人組の中では一番の巨漢。しかし、その風体に見合わない身軽さで、カンフーパンダも真っ青。町内に居る海外鍵っ子少年「児島昇」の親代わりでもある。
田崎華恵(Hanae Tasaki)
この物語の冒頭に登場する女性。
服飾デザイナーで、オリジナルブランドを展開し、都心に数件店を持つブティックオーナー。
キングサイズの服飾専門スタイリスト田崎華恵は、噂で聞いた「太った人の多く住む町扶留市」にやって来た。
勿論彼女もバーの常連客。
猪熊琢也(Takuya Inokuma)
バーの常連客で、商店街の不動産屋。通称いのさん。
昔、グレイビアドの土地を狙って執拗な嫌がらせをしていたが、猪熊の遭遇した事件を犬飼が解決した事で土地を諦め、逆に彼ら3人を支援する側になった。
周辺都市も含めて、土地事情に詳しい利点を生かし、ネットで彼らを支援できるふとっちょ中年だが、こやつは只のでぶっちょさん。
ボブ・セントニコル(Bob St.Nicolas)
バーの常連で、日本人よりも日本人的な外国人。
真ん丸で、青い目にタップリの白鬚を蓄えたふとっちょさんで、完全にサンタクロースに見える彼は、17年前に寒冷地農業のエキスパートとして来日した大学教授。教職は3年前にリタイアしたが、日本が気に入り安住してしまう。日本語は当然のようにネイティブで、声だけだと、彼がノルウェー出身の外国人だとは誰も判らないほど。
八木齊祠(Hitoshi Yagi)
バーの常連客で大手企業の役職(専務)。通称山羊さん。
会話のボキャブラリーがハンパなく、犬飼の情報源にもなっている人物。ただ、私生活に関しては殆ど話さないので、逆に「謎多き紳士」的な部分が魅力的で、彼をファンと慕う客も多い。
こんなに毛深くても充分モテるでぶっちょ中年も少ない。
熊倉一郎(Ichiro Kumakura)
アニメーション配給会社の部長でバーの常連客。通称クマちゃん。
学生時代からのアニメオタクで、それが功を奏して今の職に就いている人。
バーボン好きが嵩じて店に来るようになり、そこで目撃した3人組の活躍をアニメ化しようとしていたが、何時しか自分も加担する羽目に。3人組は活動を隠密で行っていることからアニメ化を断念。
この鬱蒼としたオタクでぶながら、可愛い娘が一人居る。同じ会社で知り合った夫人は、グレイビアドで意気投合した後、汗だくで口説いて結婚し娘を授かったが、残念ながら夫人を3年前に病気で亡くしている。
熊倉花蓮(Karen Kumakura)
クマちゃんの一人娘。グレイビアドのアイドルで(昼営業時)ピチピチの18歳。
あの百貫でぶと言う言葉がピッタリのクマちゃんが身近に居て、幼少時代から、そのお父さんを筆頭に周りがふとっちょだらけなので、「男性はみんな太っているもの」と思っていた程のふとっちょ慣れした女の子。しかも、でかくて優しいお父さんが大好きなので、でかくてふとっちょさんじゃなければ魅力を感じない程の、ふとっちょさん好きなプリティ少女。
犬飼から武術指導も受けている。
熊倉良子(Ryouko Kumakura)
クマちゃんの嫁さんで花蓮ちゃんのお母さん。
回想シーンでのみの登場だが、この容姿から、あのヒゲクマ親父の娘さんがなんであんなに可愛いのか‥と言う訳が理解できる。
児島 昇(Noboru Kojima)
自称少年探偵。通称のぼる。
犬飼をしたってて、いつも傍を離れない少年。
本当の探偵で有る筈が無いが、大人顔負けの頭の良さで行動センス抜群。
貿易商の父親が海外勤務で不在がちなので、友人の犬飼が面倒を見ている。彼も拳法を倣っており結構な腕前。子供の利点を生かして自由自在に飛び回るので、でかい里見とのコンビネーションは見物。
児島昇哉・凪乃夫妻(Shouzai Kojima・Nagino Kojima)
自称"少年探偵のぼる"の両親。
日本へ帰国する時は、飛行機ばかりでは無く、商談や荷物の都合で船便の場合も有り、彼らが住んでいる関東エリアでは無く神戸になる場合も有る。日本で親代わりの犬飼を始めとしたグレイビアドの面々は、昇を連れて神戸まで出迎えに行って呉れたりもする(関東に寄らずにそのまま渡航する場合も多い為)。
「昇哉」は本名で、本来の読みは『のりや(Noriya)』。息子の昇は、父親の名前から一文字貰って付けられた。小柄でたぬきおやじの呼び名がそのまま当てはまるような昇哉は、力不足を知恵でカバーして一人で貿易商社を立ち上げたかなりの苦労人。会社を立ち上げたばかりの或る日、大きな商売に行き詰まった昇哉が傷心旅行で出掛けた先で出会った人が奥さんの凪乃。
小野寺 博(Hiroshi Onodera)
町の開業医師でバーの常連。通称テラさん。一部では「ビア樽先生」。 店に来る度に「何じゃこの店は!デブばっかりじゃのぅ!」がお決まりの台詞。医師なのに、「メタボ検診など意味ないわい!」とぼやいている(でも、頼まれればちゃっかり検診する)
犬飼の父親とは同級生で、怪我の絶えない3人組の専属医師的存在。
大木田 敦(Atsushi Ohkita)
グレイビアドの常連で、クルーザー大好き人間。宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長に似ている事から、みんなから「沖田さん」や「沖田艦長」と呼ばれる。本人は「沖田艦長よりハンサム」と言ってるようだが、他人は、そんな細かい事まで気にしてはいないので、沖田艦長似としか思わない。
犬飼とは、ヨット繋がりで大親友。
岩浪義崇・洋子夫妻(Yoshitaka Iwanami・Youko Iwanami)
犬飼たちの活動を、陰ながら支援している人物。
夫の岩浪義崇は著名財閥の末裔。幼い頃、家を継がずに刑事になった父親が殉職。
犯罪や事件を追っている、父に似た犬飼に出会い、父の面影を追うようになった。
その後、事有るごとに彼らを応援している、謂わば慈善家。
会社では堅物社長で通っている彼だが、店に来ている時は、スケベでおやじギャグが止まらない只のおっさん。
阿佐野宗達(Soutatsu Asano)
バーの常連で、昇たちの通う中学校の理科教師。渾名は『博士』。
1995年製9代目Y33日産グロリア・グランツアルティマを、休みがあれば昼夜構わず峠で振り回している、見た目もそうだが文字通り脂ぎった、御年53歳のおっさん。黙っているとかなりの強面だが、笑うと満面の笑みになる優しい笑顔が、普段とのギャップを生じてかなり温厚なイメージになるので、以外にも女生徒達から人気が有り、下膨れでふとっちょさんな彼のふわふわな大きいお腹を、女子生徒が挙って触りに来るほど。愉快で豪快なもの知り教師。
片平英範(Hidenori Katahira)
扶留市商工会の会長。
首が無い真ん丸ふとっちょさんで、足も背も短く小柄な体型のおっちゃん。昔は裏社会にどっぷり浸かっていた人物で、改心して扶留市に流れて来て一般人としての生活を始めた人。町の世話役を進んで買って出て、まれに厄介な問題が生じた場合でも、厭な顔せず積極的に円満に解決させるべく努力して呉れる頼もしいおっちゃん。
バーの常連ではあるが、酒は一滴も飲めない。
岡本信夫(Nobuo Okamoto)
扶留市肥萬中学校の校長先生(フトメシヒバンチュウガッコウ)。
太り気味ながら、がっちりした体格でとても厳格な性格の持ち主。3年前に奥さんを亡くし、ちょうど同時期に上海で奥さんを亡くした熊倉親子を、親身になって励まし立ち直らせてくれた御仁。
熊倉の娘の「花蓮」も通う中学校の校長と言う事も有ったが、そもそも熊倉とは、意外にもアニメ好きで、グレイビアドでの飲み友達と言うよしみから、自分の不幸を省みず献身的に接した結果、熊倉親子に明るさを取り戻すことが出来たのだった。
頑固者ながら親切で優しい御仁で、最近珍しいほど熱心な教育者。
犬飼の店に良く出掛けては、お店に来る色々な人たちとの交流から、教育の舞台にも応用出来ることはないかどうか…などと考える、結構真面目ながら、或る意味では一寸面倒くさそうなおじさん。
子供達が犬飼たちから拳法を教わっている事を知っているので、その興味も、武術を通じて、今の義務教育に学ぶ学生たちの為になる事が何か見出せれば・・と言う方向に有り、常々工夫してはいるものの、中々納得行く答えが出ずに、日々何かを追い求めている努力家でもある。
向居毅郎(Takeo Mukai)
扶留市の扶留警察署勤務の、スリーピースが似合う紳士的でがっちりふとっちょの警部さん。
バーの常連で、バーの三人衆の行いは薄々感づいているものの、無粋な事は言わず陰ながら支持している。
最近目に付く複雑怪奇な事件の数々。何かの組織によるものらしいが、未だ確信は掴めて居らず捜査に全力を尽くしている。向居はその捜査を担当する特捜部の責任者。同じ特捜部には、鈴木梨沙警部補と言う、ボーイッシュながら美形の女性刑事が居て、向居の相棒では無いものの、彼女を一度バーに連れて来て以来、彼女の方が捜査後にバーへ出掛けるのが嬉しくなって、ずっとついて回るようになった事から、みんなからは「愛人連れ警部」と冷やかされている。
外部リンク
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