概要
北國ばらっどによる小説作品。「ウルトラジャンプ」2018年1月号に掲載された後、短編小説集『岸辺露伴は戯れない』に収録された一編。
とある1人の男が出会い、そして病的なまでに魅了された〈シンメトリー〉を主題とする。
あらすじ
岸辺露伴は取材に訪れていた。
杜王情報通信大学というなんの変哲もない学校へ。実は、この大学で数日前、学長が新校舎で〈アジの開き〉のような左右対称の変死体となって見つかった奇妙な事件が起こったという情報を入手していたからだ。だが、事件現場となったその新校舎、本当に平々凡々で、作り手の気概が全く感じられないと露伴は落胆した。
そんな中、露伴は1人の男と出会う。新校舎を建築したというその男・土山章平は、髪型も、服装も、動作も、身体つきでさえも、すべてが〈シンメトリー〉だった。興味をそそられた露伴は彼と少し話すことにした。彼は自らが出会った完璧な〈シンメトリー〉を信仰していた。この新校舎も〈シンメトリー〉にしたかったが、学校側から文句をつけられやる気を失い適当に設計したと、そう語った。決定的に露伴のプロ意識とは異なった思想。反感を抱いた露伴は土山に説くも、彼は聞く耳を持たない。そればかりか、「〈シンメトリー〉の素晴らしさを理解しない者には実際に見せてやる」と、露伴を新校舎5階・多目的ホールに閉じ込める。
その多目的ホールは、学長が"発見"された場所。
その多目的ホールは、完全な〈シンメトリー〉。
すぐに脱出を試みる露伴に、得体の知れない怪異が襲いかかる。