「少し試させてもらうぞ オレは…臆病なんでな」
*原作最新刊のネタバレを含みます*
概要
最高位のアビス探窟家だけに与えられる称号「白笛」に列せられた一人。
「獣相」と呼ばれる異形の隊員を多数率いる呪詛船団(ヘイルヘックス)という探窟隊のキャプテンを務めているが、スラージョ自身は「獣相」ではないらしい。
作中では長らく「神秘卿」と呼ばれていること、ペストマスクとフードを被ったような外見のみが判明していたが、第六層にて遂にリコ達と対面する事となる。
ある探窟家の遺した、深淵の禁忌に触れるとされる御伽話「ハリヨマリ集」の未修正の原典、さらにその共著者「巫女」なる存在にアビス攻略のヒントを見出し、詳細を探っているらしい。
人物
胸元から下腹部まで大胆にはだけた服装に毛皮を羽織り、首からは白笛を含む様々な色の大量の笛を下げ、フラパムという名の小動物のような獣相を肩に乗せている等、印象的な装いをした容姿端麗な女性。
オーゼンやプルシュカのような上昇負荷の影響を受けた髪型をしていて、まつ毛と目尻のあたりが星の輝きのような十字になっている。
一人称は「オレ」、「本日はお日柄もよく」ならぬ「お日柄ァ」という妙な挨拶など、独特な言い回しと仕草を好む明朗快活な人物で、常に語尾が「!」になっているような仰々しい男性口調で話す。会話に合わせて指先を鋭く振るような癖も特徴的。
また、作品内では台詞のフキダシが他のキャラと明確に異なる太くかすれた墨のような表現になっているため、声質もかなり独特な様子。
自身のことを「臆病」と称しているが、本人曰く「下げではないぞ」とのことで、実際は慎重であっても怖いもの知らずな性格。ガンを飛ばしたり人前で鼻をほじる等、柄の悪い所も目立つ。
人の名前を覚えるのが苦手なのか、単に雑なのかは不明だが、ボンドルドのことを「ボンクラ仮面」、ナナチのことを「んなちゃん」と呼んでいる。
これまで劇中に登場した白笛たちは、問題児的な性格で色々度し難い殲滅卿ライザ、偏屈で良い意味でも悪い意味でも常に本気な不動卿オーゼン、存在そのものが手段を選んでいない黎明卿ボンドルドと、皆かなりの問題人物だったが、スラージョは
・相手が子供であろうと対等に接する。
・貴重な情報を迷いなく提示する。
・客人に(強奪した物とは言え)貴重な遺物を惜しげもなく提供する。
・捕虜に対しても丁重な扱いをする。
・手ずから料理を作り、客人に振る舞う。
等、比較的まともな性格をしているようには見える。
しかし前線基地を管理するボンドルドと対立した際は、配下を率いて強引に突破し、結果として祈手(アンブラハンズ)を半壊滅状態に陥らせるなど、やっぱり白笛特有の性格の度し難さが出ている。
そもそも抹殺してでも隠匿すべき存在であるはずの獣相の者を部下に集めている時点で、探窟家としてとんでもないルール違反を犯しているのである。
一方で、こう見えて繊細な一面があるらしく、リコたちに振る舞った料理は味付けに失敗していたのだが、部下たちは「それを指摘するとガチ凹みするから」という理由で全員が黙っていた。
以前に白笛ボンドルドとやりあった一件もあってリコ達(というかナナチ)は話の通じる相手とは判った上で警戒は解いておらず、特にファプタの身の上など、ややこしい部分は隠しながら接している。
余談
彼女ら呪詛船団の拠点の風呂場には、遺物由来の超高級洗剤「洗剛」や、常に遺物図鑑を眺めていたリコや白笛であるスラージョ本人も「図鑑にも載ってない」「初めて見た」と評するほどの風呂釜代わりの超巨大な「しわ鍋」(推定1500万オース以上)が置かれている。
さすが白笛の探窟隊…と思いきや、これらはスラージョが前線基地を突破する際に拝借してきたものらしい。
ペストマスクや「神秘」の響き、全体のシルエットから来るイメージから、中身の判明前は専らトリッキーな性格の男性のイメージを持っていた読者が多い模様。1つ前の白笛でこんなのが流行ったのを受けて既に「エアプスラージョ」なる概念も発生しており、「ケッケッケ」「ヒッヒッヒ」といった笑い方の狡いキャラクター性となっている。