概要
1995年第26回星雲賞映画演劇部門賞受賞作品。
あらすじ
異星人の賞金稼ぎ(同シリーズでは一貫して「捜索者」と呼ばれている)イリアは、盗賊カヌート一味に盗難された骨董品「カマライト」を奪い返すために、人工知能の相棒ボブ、同業者フジクロと再び地球を訪れていた。難なくカマライトを奪還したイリアは、単身で次の任務である、当局の開発した支援用戦闘ロボットとの模擬戦に向かう。
しかしカマライト目当てに裏切ったフジクロは転送機とボブを破壊、偶然イリアを見かけてベースに訪れた鉄平を捕らえてしまう。一方イリアはカヌートが雇った大勢の賞金稼ぎ達に囲まれて窮地に陥る。そこへ例の戦闘ロボットが現れ、イリアの制止も聞かず賞金稼ぎ全員を虐殺する。
しかしそのロボットには制御ユニットとして、あの恐るべき生体兵器「ゼイラム」の別個体が内蔵されていた。賞金稼ぎやカヌートの返り血によって覚醒したゼイラムによってロボットは暴走、異空間「ゾーン」を生成してイリア、フジクロ、鉄平を閉じこめてしまう。
神谷により修理されたボブのサポートの下、全身兵器の固まりであるゼイラムロボットに挑むイリア。鉄平を救うため自ら「ゾーン」に転送される神谷。3人は無事に再会し、ゼイラムを倒して脱出できるのか。
登場人物
イリア(演:森山祐子)
前作から同じく捜索者家業を続けている。本作では、フジクロと一時的に手を組み、カヌート一味からカマライトを奪還する仕事を受け、それを成功しかけていた。
神谷(演:螢雪次朗)
前作から、同じく配線工を続けている。鉄平の結婚式で黒田節を披露すると約束していたが、ある理由からそれが出来なくなっていた。今回もまた巻き込まれ、破損したボブの配線を直している。
鉄平(演:井田州彦)
結婚を控えているが、結婚式に神谷が出られないと聞いてやや腐っていた。ゼイラムロボットの出現で、フジクロとともにゾーンに巻き込まれ、フジクロに人質として連れ回される。
ボブ(声:井上和彦)
イリアの相棒である人工知能。今回も神谷と鉄平を巻きこんでしまう。
フジクロ(演:SABU(田中博樹))
今回イリアが組んだ同業者。日和見的な男で、やや小物。自分の利益になる事を優先し、そのためには裏切る事も辞さない。カヌート一味からイリアとともにカマライトを手に入れるが、カマライトを独占するためにイリアを裏切り、ボブと転送機を破壊する。しかし最後には、神谷に修理されたボブにより牢獄へと転送される。
カヌート(演:栗原敏)
カマライトを奪い、売りつけんとする盗賊。奪ったカマライトを高額で買い付けるというフジクロの話に乗り、地球にやって来た。ヤヌキ(演:吉田瑞穂)、ハギ(演:阿部光男)という仲間を連れている。
口調は丁寧だが、慇懃無礼な態度で他者に接する。
イリアにカマライトを奪われたが、後に大量のバウンティハンターたちを呼び寄せてイリアを囲い、復讐せんとした。しかしその直後にゼイラムロボットが転送されてきたために、返り討ちに遭い殺害された。
ゼイラムロボット(スーツアクター:吉田瑞穂)
異星人が造り上げた戦闘用ロボット。制御ユニットとしてゼイラムを用いている。序盤は命令どうりに動いていたが、カヌートの返り血を浴びてしまい、制御不能となる。
当初は、ゼイラム1作目に登場したゼイラム同様に、三度笠のような笠を被った姿で登場した。しかしゼイラムの本体は、ロボットの胸部に内蔵されており、笠を取った後、狐を思わせる耳を持った頭部を露わにしている(メイン画像参照)。
製造した上層部は、ゼイラムを制御するためのテスト機体として作り出し、イリアの護衛をさせる事でそのテスト運用にと遣わしたらしい。しかし上述の通り返り血を受け、それが元で制御不能になる。
ロボットゆえに体中に強力な武器を内蔵しており、強固なシールドを張るのみならず、『手にした鉄パイプを薙刀に変化させる』など、無機物を取り込み武器にする能力も健在。生物の細胞を取り込んでの、リリパットの製造も可能で、劇中では子犬を殺害し、その細胞から狛犬型のリリパットを作り出した。
他に、ゾーン発生装置も内蔵しており、劇中で自力でゾーンを発生させ、イリアたちをその中に取り込んでいる。
前作同様、中心部に内蔵されているゼイラム本体を倒さない限り、再生して何度も襲ってくる。
ちなみに今回のゼイラムは前作とは別の固体である。
小道具
カマライト
今回イリアとフジクロが、カヌート一味から奪還を依頼されたアイテム。当初はカード型に圧縮されていたが、専用装置により圧縮が解除されると、仏像の様な本来の姿を現した。見た目は観音菩薩像を思わせる。
本来は、かつて用いられていた転送装置。使い捨てで、一度使用すると消失するらしい。それ故に価値が生じ、現在は骨董品としての価値が見出されている。
30センチほどの大きさで、色は半透明の緑色。しかし台座部分を引く事で起動し、金色になる。
余談
盗賊カヌート一味は、イリアに追い詰められた際。金で雇った大量のバウンティハンター(賞金稼ぎたち)を呼び出し、イリアを囲ませた。しかし彼らは、直後に現れたゼイラムロボットにより全てが殺害される。
劇中に登場したこの大量のバウンティハンターたちは、模型雑誌『B-CLUB』による公募などで、全国から集まった有志のコスプレイヤーたちが演じている。そのコスチュームもまた、各自の自作(一部は「未来忍者」や前作で用いられた小道具を借りたらしい)。
短いシーンではあったが、種々雑多な姿のハンターたちが大量に出現し画面に映った事で、「(ゼイラムという作品の、そしてイリアの属する)世界観が、いかに広いか」が表されていた。
また、参加したこのハンターたちの中は、開田あや、古怒田健志といった、特撮関連の有名人などもいたりする。