概要
分母を0で掛ける式(ゼロ乗算)の場合、分子がいかなる値であっても0(ゼロ)となるが、乗算と除算は分母基準だと反比例(たとえば2*2=4と倍になるが、2÷2=1と半分になる)であることから、分母を0で割る式(ゼロ除算)は分子がいかなる値であっても∞(無限大)となる。しかし数学の定義として∞という解は存在しないので、「解がない」「答えを出すのは不可能」と回答するのが正解とされている。
実際7セグメントの電卓で計算すると大抵が「E」(ERRORの頭文字)と表示され、windows付属の電卓だと「0で割ることはできません」、iPhoneの電卓だと「エラー」と表示される。また、プログラミング上でゼロ回避をせずにゼロ除算をすると例外エラーとなり、処理が強制終了する場合がある。
ゼロ除算の回答は数学の範囲で、本来であれば中学生になってからこの理屈を教えるのが正しいとされるが、四則演算そのものが算数で教わることから小学校でもゼロ除算が出題されている。
エピソード
答えはゼロ論争
このようにゼロ除算の答えは解なしが正解であるが、文系の人の中にはこのことを理解していない人がおり、分母が0で除算した場合は0という間違った答えを出してしまう場合がある。これは先述の乗算との関係を理解していないためで、「0で足す(加算)と0で引く(減算)で値が変わらないのだから、0で掛けるのと0で割るのもおなじはずだ」という誤った思い込みの結果とされている。特に小学校は原則担任が全教科を教えるため間違えたゼロ除算の解を教えてしまうことがあり、実際ある小学3年生のテストで「18÷0」という問題を出し、「答えなし」との回答に×(不正解)をつけて「正しい答えは0」と書き直した事例が話題になったことがある。
ゼロ除算でのトラブル
ゼロ除算を考慮しなかった結果重大な事故を引き起こすこともあり、アメリカ海軍のイージス艦「ヨークタウン」が駆動装置の制御プログラムを実行したところ、エラーのため駆動装置が停止してしまい、回復するまで2時間半にわたり漂流したこともある。原因として処理を入力した隊員が誤って分母をゼロと入力して気づかずに処理を実行したためと言われているが、重大な制御装置にゼロ除算対策を組み込まなかったという杜撰なプログラムだったことも原因とされている(ちなみにこのシステムを納入したのはマイクロソフトであると言われている)。
関連タグ
ゼロのゼロ乗:ゼロ除算と並ぶ間違えやすい算式。ちなみに答えは1とされている。