「365日毎日安い!」
概要
宮崎県発祥のドラッグストアチェーン店。真っピンクの看板と「365日毎日安い!」がトレードマーク。
九州を中心としたドミナント形態を取るため、西日本では有名ながらも東日本での知名度は今ひとつ。
かつて、競泳選手の松田丈志が2010年から三年間在籍していた。
店舗フォーマット
看板そのものは先述した通りだが、比較的古い店舗では緑ベースにピンクに紺の縁取りの「ドラッグストア コスモス」ないしは「スーパードラッグ コスモス」とペイント(実際のロゴは「ドラッグ〜」の部分が小文字で「コスモス」がデカデカと表記されている)している事が多く(一部店舗では後年になり「ディスカウントドラッグ」に塗り替える場合もある)、平面的なペイントとなっていた。
その後「全体が薄いピンク」(ここまでは緑色の店舗同様平面的ペイント)→「上が真っピンクで下は白」→「上は茶色で下は白」へと変遷している紺の縁取りを廃した「ディスカウントドラッグ コスモス」を経て現在では「ドラッグストア コスモス」と掲げ、よりシンプルにロゴの部分(四角で囲まれている)だけ立体的な構造へと変遷していった。
また、稀にロゴのカラーリングが「ピンク地に白文字」を反転させた配色である「白地にピンク文字」という店舗も存在する。
近年の「茶色系の店舗」では看板の下には取扱品目が掲げられているなんて事も。
店舗サイズは郊外型大型店舗クラスで展開するが、それも居抜き出店より更地から建てて出店する事例が多数を占めている。居抜き出店の場合は駐車場の出入口にある古い看板を取り替えたりせずそのまま流用しロゴを変形させて対応している事も少なくない。
また、大多数は平屋建てだが稀に1階が駐車場で2階が店舗というパターン(俗に言うピロティ構造)も存在する。
なお、居抜き物件に出店する際も新築店舗同様に売り場を配置する工夫をしている(外装は小規模な改装を行う事もあるが、内装は居抜き店舗だからといって変則的な配置をする事は一切せず、必ず『コスモス流フォーマット』でコーディネートされている)。
近年では「将来的に『調剤薬局』も併設する事を前提にした店舗出入口を二口にした」設計(新規開業時はまっさらの空きブース状態)になっている事も多い(とはいえ、既存の店舗でも売場作りを調整して「調剤薬局コーナー」を併設した店舗も増えている)。
取扱品目は生鮮と凝った惣菜以外ならとりあえず「客の目的買いを満たす定番商品」は置いているという程度の品揃え(この場合の「凝った」というのは「スーパー等の店内調理」という意味であり、カットサラダや湯煎パウチの簡便な種類の惣菜が多い)で、ひと通り買えばそこそこ日常生活は回せるくらいには困らない。
また、この様な品揃えが基本である(とはいえ、冷凍パスタ等の様な「店舗によっては定番どころ以外の『特定の種類』のみ取扱いが無い」ケースは時折あったりはする)が故に近距離で複数店舗がある場合だと「どの店舗でもほとんど売ってるものが変わらない」などと冷やかされる事もあるが、それは裏を返せば「普段の行動圏ではない遠出した場所にコスモスの店舗があった場合でも『帰りに買って帰らなきゃ』と思い出せば大体普段通り買える」という強みでもある(先述した「共通の売り場作り」のため、基本的な売り場の配置さえ覚えていれば無意識にお目当ての商品を見つけられるほどである)。
しかしながら「(販売元からすれば特に販路は想定していないが)地域によっては入手可能な店舗が限られるため『比較的マイナーとされる』商品」が「近所ではコスモスでしか売っていない」事もあるため、その「特定の商品」を御用達としている方々には結構重宝されていたりもする。
特に「九州地区限定販売」の商品(先述した「販路を想定していない比較的マイナーな商品」とは異なり、文字通りの地域限定品)が九州地区以外でも買えるのは、お膝元ならではの強みであろう。
セルフレジこそ導入する店舗は(既存新規問わずには)増えているが、基本は現金払いのみ(免税対応店舗はクレジットカードは使えるが)。ポイントカードも一時期はあったが、個人情報保護の観点とコストカットのために廃止された。
大手の商売敵が恐れる「九州の覇者」
実は、ドラッグストアチェーンとしては業界最大手のウエルシアやそれに次ぐツルハドラッグにさらに次いで国内売上高3位(2021年8月現在)とマツモトキヨシやスギ薬局よりも上位に位置する。
…この話を聴いて「なんだなんだ、所詮業界ワン・ツーのウエルシアとかツルハより下なら大した事無いだろwww」などと鼻で笑う人もいるかもしれない。
しかし、この順位、何を隠そう「純然たる新規出店『のみ』で達成された」というのが極めて大きなポイントである。
もう一度言う。新規出店だけで(同業他社を買収や傘下に収める形で成長した)ウエルシアやツルハに肉薄しているのである。
宮崎から福岡、さらに九州全体に広大な店舗網を築き物流網を整え、手始めに比較的近場の中四国地方へと進出し、地場系のドラッグストアとしのぎを削りつつ(しかも「食品メインで薬は二の次」な売り方をしていると、店舗数が増えるにつれ地場食品スーパーの売り上げにもダメージを与えた)も前線で大量の新店を投入して次第に近畿、中部、関東に達した。派手さこそ無いものの、ライバルへ群れる事無く地道に手堅く展開し続けたのである。だからこそ、軍資金を稼ぎつつ大手競合の本拠地を攻略し続けられたのだ。
もちろん、ウエルシアやツルハといった競合大手も手をこまねいていた…いや、業界のワンツートップとはいえ頭を抱えていたと表現した方がいいのかも知れない。それも店舗のある地元民から「うちの地域にウエルシアが無いのはコスモスが強いから」とネタにされるくらいには。
何しろ自分達は主戦場が近畿、中部、関東という人口密集地であり「本拠地≒激戦地」となり争奪戦へと陥っており、しかも「倒すべき相手」の本拠地は物流効率も悪く、(自分達からすれば)主戦場でもない九州である。いくら強固な軍団といえど所詮は「徒党を組んだ身の上」である彼等が「他者に頼らぬ己の実力だけでのし上がった」相手に立ち向かうのは容易では無い。
同じ九州発祥のディスカウントストアで薬も売っているダイレックスですらサンドラッグの傘下である事を踏まえると、仮にウエルシアやツルハがサシで勝負した場合、コスモスが余裕で1位になる可能性すらあるのだ。
…まさに「特定のグループに属さずにトップ3位圏で拮抗している」という事実がどれだけ恐ろしいのかがお分かりいただけるだろう。
事実、イオン九州は2022年9月1日、ウエルシアホールディングスと共同出資で「イオンウエルシア九州」を設立したのも、要約すれば「あからさまな『コスモス潰し』である」というから最大手といえどいかに戦々恐々としているかが分かるだろう。
「調剤・深夜営業・カウンセリング・介護」といったウエルシアの強みと「店内調理の総菜・生鮮食品・アウトパック供給・小ロット配送」といったイオンの強みを組み込んだ「コスモスにとっての『メタユニット』店舗」を展開するというから、今のコスモスがどこまで耐えられるのかは未知数である。
もしかしたら、コスモス側にも変革が求められる時が来るのかもしれない…