概要
企画・シナリオ・原画は全てゆうきあずさによる。
恋愛育成シミュレーションゲームで、プレイヤーは3人いるヒロインの中から一人を選んでプレイすることになる。ヒロイン3人は非常に個性が強いため、プレイヤーの分身感は薄く、それぞれのキャラクター視点で物語を楽しむ分岐有りのノベルゲーム的側面が強い。選ばなかったヒロインも作中で交流することでヒロイン同士のEDを迎えることも可能となっており、それぞれの視点をプレイすることで物語を多角的に楽しめる。
続編に『ファンタスティックフォーチュン2』(PS2・PC用ソフト)があり、同名タイトルの2と区別するために、本作は無印とも呼ばれる。
また、発売元を同じくする男性向け恋愛シミュレーションゲーム『エーベルージュ』と設定を共有しており、同じワーランドという世界を舞台としている。「エーベ女神」「アンヘル族」「力のある樹」など共通して出てくる用語も複数存在し、『ファンタスティックフォーチュン』の時代は『エーベルージュ』から500年前という設定である。
『エーベルージュ』シリーズと『ファンタスティックフォーチュン』『ファンタスティックフォーチュン2』を合わせてワーランドシリーズと呼ぶ。
ストーリー
物語の舞台は、惑星ワーランドにあるカダローラ島の内陸にある小国・クライン王国。
主人公となるのはクライン王国の王女・ディアーナ、アンヘル族出身の騎士見習い・シルフィス、魔法により現代日本から召喚されてしまった女子高生メイという境遇の異なる3人。
主人公3人にはそれぞれ目標があり、達成に向けてクラインでの一年間を過ごすことになる。
プレイヤーは育成コマンドによって主人公のパラメータを上げ、攻略キャラと交流して好感度を上げてイベントを起こし、一年の間で目標達成ED(恋愛なし・メインルート)または攻略キャラとの恋愛EDを目指す。
メインルートの目標までパラメータが足りず、恋愛もしておらず、ヒロイン同士の好感度も低い場合はバッドEDとなる。
剣と魔法のファンタジーな世界だが、メインルートで共通するシナリオでは政情不安定な隣国との戦争を扱っており、シルフィス・メイについては実技のパラメータがある時期までに極端に低いままだとなんと作中で死亡してしまうなど意外にシビアである。バッドEDには専用スチルが存在するのだが、このパターンの場合スチルすら存在せず無慈悲に終了となる。
ゲームシステム
初めに3人の中から育てるヒロインを1人選択する。名前・誕生日・血液型については変更可能。
育成パートでは、毎週日曜日の夜に月曜日から土曜日のスケジュールを以下から設定する。予定はオートで入力されるが、それをプレイヤーが調整する形となる。日曜日は休日だが補習をすることも可能。
学問 | 知識に関する学習 |
---|---|
倫理 | モラルに関する学習 |
実技 | 技術の学習 |
奉仕 | 仲間との奉仕活動による、人付き合いの学習 |
補習 | 1日で2つの科目を学べるが、ストレスも2倍 |
休暇 | 1日休み。外出も可能 |
上記の項目は選んだヒロインによって対応するパラメータの名前が違っている。
汎用項目名 | ディアーナ | シルフィス | メイ |
---|---|---|---|
学問 | 教養 | 知力 | 成績 |
倫理 | 気品 | 騎士道 | 道徳 |
実技 | 社交術 | 武術 | 魔法術 |
奉仕 | 魅力 | 勇気 | 人気 |
休暇以外の行動ではストレスが溜まり、ストレスが上がると学習効果が悪くなる。ストレスの度合いはウィンドウに表示されるヒロインの表情によって判断する(全5種類)。ストレスは外出することで減る。
スケジュールはオート進行かマニュアル進行を選ぶ事ができる。マニュアルの場合プレイヤーがタロットを3枚引いて正位置の枚数で学習効果が変わる(とても良い・やや良い・普通・あまり良くない)。
恋愛EDを迎える為には外出してキャラクターに会いに行き好感度を上げ、イベントを起こし、正しい選択肢を選ぶ必要がある。イベント発生には時期やパラメータも関わっている為、外出のみで好感度を上げるだけでは恋愛EDにはならない。
登場人物
ヒロイン(主人公)
ディアーナ・エル・サークリッド(Diana el Circled)
声:茶山莉子
クライン王国の第2王女。皇太子セイリオスの溺愛に加えて末姫という立場から、王女としてはかなり自由に育つ。おっとりした性格ではあるが、行動は少々おてんばである。しかし、幼い頃に出会った青い瞳の少年との約束が忘れられず、今でも再会を夢見ている。
シルフィス・カストリーズ(Sylphis Castries)
声:石田彰
思春期を過ぎるまでは男女の区別が無いアンヘル種族の若者だが、15歳を迎えても未だ性別がはっきりしていない。不安をかかえながらも、憧れの職業である騎士を目指すため、見習いとして王国の騎士訓練所で生活をはじめる。
藤原芽衣(ふじわら めい)(Mei Fujiwara)
声:坂本真綾
魔法研究院の実験失敗により、現実世界から召喚されてきた女子高生。何とも迷惑な話だが、当の彼女は大喜び。しかし、はずみで来てしまったので帰る手段もわからず、こちらの世界で暮らすことに…。新しいものが大好きで、好奇心旺盛な性格。現実世界との絆である制服を常に着用している。
攻略対象キャラ
セイリオス・アル・サークリッド(Seirios al Circled)
声 - 緑川光
クライン王国皇太子。23歳。7月26日生まれ。しし座。O型。身長は179cm。体重は65kg。敬称の「殿下」で呼ばれる機会の方が多い。シオンと共にキールが所属している王立魔法研究院の第一期生でもある。人当たりがよく有能な、まさに理想の王子様だが、気を許した人間に対しては結構毒舌家。妹のディアーナにはとことん過保護。ディアーナが5歳の頃、王宮へ移るセイリオスへ餞別として渡した熊のぬいぐるみを、今でも大切に持っている。レオニスに対しては信頼を置いているが、亡き王妃マリーレインと妹姫ディアーナに関わる場合のみ、頑なに辛辣な態度をとる。紅茶の味が判っていないとシオンを嘆かせている。酢昆布にも寛容で食べ物の好き嫌いは無いとはいえど、ゼリービーンズは何か許せないものを感じるらしい。出生に秘密あり。趣味は楽器の演奏と作曲。
シオン・カイナス(Sion Kinus)
声 - 塩沢兼人
王国一の魔法使いで筆頭宮廷魔導士。26歳。4月17日生まれ。おひつじ座。血液型不明。身長は184cm。体重は72kg。皇太子セイリオスとは幼馴染で、魔法研究院では第一期生同士、人前以外では「セイル」と愛称で呼ぶ唯一の人物。セイリオスの出生の秘密を知る。セイリオスの身辺に常に部下を配置して守っている。仕事嫌いで女好きの遊び人だが、危急の場面では頼りになる人物。ディアーナをあっさり殺そうとしたり、誘拐させたり、シルフィスを死ぬと判断して放置するなど、目的のためには自ら汚れ役を演じることも厭わない偽悪者の傾向がある。その一方で、メイには妙な保護態度を見せる。告白は自分に都合のいい言葉しか言わない。女の振り方は酷薄。草花を育てるのが趣味。面白いと思えば何にでも首を突っ込む。「歩く台風の目」とも呼ばれる。
キール・セリアン(Kiel Serian)
声 - 遠近孝一
魔法研究院の学生で研究院一の秀才。19歳。10月15日生まれ。てんびん座。AB型。身長は167cm。体重は55kg。若くして魔導士の最高位の印である緋色の肩掛けを拝受している。魔法実験の失敗でメイをワーランドに召喚してしまったため、その責任をとってメイの保護者になっている。無愛想で人嫌いだが、結構面倒見がいい。アイシュの双子の弟で、幼少期は兄を慕っていた。馬鹿は嫌いだと公言している。甘いものが嫌いで、ボイスドラマでは乳製品アレルギーの事実も明かされている。召喚直後のメイを「山猿」、初対面のディアーナを「じゃじゃ馬」と呼び、シルフィスには観察欲を隠さない発言をするなど、人当たりは悪い。霊視能力の持ち主。彼の眼鏡は、精霊や妖精などの人ならぬものを、ある程度見ないようにする手段のため、アイシュと違って伊達である。
レオニス・クレベール(Leonis Krebele)
声 - 鈴置洋孝
王宮の近衛騎士で騎士見習い訓練所の責任者。30歳。12月8日生まれ。いて座。B型。身長は194cm。体重は87kg。近衛騎士隊第三小隊隊長。階級は大尉。見習い騎士で直属の部下にあたるのはシルフィスとガゼルの2人のみ。無口でストイックな剣士。騎士見習いにとってはよき先輩。シルフィスの保護者的存在でもある。宮廷での警備時に見せるあまりに厳しい表情は、女官達を怯えさせている。骨董品集めが趣味。登場人物で最も身長が高く、年長だが、顔は童顔。過去に受けた心の傷を抱えている。
アイシュ・セリアン(Aish Serian)
声 - 宮田始典
宮廷の文官。19歳。10月15日生まれ。てんびん座。AB型。身長は168cm。体重は58kg。執政官でディアーナの教師役も勤める。18歳で任官が決まった天才だが、本人はおっとりのんびりなお人好し。少々間も抜けている。キールの双子の兄。素顔の顔立ちも似ているが、瓶底眼鏡と常時絶やさない笑顔の影響か、似ているという印象は強くない。親の都合により7歳まで父母それぞれの下で別々に育てられ、父の死後から母の下で共に育った。頭脳と運動神経は反比例しているらしく、何も無い場所での転倒も珍しくなく、まっすぐ歩いてもよく人と衝突する。同僚からは「バランスが悪い」と言われている。お人よしが災いして業務を押し付けられ、仕事が際限なく増えている模様。趣味はケーキ作り。強度の近眼で、瓶底眼鏡を掛けていないと落ち着かない。メイ曰く眼鏡フェチ。キールを傷つけないように、実は魔法が使えることを隠している。
ガゼル・ターナ(Gazel Tana)
声 - 横手久美子
騎士見習い。15歳。8月13日生まれ。しし座。O型。身長は149cm。体重は45kg。貴族出身だが気取らない、元気なわんぱく少年。危機に陥った母を助けてくれたレオニスを尊敬し、彼から課された「剣の意味」を探し求めている。幼い少年キャラかと思わせる容貌だが、ディアーナとのエンディングにおいては男性らしく成長した騎士姿を披露した。水は苦手と言いながら、魚取りが得意。得体の知れない栄養ジュースを作って飲ませる。大勢の兄弟の真ん中。街中の交友関係は広く、あちこちでバイトをしている。なぜかキールに懐いており、休みの日に押しかけては部屋を荒らす、とキールから苦情が漏らされている。
イーリス・アヴニール(Jelis Aveniel)
声 - 千葉進歩
流しの吟遊詩人。22歳。1月24日生まれ。みずがめ座。血液型不明。身長は172cm。体重は59kg。シオンの悪友。女性と見紛う麗しい外見の持ち主だが、シビアな現実主義者。守銭奴との噂もある反面、権力者からの施しには強いアレルギー反応を示し、初登場時にディアーナで金貨を渡すと激烈な拒絶を受ける。セイリオスのイベントに深く関わる。バンシー(泣き霊)憑きの家系の末裔。「バンシーの笛」という家伝の品を持つ。祖父が任官運動も空しく無位のまま死んだため、貴族や権力者に強い反感を持っている。詮索するのもされるのも嫌いで、他人の事情に興味も持たない。
隠しキャラ
声 - 緑川光
ディアーナの正規ルートで結ばれるキャラクター。21歳。1月1日生まれ。やぎ座。A型。クライン王国の北側の隣国・ダリス王国の元皇太子。父の病死に伴い、叔父の謀略に巻き込まれて廃太子とされ、世間には死亡と公表される。実際には、暗殺者から逃れて潜伏し、盗賊の頭に身を落としながらも、簒奪王からの母国奪回を狙っていた。ディアーナと約束を交わした王子様本人。作中では明かされないが、2人の最初の邂逅が、ダリス王家の保養所(クライン国境に近い離宮の森)であることが、製作に携わったゆうきあずさの漫画で描かれている(ディアーナは5歳、セイリオスは13歳前後。マリーレインも存命で、クライン王家がそろって親善旅行に訪れていた模様。ただし、これがクライン・ダリス間の政略結婚を前提とした見合いであったかは、描かれていない)。
エルディーア(ノーチェ)
声 - 茂呂田かおる
シルフィス用の隠しキャラクター。年齢不明。シルフィスの正規ルートでは刃を交え、他2人のヒロインのルートでも、アイシュのイベントで顔を晒す。ワーランドの最大宗教エーベ(経典はエーベルージュ)の神殿の女司祭、というのは表の顔。その実体は「白鴉」と呼ばれる謎の女間者。戦闘と攻撃魔法に優れ、誰も姿を見たことは無いといわれる凄腕。ノーチェという本名は、本当に心を許した相手にしか明かされない(スペイン語でエルディーアは昼、ノーチェは夜の意味)。
声 - 有沢俊浩
ディアーナ用の隠しキャラクター。年齢不明。別名北の魔王。子供の頃から高い魔力を持ち、それを恐れた親から捨てられ、以来一人で生き延びてきたらしい。大国を魔法で一瞬のうちに滅ぼした、旱魃を起こした、等々、恐ろしい噂がまことしやかに囁かれている。だが、料理の仕方も知らず、しかも味音痴だったりと間の抜けた一面もある。彼のイベントだけが、全ストーリーの中で個々のキャラクターへの呼称が違うなど、違和感を伴う。
声 - 横手久美子
メイ用の隠しキャラクター。10歳。王都の東、遺跡の傍に建つクライン王国の名家・ブラウエン家の跡取り息子だが、早くに両親を亡くし、親戚に引き取られた。そこで自閉気味に陥っていたところを、元執事だった老人に引き取られ、一時家督を王家に返上し、隠棲しつつ育てられている少年。無口を通り越し、視線と頷きだけで会話をする。
余談
PC版からPS版への移植は根強いファンの声に後押しされた。現在でも再びの移植やリメイクを望む声はあるが、発売元がなくなってしまっており、原作者のゆうきあずさ氏も全ての版権を引き上げる・または公開許可を得るといったことは出来ていないため、状況は絶望的である。
現状プレイしたい場合はPC版かPS版のソフトとそれを動かせるハードを入手するしかないが、PC版に関しては一部イベント進行に関するバグが存在する。公式サイトでパッチを配布していたが、その公式サイトも無くなってしまっているため、プレイするならPS版がオススメである。
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エーベルージュ ファンタスティックフォーチュン2 乙女ゲーム