「恐怖を克服するためには、自らが恐怖になるしかない」
「信じる者や守るものがなくても、人間は戦い続ける事ができる。自分以外の全てを憎んでさえいれば」
「知ってるか?日本ではそれを「餓鬼の道」というんだ」
概要
フリッツ・S・エブナーとは「終戦のローレライ」の登場人物である。ドイツ軍親衛隊(SS)の士官。階級は少尉。同作のヒロインのパウラ・A・エブナーは四つ下の妹である。
映画版には未登場。
生い立ち
1924年、ドイツにて生をうける。
アーリア人の家系であったが、父方の祖母が日本人であったため、隔世遺伝という形で髪や瞳の色が黒く、妹とともに東洋人の顔立ちを持って生まれる。
ミドルネームの「S」は「シンヤ」という祖母がつけた日本名。
両親の死後、パウラと共にザクセン郊外の農村で祖母の手で育てられる。早く大人になろうと祖父の残した書物を読んで背伸びしていたり、日々激しくなる人種差別に対抗するため近所の子供と喧嘩することがままあった。この事が彼に逆境を耐え抜く反骨精神と喧嘩に負けない身体能力を培った。
祖母の教育のおかげで日本語は堪能。読み書きも片仮名なら長い手紙をかけるほど。
祖母が反ナチスのレジスタンスに納屋を貸していたところをゲシュタポに見つかり祖母は射殺。フリッツはパウラと共に人種改良施設「白い家」に送られる。
この時、フリッツは十六歳、パウラは十二歳であった。
黄色いSS
「白い家」にてパウラが水中感知能力に目覚めたあと、彼女を守り生き残るため、フリッツはSS士官に取り入り「白い家」の児童自治団長として活躍する。ナチスドイツを体現化したような振舞いに、「黄色いSS」とまで呼ばれる。
後にパウラがキール軍港に移された後、後見人兼「ローレライ・システムの整備担当官」として特例中の特例でSSに入隊。UF4の乗員になる。
UF4に乗ってからは規律が段々と乱れる風潮に後押しされたのか、髪を切らなくなる。
肩のあたりまで伸びた髪は「まるで女のよう」と伊507の乗員に陰口を叩かれた。
身体能力
かなり高い。
妹に危害を加えようとした米海軍情報部の工作員である土谷を一瞬で取り押さえたり、
「それが日本のやりかたかい?シンヤ」とからかってきたUF4の乗員を無力化したり、「リンドビュルム計画」からの脱走者を始末する手際は、生来の素質に加えSSで仕込まれた体術と容赦ない鉄の意志によって強化され、UF4のヤニングス艦長も認める程。
性格
無表情、極端に少ない口数と排他的な人物であったが、伊507の乗員と触れ合ううちに徐々に心を開いていく。
パウラに言わせれば「基本的に一直線な人柄」「一つのことに集中すると周りが見えなくなる」性格は子供の頃から変わらないらしい。
また、生い立ちのせいか妹であるパウラは誰よりも大切であり、守るべき存在である。
交流関係
ルツカ
「白い家」でのパウラとフリッツの友人。ルツカはフリッツに好意を抱いており、フリッツもルツカのことを少なからず思っていたらしい。
ルツカが生体解剖にかけられたときは、物置でパウラに抱きすくめられながら泣きじゃくった。
漫画版では、死の際、彼女の幻影が彼を迎えに来た。
田口徳太郎
フリッツいわく「なんて不細工な下士官」。
伊507搭乗直後は折り合いが悪かったが、「しつこいアメリカ人」戦にて共に射撃指揮をとってからは憎まれ口を叩きながらも仲は良くなっていった。
田口もフリッツを(ひいてはパウラを)なにかと気に掛けるようになり、最終戦では三つめの原爆を搭載したB-29をフリッツと共に撃墜。
フリッツは「シンヤ」という自分の日本名を告げ、田口の最後を射撃指揮所にて看取る。
折笠征人
最初は「典型的な日本人」として見下していたが、徐々に彼の愚直とも呼べる真っ直ぐな言葉や行動がフリッツの心を溶かしていく。
一方、折笠とパウラの仲が深まっていくのには面白くはないと感じていた。
が、「折笠が好きか?」という問いに対するパウラの答えを聞き、伊507と共にする覚悟を決め、最終的に彼にパウラを任せる。
ナーバル離脱前で折笠に操舵方法を教えたのが、パウラとの今生の別れとなった。
その後、パウラと征人に「なりたい自分になれ」とスピーカー越しに告げる。
原作や漫画版ではぼやかされていたが、幼いころからの心の支えであり、唯一の肉親である妹との別れは、想像を絶する哀しみであろう・・・・
別タグ・表記ゆれ
フリッツ これだけだと他の作品のキャラもヒットしてしまうので、「終戦のローレライ」と一緒に検索するのを勧める。