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パウラ・A・エブナー

ぱうらあつこえぶなー

パウラ・A・エブナーとは、福井晴敏氏の架空戦記小説、「終戦のローレライ」のキャラクターである。
目次 [非表示]

「恐怖を克服するためには恐怖になるしかない。私も同じ。自分の役目を果たすため兵器になる」

「逃げ出すことはいつだってできるもの。自分を消してしまうのは簡単。そうでしょ?」

この世界の戦をあまねく鎮めるために、私は魔女になる。全ての戦に終わりを告げる「終戦」のローレライに……。


概要編集

パウラ・A・エブナーとは、終戦のローレライの登場人物、ならびに本作のヒロインである。

実写映画版の配役は香椎由宇
パウラ

ミドルネームの「A」は「アツコ」。


生い立ち編集

1928年、ドイツにて生を受ける。アーリア人の家系であったが、祖母が日本人であった為に隔世遺伝という形で、兄のフリッツと共に黒い髪に鳶色の瞳の日本人の外見を受け継いでしまう。


1935年に発布されたニュールンベルク法のせいで、“劣等人種”として人種差別にさらされる生活を送る。軍人だった父は戦死。身体の弱かった母はパウラを産み落として間もなく死亡。フリッツとパウラはザクセン郊外の小さな農村で祖母に育てられる。この時、祖母から日本語の読み書きと話し方を教わった。箸も使える。

後に祖母が反ナチのレジスタンスに納屋を貸していたところを見つかり、祖母はゲシュタポ秘密警察)に射殺。フリッツ共々人種改良施設「白い家」に送られてしまう。

「白い家」で右手に血統がわかる刺青を掘られている。番号は111721-02。(1が純粋アーリア人、2がウェストファリア種の混ざったアーリア人、7が日本系東洋人を表す)


人物像編集

フリッツ曰く「頑固」「言い出したら聞かない性格」。凝り性な一面もある。

人種差別や「白い家」での実験にさらされた半生のせいか、登場時はフリッツ以外に心を許していなく、やや冷たい印象であったが、征人他伊507の皆と触れ合うたび、十七歳の少女らしい表情を見せるようになる。

強気で、リーバマン新薬の件ではフリッツを引っぱたいたり
「もし本当にそんな薬があったら、

そのことからへそを曲げ、征人をナーバルに入れなかったり……

感知能力が発現してから、ナーバルに閉じ込められ歌唱以外の一切の自由を奪われた生活を数年も過ごし、敵艦を撃沈した際には想像を絶する恐怖と絶望を感じ、何度も人事不省状態に陥りながらも発狂せず、

五島列島沖にナーバルと共に廃棄された際、食料も水も酸素もつきかけという過酷な状況で十日以上生きながらえ、「生きて虜囚の辱めを受けず」と敵の手に落ちるくらいなら死を選ぼうとしたり、精神は非常に強靭。

(フリッツやコルビオの存在があったとはいえ)その精神力の強さは征人や絹見からも「自分が引け目を感じる」程だと評される。


「能力」の発現編集

「白い家」に収容され一ヶ月が経ったとき、異変が起きる。

ある時、零れた水差しを婦長と同時に拾おうとした時、水に指先を触れたパウラは、同じく水に触れていた婦長の思考を感じてしまう。

それがきっかけで、パウラの水中感知能力が発覚。後の「リンドビュルム計画」の始まりであった。


「能力」の詳細編集

パウラの「千里眼能力」(ヘルゼリッシュ・バガーブン)には水(液体)の媒介が不可欠であり、感知できるのは水中の対象者の思考のみならず、物体の詳細な形状、位置把握が可能。


肉体と水の接触面積と感知領域は比例する。

つまり身体が水に深く浸かるほど、感知距離も広くなる。

実験では、半径百十三キロの感知限界距離を実証している。


パウラの肉体、精神状態にも感知能力は大きく左右される。

五島列島沖にナーバルが廃棄された際、折笠征人らの救援が来るまで十日以上過酷な状態を生き延びたときは、感知距離や濃度が極端に狭まっていた。

また、UF4時代、行動の自由が全くなく、ナーバルに閉じこめられた生活を強いられた時、気が狂いそうになったパウラは唄を歌うことで精神の均衡を保っていた。

※が、パウラの精神面の影響はナチスの医学者達は軽視していたようで、後に伊507の軍医長の時岡が、パウラの精神状態と能力の相関関係についての仮説を述べている。(時岡曰く、「リンドビュルム計画の医者共は藪ばかり」とのこと)


・先述の通り、パウラは水中内の物体の形状、位置把握のみならず、水を媒介にすれば、他者の思考すら感知できるので、敵艦を撃破した際、死者の痛みや怨念を光より速く全て感知してしまう。

フリッツや「リンドビュルム計画」のドクトル・リーバマンは精神衝撃波(ゼーレンブレッヒャー)と呼んでいる。

このため、パウラは気絶し、ローレライ・システムは途絶してしまう。しかも回復には最低でも一日、長くて三日かかる。なのでローレライ・システムを使えるのは一回の戦闘で一度切り、量産もできず、しかも回復に一日以上かかるという、兵器としては致命的な欠陥である。

パウラ・アツコ・エブナー


「能力」の発現原因編集

作中でははっきりと明言されてないが、時岡が仮説を述べている。

彼曰く「「白い家」での投薬実験がきっかけで、人が単細胞生物だった頃の「広大な海中で外敵から身を守り、結合するための同族を見つけるための特殊な感覚能力」が人間大に拡大し爆発的に蘇ってしまったのではないか?」ということらしい。

高須は「まるでドグラ・マグラだな」と述べている。

が、能力の発祥のメカニズムなどは最後まで不明である。


リーバマン新薬編集

「白い家」の責任者であり「リンドビュルム計画」の医学主任のドクトル・リーバマンが開発した三錠の薬。

脳の情感を司る部分を麻痺させ、システム稼働に必要な部分だけ残すというローレライ・システムの欠陥を補う薬。

しかしフリッツによれば、「あの薬は麻痺させるのではなく、破壊してしまう」らしく、使ったら最後、パウラは喋ることも歌うことも出来なくなる。要するにパウラを人ではなくしてしまう薬である。

征人他伊507の皆の嘆願や、フリッツの演技により紆余屈折あってこの薬はフリッツと絹見に海に廃棄される。


※ちなみにこれは想像にすぎないが、もし実際にこの薬をパウラに使用しても、前述のとおりパウラの精神面が感知野に与える影響を軽視していた「藪医者」リーバマンの作った薬なので、脳の情感を感じる部位だけを麻痺できたかは疑わしい。

物語後半になればわかるが、精神面の影響と感知能力は極めて密接な関係にあり、更にパウラの能力は完全に解明されていない状況なので、使えば脳の機能全てが破壊され、物体感知能力も失われていた可能性が非常に高い。


交友関係編集


フリッツ・S・エブナー編集

4つ年上の兄であるフリッツとは、その半生のせいか非常に仲がいい。フリッツに言わせればパウラは一蓮托生と呼べる唯一の存在。


「俺が一蓮托生と呼べるのは、この烙印を押された者……パウラ・エブナーだけだ」

「妹に手を出したら殺す」

「あいつが……折笠が好きか?」


pixivでは、フリッツと一緒の絵が多い。手首にはパウラと同じく刺青が彫られている。番号は111721-01。

兄妹黒の兄妹共に終戦を唄う「もし本当にそんな薬があったら、そんなこと言って送り出してくれたけど兄さんだって4歳しか違わない


折笠征人編集

パウラが初めて会った伊507の乗員。

「軍人らしく死んで見せろっていうならそうするよ……でも君みたいな女の子ひとり助けられないで、何が軍人だよ!」

「あんな棺桶みたいな潜航艇に乗って戦うだけが君の全てじゃないだろう?」

「なりたい自分になれよ……」


ナーバルが回収されたその後も、征人とは何回も交流がある。アイスクリームを差し入れしたり、男装させこっそり昼間の甲板に連れて行ったり、
終戦のローレライ

一緒にナーバルに乗ったり、痴話喧嘩したり……

物語後半ではローレライ整備補佐の肩書を与えられている。(要は、パウラの精神面のサポート役)

徐々にパウラの精神の支えになり、終盤の戦いでは征人の存在がローレライ・システムの重要な役割となる。

終章では彼と生き残り、結婚し所帯を持つ。

1945.8.15

ちなみに、物語内では征人はパウラに一目ぼれしたらしい記述があるが、パウラははっきりとした恋愛感情を持っていたとは書かれておらず、(フリッツに「折笠が好きか?」と聞かれたときも、「分からない」と答えている。)

どちらかといえば「ローレライと呼ばれるようになって初めて生きていてよかった」と思わせてくれた「恩人」として見ていたのだろう。

だからといって恋愛感情が全くないというわけではなく、終章では、「(征人に対しての)恋愛感情は後からついてきたもの」とパウラは語っている。

因みに、pixivでは2016年2月現在、彼とパウラが一緒に書かれている作品は極端に少ない。フリッツとは大違いだ……

終戦のローレライアニメ化しないかなあ


ルツカ編集

「生きてここをでるんだ。あんたの兄さんと一緒にね」

「生き延びるんだ。一分でも、一秒でも長くね」


人種改良施設「白い家」での友人。ブルネットの髪と瞳を持つポーランド出身の活発な十四歳の少女。

ナチスに対する反発心から、SSのサイドカーに分解するよう細工をしたり、真夜中に屋敷の地下でハーケンクロイツの旗を降ろし、明け方までパウラや仲間とパーティを開いたりと、「白い家」のガキ大将的存在だった。

パウラに「白い家」の北棟の「治療段階3」の子供達を見せ、「白い家」の本当の目的は「様々な人種の子供をアーリア人に改造する」ことだと知らせ、パウラに薬をなるべく飲まないよう指示。

それらの反動がばれたのか、「治療段階2」へとあげられてしまい、パウラと離され別棟に収容され、更に過激な「治療」を施される。

パウラの千里眼が発現したあと、所定の試験でペテンを働きパウラと再会。左足が麻痺し、髪が白髪交じりになっても生き延びるため、パウラに最終透視試験を乗り切るコツを教わる。

その甲斐あってか試験結果は八割を超え、「能力発現の兆候あり」と判断され「リンドビュルム計画」の新たな被検体として招かれたが、最後には生体解剖にかけられ無残な姿になり死亡。

フリッツに好意を抱いており、フリッツもまんざらでもなかった様子。漫画版ではフリッツの死に際、彼女の幻影が彼を迎えに来た。


コルビオ編集

「人間てのは、自分の足で歩かされているようで、実は誰かに歩かされている。肥溜めに頭を突っ込む羽目になっても、少しでもいい方に足をばたつかせているんだ。後悔している暇はないんだよ」

「あんたもしっかり生き抜けよ」


UF4時代に会った、シュルクーフの元艦長。故郷のフランスにパウラと同じくらいの年頃の娘がいる。パウラのことを何かと気にかけており、パウラも彼を父親のように思っていた。UF4時代の彼女の心の支えとなった一人。

が、最後はローレライ・システムの最終実験の有人標的にされ、シャンソンの歌に包まれ、老朽化したUボートを撃沈され死亡。


別名・表記ゆれ編集

パウラ

これだけだと他の作品のキャラもヒットしてしまうので、終戦のローレライと共に検索するといいかもしれない。


関連イラスト編集

太平洋の魔女パウラ・アツコ・エブナー歌姫

関連タグ編集

終戦のローレライ フリッツ・S・エブナー 伊507 ナーバル 折笠征人

ぴっちりスーツ(水密服)


その他編集

艦隊これくしょんなどとのコラボ絵が多い。

次のコラボはこれであってほしい海軍(艦これ提督)のお姉さん(パウラ・エブナーさん)

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