概要
フリーウェアとは、ある種のソフトウェアを示す概念である。一般に、使用やダウンロード等に対して対価として金銭あるいはそれに類するものを要求しないソフトウェアを指す。
できること
ただし、これらのソフトウェアを扱う上で許される範囲はそれぞれの利用規約によって異なる。代表的なものとして二次配布の許可・不許可等がある。
これらの条件は各ソフトウェア毎に差異が大きくかつ多様であり、ソフトウェアを公開する権利の保持者(多くの場合、製作者)によって提示された条件をきちんと確認し、それに従って利用する必要がある。
間違っても明文によって許可されたこと以外をするべきではない。これはマナー以前の問題であり、不法行為に該当する。このような問題を避け自身の身を守るためにも、法的に有効な使用条件が明文化されたものを、きちんと条件の範囲内で使用することが肝心である。
金銭をとらない理由
ソフトウェア公開者が手塩にかけて作ったそれの対価に金銭を要求しない理由として、想像が容易なものとして、
- ソフトウェアを多くの人々に使ってほしい
- そもそも支払い手段を用意するのが面倒くさい
- お金を取ると責任感が重くなる
- プログラマーとして有名になる宣伝なのでお金はどうでもいい
等があげられる。1,4は公開者の願いをかなえるもので、2,3は公開者のしたくないことを減ずるものである。
…ところでこの記事、ここまでで"フリー" "無料"の語を(ほとんど)用いていない。お気づきだろうか。
その理由として、お金を取らない=対価がない・自由(Freedom)にできる、とは限らないということがある。そのことについて少し記述する。
本当に"対価がない"のか
前段において普及のために使用料を設定しないことがあると記したが、これはソフトウェア製作者・公開者の良心によるものだけではない。ソフトウェアによるさまざまな収益形態の中にはとにかく普及率を上げることが利益につながるものがある。例を挙げると、
- データ形式や操作方法による有料ソフトウェアへの囲い込みによって間接的に利益を生む(例:体験版)
- 表示数や被クリック数などがそのまま収益につながる広告で利益を得る
これらは明示的なものでありまだ良いほうである。
しかし、中には
- 前項にも関連して、行動履歴を含むユーザーの個人情報を売却して利益を得る
- そもそも裏で悪意のあるプログラムを仕込みマルウェアとして利益を得る)
などがある。
また、これらに加えてクラウド機能を統合したソフトウェアにおいては、サービス提供者のサーバーで画像を扱うことが往々にしてあるため、
- クラウドサービスの利用規約に基づき、ユーザーの製作物の知的財産権(著作権など)の使用権を得る
ということもある。使用するにあたり、お金の代わりに支払うものがあるかもしれないと、一度疑ってみるといいかもしれない。ある英語の諺を紹介し、この話の終いとしよう。
If you’re not paying for it; you are the product.
目の前の物が無料であるとき、商品はあなた自身である。
見分け方
2000年代以前のフリーウェアについては、個人情報を利益につなげる仕組みが確立していなかったため、プログラマーの善意で作られたものが多い。しかし、海外企業製のものを中心にスパイウェアやアドウェア入りのものが一部存在している。
2010年代以降に登場したソフトウェアついては、玉石混交のカオスな世界である。2000年代からの伝統があるもの、なるべく作り手の顔が見えるソフトウェアが安全であるが、一概には言えない。特にモバイルOSの世界はカオスなことになっている。
逆に、ライバルソフトウェアを評判を下げるために「危険」「ウイルス」等のサジェスト汚染も活発化しており見極めはさらに難しくなっている。
とはいえ、ソフトウェアの権利に関する運動が大掛かりに行われなかった日本においては、良心的なソフトウェア製作者の方々によって作られ、メンテナンスされる質のいいフリーウェアが多く存在する。検索サイトと相談して快適なデジタルライフを送ろう。
別名・表記ゆれ
…前述のように、この語の表記ゆれとして扱われることが多い。しかし後者は全く別の源流を持った言葉であり、別の概念として扱われることが多々あるため、混同するべきではない。詳細はフリーソフトの項目に譲るが、端的に言うとフリーウェアは"無料(フリー)ウェア"であり、フリーソフトウェアは"自由(フリー)ソフトウェア"である。
関連タグ
フリーゲーム…その多くがフリーウェアである。
フリー…"無料"の意味をもつ英単語。
関連リンク
"フリーウェア"の語に対するフリーソフトウェア財団(FSF)の見解