概要
『プリンセス・トヨトミ』は、万城目学による小説。
400年にわたりあるものを守り続けてきた大阪の男たちと、それを知らずに大阪へやってきた会計検査院との攻防を軸に、親子の絆を描いたパラレルワールド的な作品。
一説には、大阪都構想をモデルにしているとも言われている。
2011年に映画化。主演は堤真一。脚本は相沢友子が担当。映画化にあたって登場人物の性別等一部設定が変更されている。
登場人物
- 松平元(演:堤真一)
会計検査院第六局副長。39歳。国家公務員1種試験をトップ合格しながら、「検査がしたい」との理由で名だたる省庁の誘いを断って検査院に入った。卓越した調査能力と妥協を許さぬ追及の厳しさから「鬼の松平」と恐れられる。大きな仕事の前には全身の関節を鳴らす癖がある。アイスクリームが好物で、事あるごとに食べる。両親は大阪出身で、すでに他界した元官僚の父親とは長い間確執があった。幼少時に2年半ほど森之宮に住んでいたことがあり、その時に大阪城の異様な光景を目の当たりにしている。
- 鳥居忠
会計検査院第六局所属。32歳。小太りで童顔。調査員らしからぬおっちょこちょいな性格で、検査院に入って10年経ってもミスを連発している。しかし、インクの臭いが苦手という体質から書類偽造を見極めたり、予期せず勘が鋭く働いたりすることから、本人の知らないところで「ミラクル鳥居」と呼ばれ、その能力を松平に買われている。恋人がおらず、見合いもうまくいっていないことが検査院内で噂になっており、下の名前(ファーストネーム)で呼ばれるのは実の母親だけだと言われている。原作では「ただし」の漢字表記は明らかになっていないが、映画のパンフレットで「忠」と表記されている。
名前の由来は、家康の側近・鳥居元忠。
実写映画では性別が男性から女性に変更され、それに伴い名前も「忠子」(演:綾瀬はるか)に変更されている。
- 旭ゲーンズブール
会計検査院第六局所属。29歳。ハーバード大学卒業。国家公務員1種試験をトップ合格し、内閣法制局への出向経験を持つ才女。日本人とフランス人のハーフで、すれ違った男性のほとんどが振り返る程の美貌の持ち主。ただしフランス語は話せず、代わりに英語が堪能で、なぜか大阪弁も話せる。ファーストネームで呼ばれることを嫌うなど、鳥居にはやや冷めた態度を取っている。会計検査院に来たのにはある目的があった。
秀吉の妹で家康の正室だった旭姫に由来。
実写映画では性別が女性から男性(演:岡田将生)に変更されており、鳥居と逆転している。
- 真田大輔(演:森永悠希)
中学二年生。小学生の頃から女性になることに憧れ、男物の服装でいることに抵抗を感じていた(ただし男性を恋愛対象として見ているわけではない)。セーラー服で登校したことをきっかけにいじめの対象になるが、頑なに男子制服を着ることを拒む。しかし、運動が苦手な肥満体質であるためセーラー服姿は似合わない。
名前の由来は真田幸村の長男で、大阪城内で秀頼と一緒に自害したとされる大助。
- 橋場茶子(演:沢木ルカ)
中学二年生。陸上部員。2歳の時に交通事故で両親を亡くし、自身を引き取った叔母(宗右衛門町でスナックを経営)と大輔の家族によって育てられた。男勝りな性格で、小さい頃からよくいじめられる大輔をいつも守っていた。大輔からはセーラー姿で登校することを最初に打ち明けられている。
名前の由来は、秀吉の苗字「羽柴」と、秀頼の生母・淀殿の本名「茶々」。
- 真田幸一(演:中井貴一)
大輔の父。お好み焼き屋「太閤」主人。腕は確かで店の評判も良いが、不器用かつ頑固な性格で、雑誌のインタビューを断り続けている。タテジマの球団ではなく広島東洋カープのファンで、特に前田智徳が好き。茶子の実母とは幼馴染だった。実は彼こそが現在の大阪国総理大臣である。
大坂冬の陣で徳川軍に大打撃を与え、夏の陣では家康本陣に決死の突貫攻撃を仕掛けて「日本一の兵」と賞された豊臣軍主力・真田幸村に由来。