概要
「ムーランティ(Meranti)」とは、2016年の台風14号のことである。この名称を提案した国はマレーシアであり、樹木の名前(ラワン・メランチ・メランティ・セラヤ)に由来している。
台風14号(ムーランティ)は、2016年9月10日にフィリピンの東で発生した。台風は9月13日には「中心気圧890hPa・最大風速60m/s」という猛烈な勢力(スーパー台風)となった。中心気圧が900hPaを下回る(800hPa台になる)ような超猛烈な台風は滅多に出現することがなく、2000年以降では、この台風以外では2010年の台風13号・メーギー(885hPa)、2013年の台風30号・ハイエン(895hPa)および2021年の台風2号・スリゲ(895hPa)のみとなっている。
台風14号はその後、強い勢力で台湾や中国などを襲い、大きな被害をもたらして多数の犠牲者を出した。中国では、福建省にあった「月」を題材とした巨大な風船のオブジェが、台風による強風に煽られて街中を転がる様子が撮影され、異様な光景として話題となった。
名前の引退
台風の国際名には「引退」という慣例がある。台風の名前は原則として繰り返し使用されるものであるが、顕著な災害をもたらした台風などについては、以後は同じ名前を使用しないように別の名前に変更されることがあり、これが引退(永久欠番)である。大災害をもたらした台風は将来も言及されることが予想されるため、別の台風が同じ名前を付けられてしまうことによって混同が生じることを避けなければならないからである。例えば、2013年にフィリピンに甚大な被害を出した台風30号の名前「ハイエン」は、2013年をもって引退し、「バイルー」に置き換えられた。2016年の台風14号も台湾と中国に大きな被害をもたらしたため、「ムーランティ」という名前は引退し「ニヤトー」という名前に変更された。