概要
台風につけられる名前の一つ。命名国はフィリピンで、意味は「鋭さ」。ここでは規模の大きかったものを特筆する。
2011年の台風12号
大型台風。四国に上陸し、中国地方へと真っ直ぐ北上して抜けていった。
動きが遅かったために雨台風となり、奈良県で記録的豪雨を観測。紀伊半島を中心に土砂崩れが発生。離れたところでは埼玉県でも土砂崩れが起きた。
和歌山県の世界遺産「熊野那智大社」では裏山が崩れ、本殿の一部が土砂に埋まった他、「那智四十八滝」のうち「文覚の滝」に巨岩が崩落して滝自体が消滅した(参考リンク)。
和歌山県、奈良県、三重県に甚大な被害を出し、死者83人、行方不明者15人(計98人)という平成最悪クラスの死者を出した。負傷者だけでも重症・軽症合わせて113人を数えている。
なお、2004年の台風23号「トカゲ」もこれに並ぶ死者・行方不明者計98人を出している(負傷者は500人を超えているが…)。
この豪雨災害は「紀伊半島豪雨」または「紀伊半島大水害」と呼ばれている。
2022年の台風15号
2022年9月23日に発生した台風であり、紀伊半島南の海上から静岡県南の海上へ進路をとった。
強風域の最大直径460km。暴風域を持たず、わずか一日で消滅した短命台風(参考:デジタル台風)だが、静岡県で線状降水帯を発生させ、県中西部を中心に猛烈な雨を降らせた。
道路の冠水や家屋の浸水、土砂崩れを引き起こし、死傷者3人、行方不明者1人を出した。
また、24日未明から静岡市を中心に計11万戸の大規模な停電が発生した(参考ニュース)。
橋の崩落(参考ニュース)や断水が発生した地区もある。
備考
「タラス」と命名された2011年の台風12号と2022年の台風15号は、どちらも典型的な「雨台風」であり、台風そのものの勢力はかなり弱いものであったが、大量の雨を降らせた。風による被害はほとんどなかった一方で、雨による被害だけが甚大だったのである。
このような雨台風として著名なものとしては、他に1947年のカスリーン台風や1958年の狩野川台風などをあげることができる。