世界で最も有名な長方形の地図。1659年にベルギー人のメルカトルが発案したことから、その名前がつけられた。方位と角度が正確なことから海図として、船乗りたちに重宝された。
今はむしろ、見やすいという理由でいろいろな地図に採用されているが、面積が正確ではない(ひずみが発生する)という大きな問題を持っている。
メルカトル図法による錯覚
前述したように、面積は正確ではない(そのためにモルワイデ図法、グード図法など他の図法が色々と編み出された)。球体を四角形に引き伸ばしたら、当然面積の歪は発生する(ミカンの皮を想像してもらったらいいだろう)。そして緯度は赤道近くほど小さくなり、極地方ほど大きくなる。また経度も中心から遠くなればなるほど、大きく見えるという錯覚が起きる。
それで日本人にとってはグリーンランドが妙に大きな島として印象に残っているのである。また、アフリカ大陸も経度の関係で巨大に見えている。対するオーストラリア大陸も実際は非常に大きな大陸なのだが、メルカトル図法によって相対的に小さく見えている。だが実際はアメリカ合衆国の大陸部分(アラスカ、ハワイを除いた面積)とオーストラリア大陸の面積はほぼ同じぐらいである。また、大西洋も地図の両端に分断されてしまっているため、実際の広さが分かりづらくなっている。
一方、アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国などの世界地図は中心にロンドンが来ている。したがってアジア(中露)が妙に大きな国に見えたり、また日本が極東の島国に見えたりしているのもそのせいである。
Googleが採用
前述したように中心部の面積は比較的正確でひずみが少ない。なので、GoogleマップやGoogle Earthはこのメルカトル図法を採用した(場所を移動しても、すぐに再計算している)ことで、改めてこのメルカトル図法の便利さが見直されている。