ユナイテッド・ステーツ
ゆないてっどすていつ
ユナイテッド・ステーツ(United States【juːnaɪtɪd steɪt͡s】)は、アメリカ海軍が計画していた大型攻撃空母。艦番号はCVA-58。1番艦が起工されたが、のちに建造は中止され、計画も白紙となった。艦名は『合衆国』を意味する名詞を由来とし、まさに米海軍を代表する艦となるはずだった。
アメリカ海軍は、第二次大戦後のジェット機の発達と、戦略爆撃至上主義の台頭を受けて、従来の空母よりも航空運用能力に優れた空母の必要性を感じていた。核爆弾を搭載可能な大型爆撃機を運用することで、空軍に対抗するべく、満載排水量8万tを超える巨大空母の計画を立ち上げた。
この計画は認可され、1949年4月18日起工されるも、戦略爆撃機を運用する空軍の反対に押されて、同年4月23日に建造が中止。わずか5日の生涯を終え、すぐに解体された。しかしながら、本艦の設計はフォレスタル級の参考にされ、のちの発達に繋がっていくことになる。
大型のカタパルト4基と、広大な飛行甲板を備え、45tまでの大型機運用を視野に入れていた。アクシャルデッキ(一本甲板)であるが、カタパルトは両舷に2基ずつ装備されており、特に艦中央部に置かれたものは外側に向かうように配置され、着艦甲板と重ならないように工夫していたものと思われる。作業の邪魔をしないよう、艦橋構造物は持たない、完全な平甲板型であったとされている。基準排水量は65,000tとも70,000tとも言われ、全長はニミッツ級なみの331mだった。機関はボイラーを8基搭載し、4基の蒸気タービンで280,000馬力を発揮する。最高速力は33ノットで、乗員は航空要員合わせ6,000名近くに達する。
しかし、これほどの大型空母であったため、当時の造船技術では建造が困難だったとされ、それが建造中止の一因になった可能性もある。(エセックス級の2倍以上の排水量、ミッドウェイと比べてもほぼ5割増しである。)
ユナイテッド・ステーツという名は、いままで何度か艦名候補に挙がっているが、その度にお蔵入りとなることが多かった。このため、米海軍最初期のフリゲートを除いて、今までこの名を冠して就役した軍艦が存在していない。国名という点では既に空母「アメリカ」(退役)や強襲揚陸艦「アメリカ」(現役)などが存在しており、またこれらの艦の命名基準や寿命を考慮すると、しばらくはユナイテッド・ステーツが登場することはないかもしれない。
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