概要
「バビル2世」に登場する、主人公・山野浩一ことバビル2世のライバル「ヨミ」。
彼は大規模の組織を有し、常人の部下の他、超能力者、特殊訓練を積んだ特殊隊員を部下に持つ。
また、数多くの基地に兵器を持ち、ロボットも所有している。
第一部
(カッコ内は登場巻)
ゴーリキ(1巻)
ヒマラヤ山中の神殿にて。バビル2世に部下を殺されたヨミが激怒し、差し向けた岩の巨人。ヨミと部下たちが祈り、崖を崩してその姿を現した。ヨミいわく「わが守り神」。
ポセイドンに匹敵する巨体で、岩石が積み木のように積み重なって体を構成させている。
当初はロデムと戦い、怪力で圧倒したが、崖下に落とさればらばらに。しかしバラバラに分解した状態で自分の身体を飛ばして飛行。再び組み合わさり再生する(同作者の「鉄人28号」登場のロボット、ギャロンとほぼ同じギミックである)。
バビル2世が呼んだロプロスにより、雪山の斜面に弾丸を打ち込まれ、発生した雪崩に巻き込まれて生き埋めになった。
生物には見えないが、ロデムが「生きているエネルギーを感じる」と言っていたので、何らかの生物と思われる。
四本腕の改造人間の死体(仮)(1巻)
ヒマラヤ山中のヨミの神殿、その地下の手術室らしき場所で発見された、四本腕の異様な人間の死体。
ゴーリキが敗れた後、ヨミは神殿そのものを自爆し逃亡。その直後、ロプロスとともに神殿に引き返してきたバビル2世が発見した。
これをロプロスに記憶させたバビル2世は、バベルの塔に引き返し塔のコンピューターに解析させる。
その結果、
「(基地地下の科学施設から)ヨミは改造人間を研究していたと思われる」
「(四本腕の死体には)二つの人間の身体からの移植の痕跡が見られ、その技術はすばらしく、ヨミが改造人間を作り出す可能性は極めて高い」
という推測を述べていた。
劇中では、この四本腕の死体はただ発見されただけで、以後も似た存在は登場しなかった。
この死体の近くには、「半魚人を思わせる、鱗とヒレのある人間の腕」もあった。そのため、ヨミは当初は、異形の外観を持つ改造人間も戦力にしようと考えていたと思われる。
改造人間(仮)(1巻、2巻)
都内の改造人間工場にて、警備および各種戦闘、人体パーツの輸送任務などを受け持っている。
顔は傷痕などで、痛々しくも異様な面容に。
ビル街を飛び回るほどの体術を有し、常人では相手にならないほどの戦闘力を有す。しかし、バビル2世には及ばない。
死んだら死体は即座に分解し、証拠を残さない。
複数名が銃で、まだ覚醒したてのバビル2世を銃撃し重傷を負わせ、さらに犬を連れて追跡した。
BR三号(2巻)
ヨミが、部下の進言を受けて、塔の直接攻撃のために投入した地雷ロボット兵器。
R国のソドム大佐がヨミの命令を受け、塔の付近に大量に投下した。
戦車の下半分に、うずくまった人の上半身のようなロボット体とで構成。優れた探知装置を有し、探知してクローラーで移動。体当たりして自爆する。
最高速度は時速40km。それ以上のスピードを有する目標には、上半身がミサイルになって発射。確実に目標を逃がさず爆破する。分析したバベルの塔のメインコンピューターいわく、
「歩く地雷のようなもので、地上戦・戦車戦などでその力を発揮すると思われます」
優れた探知能力をもつが、それを逆手にとられ……。
鉄仮面(仮)(2巻)
等身大のロボット。トレンチコートに身を包み、鉄の仮面のような顔をしている。
拳銃も通用しない装甲を有するが、バビル2世の透視により、目が弱点と見抜かれ、2体が破壊される。
ある程度の自律行動が可能で、会話も可能。
日本国内の国家保安局長、および副局長が、バビル2世と面会する場に数体が出現し、3人を拉致してしまう。
第二部
チベットの霊媒者(本名不明)(3巻、4巻)
長衣に身を包んだ、怪しげな風体の老人。「かわいい子」と呼ぶ、煙状の謎の生物を呼び出し操る。
チベットで4歳の頃に、何か口走った時に「かわいい子」を偶然呼び出し、それ以来「友達」に。それ以後、呼び声で色々な形になった「かわいい子」を呼び出せるようになる。ヨミにこの力を認められ、仲間に入った。
かわいい子(3巻、4巻)
チベットの霊媒者が呼び出す、正体不明の存在。霊媒者の命令のみに従う。
霊媒者本人ですら「黄泉の国からやって来た死霊なのか、四次元の生物なのか、それはわしも知らない。しかし、わしの呼び声で現れ、わしの希望することをやってくれることはまちがいない」ことしか知らない。
煙の塊のような姿をしており、物理的な攻撃は一切通用しない。一度だけ「翼の生えた悪魔」のような姿になり、自衛隊、北海道方面司令官の山部の死体を運び出した。
服を着て、人間を装い移動。目標の人間を煙の身体で包み込み、心臓を麻痺させて殺害する。
バビル2世がエネルギー衝撃波で攻撃しても、少し怯ませただけで終わっていた。精神面でも、人間らしい思考は有していない様子だが、バビル2世はテレパシーで「おそろしい害意」を感じ取っていた。
ただし、爆発など激しい光を嫌う(嫌うだけで、死にはしない)。そのため、以前に爆発から逃れ、老人の元から数年離れていた事がある。
また、煙であるため、強烈な風などにも弱い。
サイボーグ七号(4巻)
黒マントと黒衣に身を包んだ、長髪の男。
パンチ一発でバビル2世を昏倒させるパワーを持つ。その長髪を伸ばして敵に巻き付け、高圧電流を放って焼き殺す事が出来る。
さらに驚異的なスピードと怪力を有し、バビル2世を翻弄。マントの下からの強烈な光で視力を奪った。
ロプロスと対戦するも、地面に叩き付けて倒してしまう。
海岸に誘き出され、ポセイドンと対戦。やはりそのスピードとパワーで翻弄し、足を取って転倒させるが、念入りに握りつぶされて破壊された。
その戦いぶりから、バビル2世は、
「まるで恐ろしさというものを知らないように作られているみたいだ」
バビル2世が立ち去った後、残骸は回収され、ヨミはその記録映像からバビル2世の弱点を確信する。
バベルの塔へ送りこまれた超能力者たち
戦力の逐次投入により、バビル2世に超能力を使わせる作戦に参加した超能力者たち。
バベルの塔へと送り込まれ、バビル2世と直接対決した。
カルロス(4巻)
呼吸を3時間止めていられる。砂の蟻地獄に引きずり込み、バビル2世を心停止させた。
ロビンソン、陳(4巻)
二人一組で、体術で攻撃。ロビンソンに隠れた陳が、毒針を仕込んだロープを打ち込んで攻撃する。
毒に昏倒するバビル2世を追い、陳を倒されたロビンソンは塔内に侵入するが……。
カルダン、ジミィ、ダック(4巻、5巻)
ロビンソンに続き、バランを連れて塔内に侵入する。
バランにより壁の落下を支え、罠をかわしその先に進むが……。
バラン(4巻、5巻)
人型のロボット。身長は約3m。外観はほぼ人間と同じだが、会話は不可能。終始無言で、ヨミおよび部下の命令に従っていた。
長い鎖のとげ付き鉄球を武器として持ち、それを用いてリーチのある攻撃をする。単体でも怪力を有し、バベルの塔内のレーザーも通用しない頑丈さを有する。このパワーと頑丈さで、通路を塞ぐ壁を支え、塔の攻略に一役買った。
また、情報収集・分析機能も優れており、塔内のトラップのデータをヒマラヤのヨミの基地へと送信していた。
一体のみだが、数々の塔内のトラップを破壊して塔内を進撃。横になっていたバビル2世を発見し、トゲ鉄球を振るうが……。
ヒマラヤ奥地の基地内には、バランが大量生産されて配備。内部に侵入したバビル2世を集団で襲い、苦戦させた。
ヒマラヤ奥地、巨塔の基地内の部下
ヒマラヤの奥に立つヨミの基地。内部には数多くの超能力者が控えている。
シムレ(5巻)
チベット出身のテレパス。塔内の侵入者を探索するため、部屋にこもっていた。戦闘力は皆無で、バビル2世に瞬殺される。バビル2世はその顔そっくりに変身し、シムレに成りすまして基地の深部まで進んだ。
ダンカン(5巻)
シムレの友人の超能力者。シムレを怪しんだヨミに命じられ、バビル2世が変身したシムレとともに透視廊下を歩く。
狼男のような、半獣人に変身し、牙と獣の動きとで攻撃する超能力を持つ。
電気人間(5巻)
ワイヤーを持ち、それをバビル2世に巻き付けて、体内で発生させた高圧電流を流した。
毒蛾男(5巻)
大量の毒蛾とともに登場。毒蛾の鱗粉は「目に入れば目は潰れ、口に入れば口はしびれ、吸い込めば全身がしびれ身動きが取れなくなる」。
登場してすぐに、バビル2世の発火能力で、毒蛾ごと焼き殺された。
火炎人間(6巻)
発火能力を有する。内心はバビル2世が恐ろしく、指が震えている事を指摘された。
刃男(6巻)
両手に短剣、両手足と胸などにトゲを仕込んでおり、体を丸めて超高速で回転しつつ、バビル2世に体当たりする。
本人曰く「ハリネズミのようになっておまえ(バビル2世)におそいかかる。俺のからだにふれたら、そこはキズだらけだ。おまえにこんなまねができるか」。
第三部
宇宙ビールス(6~11巻)
知性を持つ、宇宙から来た微生物。生物に寄生して成長し、最終的にはその生物を支配してしまう。そしてその際に、異常なまでの力を宿主に与え、自らの身を守る。
既に過去にも、隕石に付いて地球に降下しては、増殖していた。しかし地球上のある植物を弱点とするため、地球全体に広がらずに済んでいる。
この宇宙ビールスに侵された存在を見て、「吸血鬼ドラキュラ」や「洞穴の王女アン」など、様々な民話や伝説が残った。
バビル2世、およびバベルの塔のコンピューターは、バビル1世が宇宙探検中に得たデータより、この宇宙ビールスの特徴および正体を看破した。
このビールスに感染した人間は、まずは血を吐き、続き昏倒。弱い個体はこのまま死んでしまうが、3分の1の割合で生き延び、超能力を得た「ビールス人間」としてよみがえる。
エネルギー衝撃波の他、発火能力、催眠能力なども劇中では披露。複数のビールス人間が同じ超能力を、手をつないで用いれば、バビル2世やヨミに匹敵するほどの強力な威力を発揮する。
肉体の耐久性と治癒能力も強化。バベルの塔内で対人レーザーを何発も受けても死亡せず、逆にレーザーを引きちぎり破壊。バビル2世のエネルギー衝撃波を受けても、無力化せず耐えていた。そのため、バビル2世はエネルギー衝撃波で戦闘する際、以前よりも強力にエネルギーを放たねばならなくなった。
また、知性や技能面にも影響を与えるようで、機械の知識がない者たちでも、壊したラジオを修理できるようになる。この能力を伸ばすと、複雑な機械装置の修理も可能に。
更に、ビールス人間はビールスのキャリアになるため、居住地を歩き回るだけで周囲の人間に感染し、更なるビールス人間が増える事になる。F市など市街地を歩き回り、市民の多くを感染させ死亡、もしくはビールス人間化させた(ビールスで復活したヨミも、その点は理解しており、自分の周囲に部下を近づけず、感染させないように気を配っていた)。
宇宙ビールスは人間以外にも、動物にも寄生する。劇中では犬の他、牛にも寄生し、バビル2世に襲い掛かった。
ヒマラヤの、巨塔の基地が壊滅した後。日本国内の某山中の村に落下した、アメリカの宇宙衛星「731号」に付着していた。
そこから、村の男や犬に感染。調査に来た駐屯アメリカ軍も、感染して全員が死亡した。
ここからバビル2世が、ビールス人間の男と戦い、塔に連れ帰る。が、そこから男とビールスにヨミの事を知られ、ヨミ復活のきっかけを作ってしまう(さらには、バビル2世も感染し、血を吐いてしまった。すぐにコンピューターにより治療が施されたが)。
復活したヨミは、ビールス犬の群れと対峙するが、戦い倒してしまう。それを宇宙ビールス自身から責められるも、
「地球では人間は万物の霊長、すなわち、人間が一番優れているというのだ」
「その人間が、畜生と手を組めるか。わしが世界に号令する時、犬に大臣でもやらせるつもりか」
「お断りだね!そんな命令には、死んでも従わん。人間としての誇りは捨てんぞ」
「今後はそれだけよく心得て、手を貸すんだな」
以後、ビールスはヨミに口出ししなくなる。
ただしヨミも、ビールス動物の戦力的な有用性は認めたのか、後になってバビル2世に差し向けている。
監視鳥(7巻、10巻)
V号を製造している工場基地周辺を監視する、本物そっくりのロボット鳥。
普通の鳥に見せかけ、偵察する事を目的にしている。簡単には壊れず、コウモリのように超音波を発して障害物を回避するため、ぶつかる事もない。
基地のみならず、V号にも内蔵している。
RRB(7巻)
基地から発射される調査ロボット。ロケットのように発射され、調査地点上空でパラシュートを開き着地。触手を伸ばして周囲を調査し解析、基地に報告する。
RRFロボット(7巻)
同じく、同基地の防衛用ロボット。RRB同様に発射され、着地地点から移動する。等身大のロボットで、背中に飛行用ロケット、両腕に攻撃用の光線砲を持つ。
優れた感知機能を有し、人体から出る炭酸ガス、アンモニア、体温を感知する事が可能。大量に投入され、ロデムに隠れて基地に迫ろうとするバビル2世を発見し攻撃。周囲から囲んで追い詰めた。
V号(8~10巻)
※イラストの画面奥。
ヨミが「ロプロス計画」のために製造した、ヨミの組織にとって決定版ともいうべき「巨大戦闘爆撃ロボット」。
ポセイドンのレーザーやロプロスの超音波も効かない強固なボディに、体当たりでポセイドンすら弾き飛ばすパワーを有する。ヨミもこれには「赤子とゾウが遊んでいるようだ」と満足げな様子を見せている程である。
ロプロスの外装である皮を焼失させるほどの強力な目からの超高熱線、腹部には大量の爆弾を搭載している。
内部にはヨミの部下やビールス人間たちが大量に乗り込んでおり、操縦は基本的にヨミの部下、またはヨミ自身が行う。ロプロスの超音波への防護は不完全なようで、機体そのものの破壊は免れたが乗組員たちが先に超音波で昏倒してしまった。
遠目にはロプロスに似たシルエットをしている。バベルの塔の周辺の国々を襲撃し、その報復攻撃をバビル2世になすりつけ動きを封じる「ロプロス計画」を実行。
この攻撃を受けたサルダン国やバラビア共和国の首都は完全に破壊され、ヨミの目論見通りに動いた各国の軍がバベルの塔やロプロスに攻撃する事となった。
バラビア共和国軍がバベルの塔を爆撃中に、戻って来たバビル2世と再戦。爆弾投下口に塔からのレーザー砲の精密射撃を受け格納していた爆弾が誘爆。その後、バラビア軍爆撃機部隊を殲滅し帰投した。
それから数日後。日本の地方都市、F市の異変の調査に赴いた、国家保安局の伊賀野に同行したバビル2世の前に出現。F市の隣町で、大量のビールス人間とともにバビル2世を襲った。
バビル2世がロデムを内部に侵入させ、内部の機械が破壊され墜落してしまう。だがヨミはこれを好機と利用し、バビル2世をV号内に閉じ込めポセイドンの攻撃をV号誘導し、爆弾を誘爆させて葬ろうとした。
- 漫画『ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日』ではV号の同型機「マレーネ・ディートリッヒ」、「マリア・カラス」、「グレタ・ガルボ」が登場。国際警察連合やブラックオックス複数機とともに草間大作包囲作戦に参加。機首から放つ高熱放電を使用している。
サントス(11巻)
F市地下秘密基地防衛用のロボット。巨大な一つ目を持ち、そこから破壊光線を発射して攻撃する、歩行砲台のような役割を持つ。光線の威力は戦車を一撃で破壊するほど強力。また、バズーカの直撃もものともしない。
大量に出現し、戦車やヘリを破壊して、自衛隊を全滅しようとした。
自衛隊を逃がすため、バビル2世が単体で攻撃し、体術やテレキネシスで破壊する。
PH三〇四(11巻)
F市基地に用意していた、ヨミの亡骸を納めるためのロケット。
三本足で歩行し、一騎打ちに敗れたヨミの亡骸を納め、そのまま発進。空の彼方へと消えていった。
攻撃しようとした自衛隊を止め、バビル2世は、
「ヨミは自分がやぶれる時、そのからだを人目にさらすのがいやで、こんな機械を作っていたんでしょう」
「きっとヨミは、いつまでも神秘の人でありたかったんでしょう」
と、ライバルの心情をおもんばかる発言をしていた。
外伝に登場したロボット(11巻巻末)
バベルの塔に偶然入り込み、その中心部に辿り着いてしまった旅行客がいた。
彼に塔内を案内させた時、その道中をガードするため、ヨミの部下は二体のロボットを同行させる。
耳にアンテナ、両腕に強力なバルカン砲を装備し、壁が降りて閉じ込められても吹き飛ばすことができる。
ヨミは人間の部下とこのロボットとを同行させ、男にバベルの塔内に入り込ませ、中心部まで案内させようとした。
しかし、修復していた塔の防衛装置により、部下は全員レーザーにより殺され、ロボットも落とし穴に落とされ、そのまま挟まれ潰されてしまった。
一人逃げ帰った男も、ヨミにより……。