概要
アニメ『さらざんまい』に登場する、「新星玲央」(にいぼし れお)×「阿久津真武」(あくつ まぶ)のカップリング。公式認定のカップリングでもあり、公式の呼称でもある。
金髪・褐色肌でギザ歯のほうがレオ、黒髪・色白でメガネのほうがマブ。ちなみに身長はレオのほうが5cmほど高い。目の色は二人とも同じ緑色。
容姿以外にも、レオはイメージカラーが白・チャラそうだけど神経質・字が上手い・表情豊か、マブはイメージカラーが黒・真面目だけど天然・字が下手・ポーカーフェイス(ただし、表面上そう見えるという設定)など対になる要素が多いが、好物が同じなどの共通点もある。
アニメ放送開始前からスタッフ陣からは「レオマブ」という呼称で呼ばれており、監督の幾原氏もレオマブの順番を間違えると「レオマブです」と訂正を入れてくるなどのエピソードもある。
二人は同じ交番に勤務する警官で、公式でも相棒同士と紹介されている。
ほかにも同棲していたり、上記の動画のように二人で歌いながら妖しいダンス(そのダンスの中のとあるシーンは小説版では官能的なメタファーのように書かれている)を踊ったり、キャラデザイナーの石川佳代子氏がタンゴを踊る二人のカウントダウンイラストを描かれていたり、期間限定ながら共同の公式ツイッターアカウントを持っていたり、のちにそのTwitterのログをまとめた本も出版されたり、二人の仲睦まじいイラストが各アニメ雑誌に描き下ろされていたり、レオがマブを想いながら「二人はカップル~♪」と歌っていたり、さらにスピンオフ漫画『レオとマブ~ふたりはさらざんまい』では拾った赤ちゃんを二人で育てるという夫婦めいたこともしていたり、ニコイチ感が強調されている。
なお、スピンオフ漫画『レオとマブ~ふたりはさらざんまい』はBL漫画雑誌に連載されていたためBLのコーナーに置かれているが、コミックス自体はBL漫画として描かれたものではないとの事。
公式的にも「BL」「同性愛」という表記はされていない。
主人公の中学生たちをメインにしたいという理由から、話数と尺の関係で削られてしまったエピソードも存在し、ノベライズ版、及びミギー氏によるコミカライズ版ではアニメでは描かれなかった二人のエピソードも追加されている。
関連イラスト
秘密
以下ネタバレ注意
彼らは、元々カッパ王国でケッピに遣える臣下であり、訳あって対立組織である「カワウソ帝国」の上司であるカワウソに人間の欲望エネルギーを供給する任務を負っている。その過程で人間の殺害や誘拐などの犯罪行為に手を染めることも珍しくはなく、特にレオは警官であるにもかかわらずこのようなことを行う理由は、ひとえに「マブのため」。一方で、マブのほうも後述する事情がありカワウソに付き従ってレオと共に行動している。
実はアニメ本編に登場しているマブは、一度死んだ後にカワウソの手によって欲望エネルギーを動力とする「機械の心臓」を埋め込まれて復活したものである。蘇生されたマブは一見完璧に見えても細かい部分が生前とは異なり、肉体が不完全であったりと、レオからは感情を失った人形のようだと揶揄されるほど、以前のマブとは違っていた(マブの一人称がスピンオフ漫画や公式ツイッターでは「俺」、アニメ本編では「私」になっている事もその一つと思われるが、元々公私で使い分けていた可能性もあり、詳細は不明)。
上記の事があるため、レオは基本的に蘇生された後のマブのことはあまり信用していないが、それでもマブにとってレオを思う気持ちは生前と一切変わっておらず、レオと共に食事をするために咀嚼ができない身体に飲食機能を付けたり、レオの好物である人形焼が以前の自分と同じ味で作れるよう頻繁にメンテナンスを受けに行ったりしている。
第9皿では、なんと帝国のカワウソは一種の「概念」であり、「人の欲望を映し出す鏡」であることが判明。そのカワウソが語るところによると、レオには「マブを支配したい」「マブの機械の心臓に口づけしたい」という欲望があるとのこと。それに対してレオは否定の言葉を返す事は一切なかった。
ノベライズ版でも彼らが初めて出会ったシーンにて、レオはマブの傷一つない真っ白な手を「汚してやりたい」と思っていたり、自分の手の泥がマブの手を汚したのを見て「少しだけ空腹が治まった」と思っている描写がある。
上述の「二人はカップル」とレオが歌っていた件からしても、少なくともレオのほうはマブに執着した感情を抱いているらしいことがわかる。
なお、マブが第9皿でレオの欲望の現身であるカワウソに「今の私にはあなたが必要だ」と発言しているのは、自分が生きてレオのそばにいられる条件をレオ本人には伝えられないためであるが、「たとえ自分に邪な欲望を持っていたとしても、それがレオのものなら受け入れたい」という思いも抱いていたと受け取れる描写にもなっている。ただし、匂わす程度で公式的な明言はない。
アニメ本編では蘇生された後のマブの事を終始「感情が抜け落ちた人形」「紛い物」と罵っているレオだが、ノベライズ版によると、レオの介助なしでは生きられない不自由な身体にされている今のマブに対し「甘い地獄」と比喩するなど、少なからずマブの命を自分が掌握する事に対し戸惑いと共に悦楽も覚えてしまっている事がうかがえる。
彼らの事情が明らかとなった第10皿では、マブが別人のようになってしまった理由も判明する。
蘇ったマブが「レオに会いたい」と願った時、カワウソからレオのそばにいるために出された条件、それは「レオとのつながりを捨てること」だった。つながりを毒とするカワウソは、「愛する人に思いを告げると、マブの機械の心臓が爆発してしまう」という仕掛けを施していたのだ。
お互いに嫌いと言わない約束をしていたマブはレオとの約束を破ってしまう事に対して葛藤しながらも、カワウソの言葉に従って「私はレオが嫌いです」と発言し、すべてはレオのそばにいるために、レオといる未来のためにカワウソに身を委ねてしまう。
だが、マブの行動は全てカワウソに筒抜けであり、レオからは「見つけた希望の皿の事はカワウソに報告するな」と言われた通りにしていた事までカワウソにバレてしまっていた事を報告すると、それに対して痺れを切らしたレオからは遂に決定的な拒絶を受けてしまい、マブはショックを受け心が折れてしまう。
マブは思いつめた末、「レオとのつながりを取り戻せないのなら、せめてこの身勝手な欲望を満たしたい」と自ら装置に飛び込みカパゾンビ化してしまう。ゾンビ化したマブは、カッパになったレオに尻子玉を抜かれることで心の内をさらけ出す事を望む。マブが打ち明けた身勝手な欲望、それはレオに今まで隠していた真実を伝え、愛の言葉を告げる事であった。しかし、それは同時にマブの機械の心臓が爆発し、存在も消えてしまうという代償が伴っていた。
「今までも…この先も…ずっとお前を愛している」
そう告げて、マブは世界のえんの外側に消えていったのだった。
2019年3月31日までの期間限定更新だったツイッターでも、この言葉がつぶやかれた直後に全てのツイートが消えるという演出が行われ、レオマブというワードもトレンド入りした。
ケッピによると「あの二人は誰にも奪えないつながりで結ばれている」との事。
ちなみに、カパゾンビ化したマブは今までのカパゾンビとは違い、レオには一切攻撃して来ない。背を向けてお茶を飲んでレオが来るのを待っているだけなのだが、この時使っている湯飲みは普段レオが使っている黒い湯飲みである。
なお、マブが「愛」ではなく「欲望」と判定されたのは、幾原氏の発言によると「愛は与えるもの、欲望は求めるもの」としてカテゴリされているためであり、あくまでも善悪を区別するものではない。さらざんまいという作品においては、欲望も悪ではなく必要なものとしている。
蘇った直後のマブがカワウソに押し倒される場面にて、カワウソがレオの姿に変化している反面、同じ場面をレオが目撃している時にはカワウソはカワウソの姿のままである。これは上記にもあるとおり、カワウソには人の欲望を映し出す鏡としての性質があるためと考えられるが、インタビュー上で脚本を担当した内海氏によると「マブは(今のレオはマブを偽物扱いして終始イライラして当たり散らすため)自分に優しくしてくれるレオの姿のカワウソに縋る思いもあったのではないか」と発言している。マブ視点だと、レオもまた、以前のレオとは違って見えていたのだ。
尻子玉を無くしたマブは、いつものゾンビたちのように繋がりのえんの外へはじき出される…が、その存在の象徴である円はえんの外へ吸い込まれる直前で跳ね返り、レオの警官服の胸ポケットに収まった。一方、人間の姿に戻ったレオはマブを二度も喪ったことで狂乱し、無差別に周囲を破壊し始める。しかし、次第にマブの存在そのものが消え、レオの記憶からも消えてしまう。それでもなお焼けつくような喪失感は消えず、胸をかきむしるレオは胸のポケットに入っていた「マブ」と書かれた円に気付き手に取るが、それが誰だったのかも思い出せない。
錯乱しながらも、レオは最終的に一稀たちに暴行を加えようとした所で駆けつけた悠に射殺される。崩れ落ちたレオの身体はケッピの力により、マブと同じ円に変化し、ふたつの円はひとつに組み合わさる。それは二度と離れることのない形をしていた。
最終回である第11皿では、カワウソ&黒ケッピとの最終決戦中にケッピの甲羅に収まっていたつながりの円から呼び出され、カワウソが暗闇に閉ざした世界を照らし、一稀たちのサポートをした。
最終決戦後もケッピとサラの戴冠に立ち会い、エピローグのワンカットでも3年後の浅草で車夫の姿の二人が映っている。ちなみに屋号は「かっぱ屋」、紋は「〇(まる)」。
ただし、この演出は公式完全ガイドブックの記述によると、幾原氏が「一稀たちを手助けする存在がいて欲しい」という案のもとレオとマブがその役目として、あくまでも後付けで取り入れられた演出というものであり、脚本を担当した内海氏によると「彼らの話は10皿で終わり」であり、復活は想定していなかったと答えている。彼らが生き返って復活したのか、肉体ではなく精神的な存在として描かれたのかは想像にお任せしたいとの事。
補足
アニメ雑誌「PASH!」2019年7月号についてきたマブのキャラクタープロフィールの「好きな人のタイプ」は「よく食べ、よく笑う」、レオの好きなタイプの欄は「いない」と書かれているのは、そうしたお互いの心境や現在の状況が反映されているものと考えられる。また、その点において、本来あるはずのマブの好きな食べ物の欄は空白になっている。
座右の銘(好きな言葉)の欄は二人とも「欲望を手放すな」と同じであり、この言葉は「さらざんまい」という作品の全体的なキャッチフレーズでもある。ノベライズ版によると、マブが尊敬する人物(おそらく王子であるケッピと思われるが、詳細は不明)から教えてもらったものをレオにも生きるのに一番大切なこととして教えたという設定になっている。
レオの誕生日は7月24日、小説「河童」で有名な芥川龍之介の命日(河童忌)、マブの誕生日の3月1日は芥川と同じで、芥川龍之介つながりで設定されている。
二人のイメージカラーはレオが白、マブが黒で、それぞれの好きな色もこの色であるが、愛用の湯飲みやカッパになった時のマフラーの色は、レオが黒、マブが白であり、相手のイメージカラー(もしくは好きな色)のものを身に着けており、度々イメージカラーを交換した配色で新規絵が描かれている事もある。
サンリオコラボでの描き下ろしでは、互いにリンゴを持っている絵が存在し、レオは切ったリンゴをマブに差し出しており、マブはリンゴを丸ごとレオに差し出している。リンゴはキティの定番のアイテムでもあるが、幾原邦彦作品においてリンゴを一緒に食べるという行為は輪るピングドラムにおける「運命の果実を一緒に食べよう」という意味もある。ただし、そこまで意図して描かれたものかは不明。
Supergroupiesとのコラボではこの二人をイメージしたアイテムが発売されたが、ラインナップの中にペアリングがあるうえ、コラボアイテムを着用したレオマブの描き下ろしイラストではマブが左手の薬指に指輪をして二人で花見をしている。
背景に描かれている食べ物などもTwitterの勤務日誌と繋がりがあるものが多く、勤務日誌の最後にマブが行方不明になったまま約束が叶わなかったお花見を再現したようなイラストであった、このイラストが発表されのは最終回の直前、10皿の放送後というタイミングであった。
GYUNTOから発売されたレオマブをイメージしたペア箸の箱には水引きが描かれている。これは「結びきりの形」と言い、通常1回限りにしたいお祝い、結婚などに使われるものである。
冒頭の記述にもあるタンゴを踊る初期設定イラストでマブのみハイヒールを履いているのだが、その他のイラストでも度々ハイヒールを履いているマブの描き下ろしもあり、2020年に行われたノイタミナカフェの「阿久津真武バースデーキャンペーン」では、前述の初期設定をもとにこのようなイラストも改めて描き下ろされている。
スピンオフコミック「レオとマブ~ふたりはさらざんまい~」が「このBLがやばい!2020年度版」における【BLコミック・ザベスト20】第6位に選ばれ、攻部門でレオ、受部門でマブが共に4位にランクインしている。
上記を記念してスピンオフを担当している斎藤岬氏がツイッターにYESと書かれたハートマークの枕(YES/NO枕)のある二人のイラストをアップしている。なお、このイラストを描くにあたって公式に確認しており、その公式もランクインを喜んでいたとのこと。
また、世界中のアニメファンが投票した「クランチロール・アニメアワード2020」において、レオマブが「ベスト・カップル」の1組に選ばれている。
関連タグ
星の王子様 - 非公式ではあるが、レオマブのモチーフの一つではと言われている。
人魚姫 - ファンの間ではマブの境遇がしばしばこれに例えられる。