ロクでなし

──かつての、懐かしき日々。 セリカの脛をかじってだらしなく生活していた、温かき日常。 朝起きたら目の前には呆れた様子のセリカがいて。そこは、魔王、正義、蘇りし死人達──非日常的な脅威とは無縁な箱庭。 そんな楽園を、ふと夢に見る。

　これは、一人の弟子が、その師匠を救う物語。 　これは、一人の息子が、その母を救う物語。 　歩み続ける愚者──グレン＝レーダス。彼の最愛の家族──セリカ＝アルフォネア。 　これは、運命の悪戯で永遠の別れを余儀なくされた二人の、一縷の希望を書いた喜劇の序章。

　タウムの天文神殿の転送機は使えない。 　では、どうセリカを迎えにいく？ 　グレンは、『正義の魔法使い』の弟子は考える。 　その方法を。望む未来への道を。 　そして、ある解へと辿り着く。