概要
三大欲求とは、人間の三つの欲求のこと。
主に挙げられるのは「睡眠欲」「食欲」「性欲」の3つなのだが、性欲は睡眠欲や摂食欲と違い満たさずとも生命維持には支障がない。また人間の場合は発現の仕方が必ずしも生殖に直結するものではなく、かつ全ての人間が普遍的に抱いている欲求とは言えないため、睡眠欲や食欲と並べるのは疑問がある。
新約聖書にある「人はパンのみにて生きるにあらず」というイエス・キリストの言葉の通り、人間においては承認欲求や名誉欲も生理的欲求同様、あるいはそれ以上に重要である。
仏教では「睡眠欲」「食欲」「性欲」に更に「財欲」「名誉欲」を足して『五欲』と称されることもある。
由来
由来については諸説ある。
アーユルヴェーダ説
この「人間の三大欲求は食欲・睡眠欲・性欲」の元ネタって、アーユルヴェーダ(インド医学)の経典『チャラカ・サンヒター』で「生命を支える三つの柱」として挙げられている「アーハーラ(滋養)」「ニドラー(睡眠)」「ブラーマ・チャーリャ(性的節制)」じゃないかしらん。──アーユルヴェーダ説
マズロー説
アメリカ合衆国の心理学者であるアブラハム・マズローが提唱した理論である「自己実現理論」における5段階の欲求の内、最も下の基本的欲求である「生理的欲求」に由来するという説がある。しかし心理学のテキストで自己実現理論と三大欲求を結びつけることはない。
インドのヨガ説
ヨガではThe Four Primitive Fountains(四つの根源的な泉)という概念があり、これら四つの欲望が人の業(カルマ(Karma)といいます)の源(泉)だとされている。
1) Food (食欲)
2) Sleep (睡眠欲)
3) Sex (性欲)
4) Self-preservation (自己防衛・安全欲求)
余談
仏教では五欲を貪る「貪欲(どんよく)」に加え、自分の心に逆らうものを怒り恨む「瞋恚(しんに)」、煩悩によって苦悩していることへの無知を示す「愚痴(ぐち)」、略して「貪(とん)」「瞋(じん)」「痴(ち)」を、「三毒」とし、克服すべきものとされる。