日本陸軍が造りだした最初で最後の対戦車ライフル。
概要
昭和10年に20mmの対戦車ライフルとして開発が始まり、その2年後正式化された。
スイス製の同口径の対戦車ライフルを一部参考にしたとも言われている。
当初は40kg程度の想定し、歩兵中隊に組み込む事を想定していた。
要求性能は200mで30mm装甲、500mの距離で20mmの装甲板の貫通を要求されていた。
またこれと並行して十三粍手動銃も作られた。
こちらはボルトアクション式で安価(試作時点で一挺1000円)で軽量(14kg)、
至近距離で20mm装甲板を貫通させると、当時の諸外国の対戦車ライフルと比べても
同程度の性能であったが、弾薬自体の性能を考えると要求性能を達成できる筈なのだが
初速不足で貫通力が要求性能に届かず廃案となっている。
完成した九七式自動砲は要求性能を達成し350mで30mm、700mでも20mmの装甲板を貫通させた。
問題は完成品が研究指針よりも約19kg重い59kgとなりしかも6400円と高価。
これを数ある歩兵中隊に持たせるのは無理だろ……という事で
一部の歩兵大隊に装備させることで落ち着いた。
実戦では絶対数が少ないものの、ノモンハンなどでは活躍しており
装甲車などには絶対的な威力を発揮している。
その後、数がある程度揃った頃には戦車の装甲が厚くなり
対戦車ライフル自体が陳腐化してしまったものの、それでも戦車の弱点狙いや、
装甲の薄い装甲車、ソフトスキンのトラックを相手に、そして20mm弾ということで
榴弾も備えており対トーチカなどに重用されている。最終的に1200門が生産されている。
自動砲
「自動砲」と呼ばれるのは日本では口径が12.7mm以上を「砲」と呼ぶため、そしてこれの機構が半自動式だったために新たに「自動砲」と名付けられることとなった。
性能
口径:20mm
砲身:120cm
全長:2m
重量:59.1kg
値段:6400円(昔)=現代で約640万円ほど。三八式歩兵銃が77円程度であるから高価である。