修羅丸(デュエル・マスターズ)
しゅらまる
運命をかなでる者
「戦慄」の頂
ベートーベン
倒れ伏す仲間達。
「この世界に」
「王は2人
いらぬ……。」
の言葉と共に襲いかかるもう一人の自分の影。
ゴールデン・エイジのリーダーの座を継ぐも、謎の夢を目にするようになっていた鬼丸。
鬼丸が口にした謎の夢について鬼丸の姉、プリンセス・プリンが問いただそうとした時、
オーケストラが鳴り響き、共に放たれた攻撃からモエルを庇った鬼丸は重傷を負う。
現れた「戦慄」の頂 ベートーベンは、
「五大文明の長い
戦いの歴史に
終止符をうつ!」
「すべての文明を
ゼロ文明へと
強制進化させる!!」
「ゼロ文明となった者は
個性も感情も
なくなる。」
「争いの根源たる
怒りも憎しみもない
まさに
ゼロの理想郷!!」
「そして、
そのゼロ世界を
支配するのは王たる
このベートーベン!!」
「じゃまする者は、
すべて排除する!!!」
とゼロ計画の正体を明かす。
「フッ…。」
「報告の
とおりだな。」
「ついに
会えたな
鬼丸。」
「こういう形で
再会するのも
運命か…!!」
ベートーベンの鬼丸を知るかのような謎の言葉に疑念を見せるプリン
アクア・プロフェッサーの指示により鬼丸を守るべく鬼丸と共に逃げるモエル。
鬼丸を守るべく後に残ったゴールデン・エイジの戦士達はベートーベンに挑み、プリンはベートーベンの正体を確かめようとするも、ベートーベンの力は絶大であった。
「この者どもを
血祭りにあげ…、」
「鬼丸を絶望
させるのだ!!」
「ハハハハ
ハハハ!!!」
「どうした、
そんなものか
!!」
「わたしは
きさまらの
多くの仲間を
殺したのだぞ!」
「何百、
何千と!!」
「怒れ!!
憎め!!」
「それをもって、
わたしに挑め!!!」
「その怒りと
憎しみ…、」
「それらすべてを
飲み込み、
わたしは
王となる。」
モエルの制止を振り切り、仲間を守るべくベートーベンに挑もうとする鬼丸。
しかし、ベートーベンの力の前に覇王丸すら砕かれてしまう中で目にしたのは、
「オ…オレ…?」
――ベートーベンの胸のクリスタルの中に映る自分と瓜二つの姿。
「鬼丸、
この世界に
王は2人いらぬ。」
「死ねえぇぇ!!!」
ベートーベンが鬼丸に止めを刺そうとした中、
「やめぇい!!」
「修羅丸!!!」
響き渡るプリンの声。
「…!!」
「あ、姉上か!
生きていたとは
……。」
「フッ…。」
「姉上に
免じて…、」
「ここは
退くとしよう…。」
「だが、
覚えておけ
鬼丸!!」
「すべてがゼロ文明と
なるは運命!
運命からは
のがれられぬのだ!!」
という言葉を残し去って行くベートーベン。
プリンは自分と鬼丸の正体が失われし王国、パンドラ王家の者であること。
そしてベートーベン――修羅丸の正体が鬼丸の双子の兄であることを明かす。
心を失えば、
傷つき、悲しむ
こともない。
それこそが
我が究極の
願い!!
ゼニスのゼロ計画により、次々と心を失い、生ける屍と化していく超獣世界の住民達。
ゼニス本拠地、ニルヴァーナ・ゼニシア。
遥か上空に聳えるゼニスの城で、ウエディングは修羅丸のゼロ計画によって世界がゼニスのものとなっていくことを褒め称えるも、修羅丸は
「わたしがゼロ計画を
進めたのは…。」
「悲劇をくり返さぬ
ためだ!!」
と憤る。
「世界を統べるのは
この修羅丸だけと
いうことだ!!」
ゼニスの誰も理解できぬ中、ニルヴァーナ・ゼニシアはゴールデン・エイジの侵攻を受ける。
修羅丸の元へ走る鬼丸の前に立ちはだかりながらも、再戦を果たせぬ無念を語り崩れ落ちるライオネル。
その先、王の玉座にいたのは修羅丸。
鬼丸に仲間であるはずのライオネルを手にかけたことを咎められようと
「王に
仲間など
いない!」
「いるのは
ただの道具。
使い終われば、
捨てるだけだ」
と口にしてはばからない修羅丸。
「すさまじい
怒りだな…。」
「だが、その感情が戦争を、
悲劇を生むのだ…。」
「わかるか、
鬼丸!!」
仲間を顧みない修羅丸の姿勢に激怒する鬼丸の一撃を受けるもはじき返し、
戦乱の歴史を映し出しながら、
「戦えば、
仲間は傷つく。
そして、その怒りで
また戦う」
「これがこの世界の
戦争の歴史なのだ!」
「ゼロ文明に
なれば、
感情はすべて
なくなる。」
「心など
いらぬのだ!」
と説く。
「わたしも
かつては…、」
「お前と
同じだった…。」
修羅丸は語った。
「おまえたちと
はなればなれになった
あの後…。」
「わたしは助けられた。」
「そこに
血生ぐさい
戦いはない。」
「ただただ
平穏な日びが
あった…。」
重傷を負ったところを善良で親切な民に助けられ、傷を癒し平和な暮らしを送っていた修羅丸。
しかし、その暮らしも尽く灰燼に帰した。
「どんな安らぎも愛も
戦いの炎が
焼きつくしてゆく。」
「この世界の者どもの心は
怒りと悲しみに
みちているのだ!!」
「怒りの根源たる心を
なくせば、戦いの歴史は
終わる――!!」
「この願いに
大いなる力、
ゼニスが応えたのだ!!」
修羅丸の壮絶な過去、深い悲しみ、あらゆる憎しみを一人抱いて王となり、悲劇を終わらせる覚悟を知るも、なおも決意を固め、闘志を燃やす鬼丸。
「フン…。
やはり相容れぬ
か……。」
「ならば、
運命に
ゆだねてみるか?」
「大いなる力、
ゼニスよ!」
「どちらが王に
ふさわしいか
選ぶがいい!!」
「さぁ、
運命の
時だっ!!!」
モエルが見届けた運命の時。
そこにあったのは胸を貫かれた鬼丸とそれを目にし、
「むだだ。
すでに
息たえている。」
と言い放つ修羅丸の姿。
兄弟同士で殺し合う宿命に嘆き悲しむモエル。
「悲しみの悲劇
……。
それももう
終わる…。」
「静かなる
ゼロの世界が
始まる。」
「そこで、
わたしは
たった1人の王と
なるのだ……。」
だが、
貫かれた鬼丸の胸にゼロの光が灯る。
「その光
………。」
「バカな…。
まさか!!」
「わたしのときと
同じ…。」
「まさか、
鬼丸の願いが
……!!」
ゼニスの力は鬼丸を選んだ。
ゼニスの鎧を纏い、再び立ち上がった鬼丸。
「やつの願いに
ゼニスが共鳴
しただと…?」
「ふ……、」
「ふざけるなぁ
~~~~~!!」
お前の鎧など、
わたしの鎧が砕く!!
ゼニスの鎧を纏い、再びベートーベンの姿となった修羅丸。
共にゼニスの力を得た兄弟の宿命の戦いが始まった。
「そんな甘い
考えで――、」
「悲しみを、
戦争の歴史を
終わらせられるか!」
「鬼丸~~~!!」
「たしかに
甘いかもな
………。」
「だが!!」
「オレは
やってみせる
!!」
「どんな争いをも
消し去って
みせる!!」
「それがまた
戦いを生むのなら
それも!」
「その
次だって!!」
「何度でも
消し去ってみせる!!」
「すべての者が
笑顔でいる
黄金世代を築く!!」
「それが
王の願いだ!!」
「修羅丸、」
「これが王の一撃!!!」
王牙秘伝
ゴールデン・ビクトリーー!!!
鬼丸の一撃により、ベートーベンの鎧は砕け散った。
鬼丸の力を認め、無に帰す運命を受け入れようとする修羅丸。
しかし、
「言ったろ?」
「すべての者を
守るって」
「ま~、オレはこんな
つっ走るだけの
バカだからよ。」
「力貸してくれよ、
兄キ!」
修羅丸に手を差し伸べる鬼丸。
「……。」
「このわたしを兄と
呼ぶか、鬼丸…。」
修羅丸と鬼丸。
王の座をめぐり、争い合った運命の双子はようやく和解を果たせたのであった。
闇に閉ざされた大地を取り戻す者、
われらゴールデン・エイジ!!
「修羅丸~!!」
修羅丸と鬼丸の元に現れたプリン。
「姉上………。」
「姉上、」
「わたしは…。」
「…もうよい。」
「なにも言うな
修羅丸……。」
「そなたらは、
平和の願いを
込めた
希望の子。」
「その2人が
再び出会えた。
いまはそれだけで
よい……!!」
「………。」
「姉上……!!」
しかし、ニルヴァーナ・ゼニシアに異変が訪れる。
ゴールデン・エイジは崩壊するニルヴァーナ・ゼニシアから脱出するも、
「…これからが
本番だ!」
「ついにやつが
姿を現わすか
……!!」
「やつ?」
「ゼニス
そのものだ!!」
「願いと絶望は
表裏一体。」
「善と悪、愛と憎しみ、
究極の矛盾を
あわせもつ者。」
「やつこそは
ゼニスそのもの!!」
無情の極
シャングリラ
ニルヴァーナ・ゼニシアの正体、絶大な力で総てを無へと消し去ろうとするシャングリラ。
戦争と平和、
2つの願いを叶える
方法。
それはすべての
破壊。
それこそがシャングリラの出した答えであった。
「ここでやらねぇと、
全部終わっちまうっ!!!」
「やるんだよ!!
ムチャでもなんでも
今、立つんだよ!!」
傷つき果てた体でなお立ち上がろうとする鬼丸。
その意志に応え、ライオネルが真実の魂と肉体を得たライオネル・フィナーレとして甦った。
ライオネル・フィナーレは語った。
自分の本当の願いはゼロの世界ではなく、戦士として誇り高くたたかうことだったのだと。
更にライオネル・フィナーレの呼びかけに応じ、アンノウン達も真実の名に目覚め、奪われていた自らの意思を取り戻した。
鬼丸達とシャングリラ、最後の戦いが始まった。
だが、
無 情
ラブ アンド
ヘイト!!!
シャングリラの一撃から鬼丸を庇い、修羅丸は重傷を負う。
「あとはたのむ
鬼丸……。」
「やつを
救ってやって
くれ……。」
「やつもまた
わたしと同じ」
「悲しい存在
なのだ……。」
「悲しむことはない、
鬼丸……。」
「オレは、おまえの
中に生きる……。」
わが……、
弟よ…。
もはや近付くことすらできないほどのエネルギーを放つシャングリラ。
だが、
われは
鬼羅丸
兄、修羅丸の
魂が――、
奇跡の肉体を
あたえたのだ!!
「ワレト同ジ
エネルギーヲ感ジル。
…ソンナバカナ
……!!」
修羅丸の魂と共に鬼丸は鬼羅丸、新たなるゼニスとなった。
「案ずるでない!」
「わらわも
手伝う!!」
鬼羅丸に並び立つプリン。
「ありがとう
ございます、
姉上」
確かに鬼羅丸となった鬼丸の中に、修羅丸の魂も息づいていた。