概要
「寿」という名で呼ばれる事もある、十二支の身体的特徴が合体した姿をした合成獣の一種。
縁起のいい図として数々の浮世絵師に描かれており、牛の角に兎の耳を持つ鼠の顔で描かれる事が多いが、絵師の匙加減によってその容姿は微妙に異なっているという特徴を持つ。
その本質は十二支の為に世間の注目が集まる正月や初春に人前によく出現するとされており、代表的な物に歌川芳虎の『家内安全を守る十二支之図』や遠浪斎重光『寿という獣』という作品が良く知られている。
また次のような話が伝わっている。
筑前の国(現在の福岡県)の天拝山の麓に住んでいる孝行者で信心深い百姓の巴之介が、元日に山に向かって拝んでいると、俄かに紫雲が立ち込め神依より栄位を名乗る十二支の獣がやって来て、災難からの守りとなるので、自分の姿を写して信仰すると良いといったという。