「これから毎朝俺の為に味噌汁を作ってくれ」
「俺の苗字になってくれないか」
「雫好きだ、結婚してくれ」
古今東西『口説き文句』には様々なものがある。
人が百人いれば百通りの口説き文句がある。
言う側の人生とは人それぞれによって異なるし、
言われる側の人生もそれぞれ異なる。
誰かの使い古した口説き文句なんて言いたくないし、言われたくない。
そう思うのがリア充が極まった者達の思考である。
今回の案件であるが、
「君の矢を膝に受けたい」
は、かの有名な
の派生である。
派生品は源流の意図を大切にするものである。
よって、この「君の矢を膝に受けたい」は翻訳するならば、
「君の矢を膝に受けて傅き、家庭を持つ事で冒険者から引退したい」
となりうる。
しかし言葉とは時と場所を選ぶ。
言葉の本領を発揮させるには使い手の技量が問われるのである。
今回の案件は前述した通りに翻訳が必要であり、
(※往々にしてロマンチックな口説き文句は要翻訳)
言われてから趣旨を理解するのに数秒~場合によっては数分を要する。
これを加味した場合、間違っても通りすがりの相手に使うべきではないし、
ましてや初対面の相手に言うには悪手である。
この「君の矢を膝に受けたい」が本領を発揮するのは以下のパターンだろう。
①打ち解けた相手
②ゆったりと過ごせる時間
③美味しいお酒
④夜
これだけ要素てんこ盛りにすれば「君の矢を膝に受けたい」も活きる。
仮に、緊張のあまり言うタイミングをしくじったとしても、
上記の要素が整っていれば
「…それってどういう事?
もっとちゃんと言ってくれるんなら、もう一回聞くよ」
と相手が助け船を出してくれる事もありうる。
言葉のやり取りとは人一人で成立するものではない。
あくまで二人の努力で、言葉とは活きるのだ。
ともあれ、「君の矢を膝に受けたい」。
間違っても、通りすがりの見ず知らずに言うべき口説き文句では、無い。
概要
ゲーム『The Elder Scrolls V: Skyrim』に登場する衛兵達のセリフ「昔はお前のような冒険者だったが、膝に矢を受けてしまってな...」を踏まえての発言。
元々そのシュールさから人気だったが『北欧のスラングで「膝に矢を受ける=結婚する」という意味であり、かつて冒険者だった衛兵達も結婚して冒険者家業からは足を洗ったという意味が隠れている』という噂により「膝に矢=結婚」が有名になった。
ただし、実際にそのようなスラングは無く、都市伝説の一種という指摘もある。