名古屋市営バスと名鉄バスが共同で運行する路線。2007年まで名古屋市担当便にはミッキーの愛称がついていた。(基幹バスの幹から。)
英語ではKey Route Busと表記される。
特徴
- 本数が地下鉄並みに多い
- 停留所の間隔を通常の路線バスより長めに取る
- 平日の朝はバスレーン規制を行う
歴史
1974年に名古屋市電が全廃されて以降、当時の名古屋市は地下鉄のような軌道系交通路線網の密度が低く、市内の移動には自家用車が重宝され自動車型都市とも言われるほど乗用車の利用率が高かった。そのため交通渋滞が酷く、何とかそれを解決したかった名古屋市は早い時期から公共交通機関を優先するための対策を検討していた。
市電全廃から5年後の1979年、名古屋市総合交通計画研究会が基幹バスの構想を提案。鉄道や地下鉄と同等の公共基幹路線という位置づけとして、地下鉄計画路線の実現まで代替交通機関として整備するか、地下鉄計画はないが、基幹的交通機関の必要な地区に整備するという2種類の方向性が立てられていた。
この基幹バス構想の理想は道路中央部に専用レーンと停留所を設置、停留所間隔は地下鉄並みの800mから1 km程度とした上でバス優先信号を採用することで交差点での停止をなくすことで表定速度を25km/hに設定したものである。
これを受けて1982年にまずに東郊線10.5 kmの運行を開始。東郊線の停留所平均間隔は750m、道路の幅員も40mと余裕があり、鉄道との連絡箇所も多く需要が見込まれるという理由で選定された。ただし道路中央専用レーンの設置は中央部を名古屋高速が通っていたために実現しなかった。
東郊線の営業成績が良好であったことから、1985年にはさらに理想に近い基幹バス路線として新出来町線を開設。新出来町線の平均停留所間隔は650mとした。
新出来町線は一部道路の幅員に余裕が無い区間があったが東山線と名鉄瀬戸線の中間に位置し、鉄道網に恵まれない地区を経由するため、整備効果・需要ともに多いものと見込まれた。また名古屋鉄道バスとの乗り入れも実施した。
基幹1号系統 東郊線
名古屋の基幹バス始まりの路線。名古屋市交通局が担当する。名古屋市中区の栄と南区の笠寺駅、星崎、鳴尾車庫バス停を結ぶ。
バスレーンは道路中央に設置できなかったので、道路端に設置されている。そのためバス停は一般路線と共有しており、一部の停留所を通過することで速達性を確保している。
この基幹1号系統は全便ノンステップバスが使用され、専用車両の他に一般路線車を使用する場合もある。
基幹2号系統 新出来町線・名鉄バス本地ヶ原線
桜通大津交差点-引山バスターミナル間はバスレーンが道路中央に存在するのが特徴。名古屋市営バスと名鉄バスの共同運行で名古屋市営バスは名古屋駅と名東区の猪高車庫、千種区の光ヶ丘、また栄オアシス21、名東区の引山バスターミナル、守山区の四軒家を結び、名鉄バス本地ヶ原線は名鉄バスセンターから尾張旭市を経て、瀬戸市の菱野団地等を結ぶ。
なおこの系統は名古屋市担当便であっても中ドアから乗車し、前ドアから降車し、運賃は降車時に支払う。同じように中ドアから乗車し前ドアから降車するのはガイドウェイバスのゆとりーとラインのみ。
運賃は共同運行区間は名古屋市営バスの均一運賃。名鉄バス単独運行区間となる三軒家以遠は名鉄バス運賃となり、距離に応じて料金が上がる。そのため共同運行区間でも名鉄バス担当便では整理券が発行され、ICカードの場合も乗車時にリーダーにタッチしなければならない。名古屋市交通局担当便ではこれらは必要なく、運賃を支払う際おつりが出るのだが、名鉄バス担当便ではおつりが出ないので、事前に小銭を用意する必要がある(名鉄バスの運賃箱には市バスの運賃箱にない両替機の機能がある)。
また、名鉄バス担当便では交通局の一日乗車券などは使えない(定期券は使える)ので、企画乗車券を使う際には注意が必要。
車両
新出来町線・本地ヶ原線はバスレーン区間での停留所の構造(バス停付近でバスレーンが大きく湾曲している)による制限からノンステップ車がなかなか導入されなかったが、平成19年度に名古屋市交通局が日野製といすゞ製の大型ノンステップバスを順次導入し、現在名古屋市担当便についてはノンステップバス率100%になっている。
一方名鉄バスはバリアフリー対応車両として、当初はワンステップバスを導入していたが、名古屋市交通局に続いて三菱ふそう製シリーズ式ハイブリッド機構を搭載した大型ノンステップバスを導入。このハイブリッド車は環境にも配慮した構造だが、座席数が多い関係上通路が狭くラッシュ時の遅延を招く原因となっており、更に構造が複雑で故障が多いことから基幹バスから撤退し、現在は通常のディーゼルノンステップバス(ゲテノン)が導入されている。