概要
6世紀初頭に書かれたと考えられる、偽ディオニシウス・アレオパギタの『天上位階論』(De Coelesti Hierarchia)によれば、天使の位階には三つの階級に分けられ、さらにひとつの階級にそれぞれ三つの段階がある。つまり天使には合計九つの位階が存在するという。
厳密にはユダヤ教とキリスト教では位階の付け方が異なり、更にそれぞれの宗派の中でもそれぞれの天使の分類にバラつきが見られるのだが、ここでは恐らく最もよく知られているであろう、キリスト教の学説「天上位階論」による分類を紹介する。
階級
上位
最上位である第一の階級は「神の周りに永遠にいる階級」とされており、直接神に隣接しており他の階級よりも媒介無しに神と合一している、と説明されている。この階級には、上位から順に、
座天使(ソロネ Θρόνοι, Thronoi)が属している。
中位
第二の階級は最初の第一の階級を介して「神性の根源を分有」するという。この中位の階級には、
主天使(ドミニオン Κυριότητεϛ, Kyriotites/dominatio)、
力天使(ヴァーチャー Δυνάμειϛ, Dynameis/Virtues)、
能天使(パワー Ἐξουσίαι, Exousiai/Potestates)が属している。
下位
最後の第三の位階には、
権天使(プリンシパリティ Ἀρχαί, Archai/Principatūs)、
大天使(アークエンジェル Ἀρχάγγελοι, Archangeroi/Archangelus)、
天使(エンジェル Ἄγγελοι, Angeloi/Angelus)が属している。
この権天使、大天使、天使はそれぞれ神の神秘を人間に開示する階級とされており、お互いが分担し合って人間の位階を司っているという。
このうちの「天使」は最下位である第九位にあたる階級。エンジェルズ、アンゲロスとも呼ばれる。『天上位階論』の説明によると、この第九位の「天使」は天上の諸々の存在としては最後のものとして「使者」という特性を有している。また、他の位階以上に(可感的)世界と関わっているという限りにおいて、上位の位階よりもいっそう相応しいために「われわれ」(人類)に「天使」と名付けられている、という。
最も人間に身近な天使であり、人間達が親しみやすい姿をとって降臨する(※)。
大天使直属の部隊として、大天使の命によって人間を導き、監視し、必要とあらば悪と戦う。
守護天使として特定の人間に長く付き添う事もある。
人間と多く接し、また物質界である地上に長く留まる事から、欲を知ってしまい堕天使となるものもいる。
※:個別のページを見てもらえばわかるが、逆に上位の階級の天使は我々人間基準で見れば割と化け物な見た目をしている。