概要
上海アリス幻樂団による「音樂CD」のシリーズである「ZUN's Music Collection」第六弾の「鳥船遺跡 ~ Trojan Green Asteroid」に収録された楽曲のタイトルであり、同作中に登場する神社の名称である。
楽曲、作中のストーリーに登場するもののいずれもZUNによる。
「天鳥船」とは、日本神話に登場する「天鳥船神」(アメノトリフネノカミ。鳥之石楠船神 / トリノイワクスフネノカミとも)を指すか。
「天鳥船神」については「衛星トリフネ」記事も参照。
「ZUN's Music Collection」同様に上海アリス幻樂団の作品である東方Projectには博麗神社と守矢神社の二つの神社が登場しており、このうち博麗神社はそれと同一のものかは不明ながら「ZUN's Music Collection」第二弾作品である「蓮台野夜行」にその名称が登場している。上海アリス幻樂団作品を広く見渡すとき、「天鳥船神社」は同サークル作品に登場する三つ目の神社と言えるだろう。
楽曲
英字タイトルでは「Space Shrine」。直訳では「宇宙の神社」などとなるか。
軽快なサウンドながら宇宙的な神秘性と「神社」の神秘性を同時にを感じさせる楽曲で、衛星トリフネが佇む静寂の宇宙の海とその内部の鬱蒼とした緑をともに感じさせる旋律。
同様に「天鳥船神社」の楽曲名を持つ作品に、同じく「鳥船遺跡」収録の「天鳥船神社の結界」(英字タイトルは「Space Shrine in Dream」)がある。
こちらは演奏楽器も異なり、荘厳な雰囲気はそのままに、より感情豊かで情緒にあふれている。
二つの「天鳥船神社」
「鳥船遺跡」作中において天鳥船神社は二か所登場する。
一つは「地上の天鳥船神社」であり、もう一つは「衛星トリフネ」の内部に建立されたものである。
作中では後者の神社について社の有無などは不明であるが、「 二本の柱に木を渡したもの 」としての鳥居がある様子が描かれている。
「衛星トリフネ」の任務は主に宇宙適応の可否を調査する生物実験を目的としたもので、地球から離れて一つの閉じたエコロジーを実現すべく生み出された宇宙ステーションである。しかし「 原因不明の機械トラブル 」から操作不能となり、地球側はトリフネを放棄せざるを得なくなってしまっていた。
以後衛星トリフネは人間の手が触れ得ないものとなったが、マエリベリー・ハーン(メリー)はこの隔絶された衛星トリフネの内部を見ていた。
メリーの見た衛星トリフネ内部は緑が繁茂し、異常な熱気も含めて「 ジャングル 」ともいえる状態にあったが、そんな自然環境の中にあって異彩を放っていたのが、この衛星トリフネの中に設置されていた天鳥船神社である。
この話を受けた宇佐見蓮子は「 この近く 」にあるという地上の「 天鳥船神社 」を経由して衛星トリフネ側の「 天鳥船神社 」へと至ることを計画し、果たして二人は秘封倶楽部として遠く「 38万Km 」離れた衛星トリフネへと臨もうとしていた。
天鳥船と神社
実際に天鳥船、鳥之石楠船神を祀る神社としては船玉神社(ふなたま-。住吉大社の境内摂社。大阪。「船玉神社」は同名で祭神などが異なるものが全国に複数ある)や日和神社(ひより-。三重)などがある。このとき日和神社では鳥之石楠船神として祀られており、大阪の船玉神社では猿田彦命も共に祀られている。
鳥之石楠船神の御利益は造船や海運・航空業の守護、交通安全などであることが多い。その信仰は航海の神々である住吉とも共通している。「船玉神社」の名を持つ神社には住吉三神を祀るものが多い。
「鳥船遺跡」作中では「天鳥船」は「 宙の交通安全 」の守護者として祀られていたのではとされており、どれだけ科学の進歩があったとしても、最後の天命は「 神頼み 」となるのだと感想されている。
またその閉鎖した世界で新しい生物圏を模索する「 航海 」は、大地を洗う、船の扉を開くことのできないほどの大水で、すべてが根絶やしにされた後の大地に立つ新たな生物の始祖サンプルを乗せて何年も耐えることとなったノアの箱舟にもイメージが重なったのでは、ともしている。宇宙の荒波から生き物を守るという観点から、航海全般の守護者でもある天鳥船の守護に祈りを託したのかもしれない。
二次創作では
二次創作においても「衛星トリフネ」がその舞台となる時などに衛星トリフネ内部の方の神社が登場する事が多い。例えばジャングルの中の神社というシーンが「衛星トリフネ」を象徴的に表現するものとして描かれるといった様子である。一方の地上側の神社はトリフネ側の神社との関係性で登場することが多く、それ単独で物語の舞台となることはあまり見られていない。
またトリフネ内部の神社が描かれる際には「鳥船遺跡」作中で描写されている様々な内部の光景、生物がともに描かれることも多い。
「衛星トリフネ」に何らかの意思の芽生えを見る創作や付喪神化、擬人化などの創作アプローチの際には、神社に込められた人々の安全への祈りが心の支えとなっていたりあるいは同じく「鳥船」の名で結ばれた神格としての「アメノトリフネ」が物言わぬ衛星トリフネ全体に言葉はなくともその加護を与えていたりと、「衛星トリフネ」の科学性と「神社」という神秘性とが共存して、「 最適化された生態系 」という生物性を地球と月の間で育んでいく、といった様子が想像されることもある。
「衛星トリフネ」自体がガイア仮説における地球的な存在として見出されることもあるが、ここに秘封倶楽部が追い求める「 不思議 」が組み合わさって独自のガイア的世界観を生み出しているとも言えるだろう。
この他「神社」ということで御朱印などが想像されることもあり、pixivでも衛星トリフネ側の天鳥船神社の御朱印デザインの可能性もまた想像されている。
アレンジ曲
アレンジ曲名 | サークル名(アーティスト名) | 登場年 | 備考 |
---|---|---|---|
Dreamy & Spacy | はにーぽけっと | 2012 | |
山里の秋 | Forest306、ジャージと愉快な仲間たち | 2012 | |
Lost Ark | はちみつれもん | 2012 | |
寺町通 | As/Hi Soundworks、梶迫小道具店 | 2012 | |
Temple town arcade | As/Hi Soundworks、梶迫小道具店 | 2012 | |
Thinking of you feat. 桑原あい | J&B | 2012 | |
Butterfly… | monochrome-coat | 2013 | |
荘厳なる樹海 | スピークロウ | 2013 | |
真夜中にアストラル遺跡 | Grimoire Technology | 2013 | |
秋風を感じて | さーくるばんばんしー | 2013 | |
Sicilienne Shrine -instrumental- | Pizuya's Cell | 2013 | |
星空ロマネスク | サリー | 2014 | Vo.めらみぽっぷ |
星と君のセオリー | あ~るの~と | 2014 | |
Dungeon_2 ~ 廃 | スタジオネネム | 2014 | |
心象風景のノア | Applice | 2015 | |
unbordered | Aftergrow、はちみつれもん | 2015 | |
サブルナリー | 味玉定食 | 2015 | |
Forgotten Paradise | GET IN THE RING | 2015 | Vo.みぃ&ランコ 天鳥船神社の結界 トロヤ群の密林 衛星トリフネも含む |
神ノ社 -天駆ける鳥船を祀りし遺跡- | DDBY | 2016 | |
2人のユーフォーロマンス | TUMENECO | 2016 | 夜空のユーフォーロマンスも含む |
REAL DREAM | A-One | 2016 | |
アルフ・ライラ・ワ・ライラ | 暁Records | 2017 | 他愛もない二人の博物誌、大空魔術も含む サークル「たんこむ」の小説「こちら秘封探偵事務所」タイアップ曲 |
関連イラスト
- 天鳥船神社御朱印