- 1989年にリリースされた光GENJIの楽曲。
概要
原作はアメリカ合衆国の女流作家パトリシア・ハイスミスの小説『The Talented Mr. Ripley』で、映画の原題は『Plein Soleil』。
野心を抱く主人公役にフランスを代表する二枚目俳優として名高いアラン・ドロンが抜擢、彼の出世作となった。
ストーリー
舞台となるのはローマ。アメリカから来た大富豪の息子・フィリップを連れ戻す様彼の父親に命令された青年トム・リプリーは、婚約者マルジュを放置し父親の帰宅命令も無視して遊び惚ける自由奔放(身勝手)なフィリップに振り回される。
リプリーは最初のうちこそフィリップと遊びまわって楽しい時間を過ごしていたが、次第に資金が底をつき、その上フィリップに見下されて使いっ走り扱いにされ、自分とフィリップの境遇にあまりにも理不尽な差がある事を思い知らされる。
ある日、リプリー、フィリップ、マルジュの3人はフィリップの持つクルーザー“マルジュ号”でタオルミナを目指してセイリングに出かける。
マルジュといちゃつくフィリップにのけものにされ続け、不慮の事故で炎天下の海にボートごと放置されたリプリーは背中に大やけどを負ったうえ、熱中症で死にかける。マルジュもフィリップのリプリーに対する態度には思うところがあったようだが、タオルミナに到着してからは一人で行動するように言われ、リプリーは次第にフィリップへの嫉妬と恨みをつのらせる。
そんな中で、フィリップはリプリーの荷物の中に口座があるのを見つけ、リプリーが自分の財産と命を狙っているのではないかという疑惑にかられる。
さらに、かねてよりリプリーがフィリップのポケットに忍ばせておいた、マルジュのものではないイヤリングをマルジュが見つけ、マルジュとフィリップが揉める。そこで、激高したフィリップがマルジュの執筆していた原稿を捨てたことで、二人の仲は完全に決裂する。
そうして、フィリップはリプリーを宥めてなんとか自分の命が助かる手立てを考えるが、リプリーの肚は決まっており、互いの腹を探り合いながら賭けポーカーを行うなか、リプリーはフィリップを刺し殺し、彼の死体を帆布で包んで海に捨てる。
フィリップに化けたリプリーは、「フィリップは別の女のところに行った」とマルジュを絶望させ、フィリップの財産を手に入れるため画策する。
ある日、身元を偽って泊まっていたホテルにフィリップの友人のフレディが訪ねてくる。
このとき、自分がフィリップに成りすましていることがフレディに気づかれたリプリーは追い詰められ、フレディも殺してしまう。
リプリーはどうにかフレディの死体を捨てるも、ちょうどそのころ警察が動き始めていたため、すぐに発見された。フィリップになりすますことに限界を感じたリプリーはフィリップの筆跡をまねて偽物の遺書を作成し、彼の両親やマルジュ、ひいては警察をもだますことに成功する。
恋人の失踪により傷心状態にあったマルジュに対してリプリーは親身に向き合い、マルジュもリプリーの優しさに惹かれ、ついに二人は結ばれる。これで、リプリーのかねてからの目的は果たされたのである。
リプリーはマルジュとバカンスを楽しむ。気持ちがすっかり前向きになったマルジュは区切りをつけるため、フィリップの遺産の一部であったクルーザーを売ることにしたマルジュは、業者に頼みに行った。リプリーは、一人ビーチでくつろぎ、完全犯罪の成立に対しての喜びをかみしめるがごとく「太陽がいっぱいだ」とつぶやく。
リプリーがくつろいでいる頃、点検のために引き上げられたクルーザーは何やら大きな包みのようなものを引きずって陸に上がってきた。その包みのようなものからは腐った人間の腕のようなものが覗いていた。そう。その腐った腕こそ、かつてリプリーが捨てたフィリップの死体の一部だったのだ。マルジュの悲鳴が響く。
そんなことはつゆ知らず、くつろぐリプリー。売店の従業員の中年女性が「お客さんにお電話です」と声をかける。その呼び声に笑顔で応じたリプリーは、売店へと向かう。多くの刑事が待ち構えているであろうことは考えずに_____
余談
映画評論家の淀川長治はフィリップとリプリーの間には同性愛関係があったのではないかという考察をしており、殺害シーンは2人の熱烈なラブシーンだという語っている。アメリカの映画評論家ロジャー・イーバートも直接の言及はないが同性愛的な要素が各所に隠れている作品であると評論している。別のインタビュアーがルネ・クレマン監督にそういった考察がありますがと質問した際否定はしたが歯切れが悪く、「そう見たいならそう見ればいいじゃないか」という暗に肯定するような言い方だったと「世界シネマの旅2」に書かれている。なお1999年にはリプリーを完全にホモセクシャルとして描いたリメイク作の『リプリー』が公開されている。